06/08/2026
【今年の新刊】『おうち英語ゼミ――わが家の早期英語教育を研究者とデザインする』尾島 司郎〔著〕
子供の第二言語習得研究を専門とする大学教授の著者が、家庭で行われる「おうち英語」を科学的視点から検討した一冊です。研究データに基づき、これまで可視化されにくかった実態を深く掘り下げて説明します。
https://www.kenkyusha.co.jp/book/b10153975.html
著者は第二言語習得研究を専門とし、同時に三児の父でもありますが、著者自身は子どもにおうち英語を実践しておりません。そのため本書は特定の方法論を推奨するものではなく、第三者の立場からデータと理論に基づいて現象を客観的に捉える姿勢を貫き、家庭での英語学習を多角的に考察しております。
第二言語習得は言語学・認知科学・脳科学等が関係する複合的な研究領域です。その中でも主要テーマの一つである「学習者の年齢」に焦点を当てつつ実践と研究成果の接点を第三者の視点で説明します。おうち英語のデータには第二言語習得の理論に沿っている部分も多い反面、未解明の課題も存在します。
本書は、既存の研究成果を紹介しつつ、読者と共に考えるべき論点を提示する構成となっております。
本書はノウハウ本ではありません。教育方針を検討する際に、科学的知見を踏まえて判断したいと考える読者に向け、研究に基づく情報をわかりやすく整理しています。
対象読者は、保護者にとどまりません。学生・大学院生、学校教員、他分野の研究者など、子供の言語発達に関心を持つ幅広い層に向けて第二言語習得研究の魅力と意義を伝える内容です。
タイトルに「ゼミ」と冠したのは、大学のゼミのように「共に考える場」を意図したためです。おうち英語は、まだ新しい社会現象であり、研究者と読者が、双方向的に学び合うことを目指しています。
第1部では、おうち英語の実態を紹介し、特に高度な英語力を獲得した子供の学習経験を分析します。
第2部では、効果的な学習環境作りに関する研究知見を整理します。また、動画視聴の学習効果についても深堀りしていきます。
第3部では、子供の英語習得に見られる発達パターンや、「臨界期」「バイリンガル・アドバンテージ」などの概念を解説します。
第4部では、おうち英語に伴うリスクを多面的に検討し、最後にAIとの関わり方について論じます。
本書は、研究データをもとに体系的に理解を深められるよう構成されており、章ごとに独立しているため、関心のあるテーマから読み始められます。
ただし、特定の一つのデータや主張のみを切り取り、「科学的に正しい方法」「絶対的な結論」とすることにはご注意ください。本書の内容を紹介される場合にも文脈を無視した単純化や、断定的な表現は避けていただけますと幸いです。
本書は実践者の方々、研究参加者、研究室メンバー、編集者など、多くの協力によって成立しました。
おうち英語を科学的に理解したい方、子供の言語習得に関心を持つ方に、ぜひお読みいただきたい一冊です。