かしの労働衛生コンサルタント事務所

かしの労働衛生コンサルタント事務所 1986年 鉄鋼メーカーに 入社
2006年~同社にて安全衛生・環境防災・設備の管理を担当
2018年~同社の関係会社に入社、安全衛生・環境防災・設備の管理を担当
2023年10月~コンサル事務所開設

<<リスクアセスメント対象物が追加されました>> 施行2028年4月1日  労働安全衛生法に基づき、多くの化学物質はリスクアセスメントの実施等が強制義務となっていて、リスクアセスメント対象物と呼ばれています。今日現在、約1540種類のリスク...
29/04/2026

<<リスクアセスメント対象物が追加されました>> 施行2028年4月1日

  労働安全衛生法に基づき、多くの化学物質はリスクアセスメントの実施等が強制義務となっていて、リスクアセスメント対象物と呼ばれています。今日現在、約1540種類のリスクアセスメント対象物が施行されています。段階的に対象物が増やされている途上にあって、最終的に約2900種類になると言われています。
  この度公布された厚生労働省令によって、N-アクリルモルホリドを含む36種類の化学物質がリスクアセスメント対象物に追加されました(労働安全衛生規則の一部を改正する省令(2026年=令和8年厚生労働省令第68号、令和8年3月31日公布、令和10年4月1日施行))。
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001684498.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001684504.pdf

  実務上は、法令改正を追いかけるのがたいへんですし、過去に規制対象となったリスクアセスメント対象物を含めたものがリストになっていると便利です。そこで、下記URLもしくは「ケミサポ」のキーワードで検索できる厚生労働省の「職場の化学物質管理総合サイト」にアクセスしてください。この記事の画面にもある「リスクアセスメント対象物一覧リスト」部分をクリックするとリストが表示されます。検索機能も使うことができて便利です。
  また、半年~年1回位はここに定期的にアクセスして、リスクアセスメント対象物の最新情報を入手いただくことをお勧めいたします。
https://cheminfo.johas.go.jp/

<特定自主検査基準が制定され、検査業者による不正を防止する対策が強化されました>  動力プレス、不整地運搬車、フォークリフト、高所作業車、車両系建設機械は多くの事業所で使用されています。これらの機械は他の機械より危険性が高いため、年1回(不...
28/03/2026

<特定自主検査基準が制定され、検査業者による不正を防止する対策が強化されました>

  動力プレス、不整地運搬車、フォークリフト、高所作業車、車両系建設機械は多くの事業所で使用されています。これらの機械は他の機械より危険性が高いため、年1回(不整地運搬車は2年毎)の特定自主検査を実施することが法的義務となっています。作業前点検と月例点検は資格が無くても実施できますが、特定自主検査は有資格者でなければ行うことができませんので、多くの事業者は登録された検査業者へ委託していると思います。
  特定自主検査は、従前「定期自主検査指針」に基づく実施が推奨されてきましたが、不適切な検査事例等があったことを踏まえ、改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号、2025年6月11日の投稿記事ご参照)により、厚生労働大臣の定める基準(特定自主検査基準)に従って行わなければならないこととされました。
  前述の5種類の機械について、この特定自主検査基準が2025年12月18日~24日に告示され、2026年1月1日より適用となりました。このことにより、同基準に従わない検査業者に対して登録取り消しや業務停止などの行政罰が下ることになりました。但し、検査項目等が変更になるものではない、とのことです。

◆リーフレット:
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001677103.pdf
◆詳しくは: 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/an-eihou/tokuji.html

<次の規則が1月20日に改正され令和8年4月1日に施行されます:じん肺法施行規則、労働安全衛生規則、ボイラー及び圧力容器安全規則、クレーン等安全規則、ゴンドラ安全規則、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、特定化学...
27/02/2026

<次の規則が1月20日に改正され令和8年4月1日に施行されます:じん肺法施行規則、労働安全衛生規則、ボイラー及び圧力容器安全規則、クレーン等安全規則、ゴンドラ安全規則、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、高気圧作業安全衛生規則、電離放射線障害防止規則、酸素欠乏症等防止規則、粉じん障害防止規則、その他規則>

■概要■ こんなに多数の規則が一度に改正されました。安全衛生法と作業環境測定法が改正(令和7年法律第33号)されたことは2025年6月11日の記事でお知らせ済みでしたが、その時点では関係する各規則が未改正だったため、詳細の多くが不明でした。これら待望の各規則が、今回改正・交付されたものです。
  各規則で共通して改正された点も含めて、概要は下記①~⑤の5点です。( 「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」令和8年1月20日厚生労働省令第3号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001660308.pdf

① 小規模の工事関係業者などでは社長や役員自らも作業に従事しており、個人事業者では一人親方などと呼ばれています。社長・役員とも労働者ではないため、旧来の安全衛生法令では労災防止措置ほか保護の対象から外れていたこともあり、彼らの労災が多発しています。
  これを改善すべく順次法令改正がなされており、この流れの中で今回の各規則改正でも「労働者」や「作業に従事する者」が「作業従事者」へ変更されました。事業者により安全確保すべき対象者が、労働者以外の社長・役員を含めて「作業従事者」=「事業を行う者が行う仕事の作業に従事する者」などへ拡大されました(各規則)。

② 次の装置・設備の製造許可を労働基準監督署へ申請する際、従来「強度計算」書類を提出していたものが、「登録設計審査等機関」による設計審査の結果の書類等へ変更されました。製造許可の対象装置・設備は次の通りです。:ボイラー、第1種圧力容器、クレーン、移動式クレーン、デリック、エレベータ、建設用リフト、ゴンドラ(ボイラー則、クレーン則、ゴンドラ則)。

③ 高齢者の労災防止措置は努力義務です。このための旧ガイドラインが廃止され、新しい指針が公表されました。(改正安衛則第42条の2、基発0210第1号令和8年2月10日)
https://roaneikyo.or.jp/pdf/jukonaiyo/konenrei260218R.pdf

④ 従来の官報による告示・指針の公表一部が、新たにインターネット等による公示となって、公表する方法が一部変更されました。(今回改正対象の各規則)

⑤ 化学物質を販売ほか譲渡する際、多くの化学物質では安全データシート等による危険性・有害性を通知する義務が有ります(通知対象物)。ですが、成分の情報が営業秘密に該当する場合、危険・健康障害の生じるおそれの程度を勘案し、成分の構造等の一部を省略又は置き換えた化学名等(代替化学名等)にて通知できるようになります(改正安衛法第57条の2令和8年4月1日施行)。詳しくは下記「■⑤の詳細■」をご参照ください。

■⑤の詳細■ 代替化学名等を譲渡先へ通知する場合の義務について、下記1.~5.に詳細を説明します(改正安衛則第34条の2の4、第34条の2の6の2~7)。全般的な説明が下記の基発0220第5号で示され、指針にて詳説されていますので、ご参考としてください。

「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律等 (代替化学名等関係)の施行について」(基発0220第5号令和8年2月20日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001660369.pdf
「通知対象物に係る代替化学名等の通知に関する指針(通知対象物に係る代替化学名等の通知に関する指針公示第1号)」=基発 0220 第1号令和8年2月20日。�https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001660339.pdf

1. 通知対象物の譲渡先には、名称・成分・人体に及ぼす作用・その他を通知する義務が有ります。これらに加えて、成分ごとに営業秘密である旨の明示と緊急連絡先が追加され、医師からの照会に対して直ちに回答可能なようにしておくことが求められます。

2. 代替化学名等での通知が可能となる対象の化学物質は、「リスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施に支障を生じないもの」とし、次の告示で示されています。告示の化学物質に該当しないなら、代替化学名等による通知は認められません。具体的な物質名はホームページで公表予定とのことです。「労働安全衛生規則第34条の2の6の2の規定に基づきリスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施に支障を生じないものとして厚生労働大臣が定めるもの」(令和8年2月20日厚生労働大臣告示第42号)。
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001660335.pdf

3. 成分が人体に及ぼす作用(代替有害性情報)を通知することでも、成分の情報を通知する代わりになります。但し、代替化学名による通知では当該成分が特定されるおそれが高い場合に限ります。

4. 代替化学名等の通知を行った者は、代替化学名等の成分その他についての記録を5年間保存し、廃業する際は労働基準監督署へ引き渡します。

5. 代替化学名等の通知を行った者は、通知対象物による健康障害が生じ又はその恐れがある場合、医師による診断・治療(以上は守秘契約不要)・労働者の健康管理(守秘契約必要)のために必要があるときは、当該医師の求めに応じて、通知対象物の成分の情報を当該医師に開示しなければなりません。

02/02/2026

<個人事業者への発注者ほか、労働基準監督署への死傷病報告に関する義務が追加されます> 2027年1月1日施行
                                                            

  立場的に弱い個人事業者に対し、労働災害の防止その他の保護を推進すべく順次法改正が行われています。労働者が労働災害などに遭った時は、労働者死傷病報告を労働基準監督署へ報告しなければなりません(安衛法第97条)。この義務が次のように拡大されます。
  報告しなければならない者は従来、労働災害に遭った労働者を雇う事業者でした。改正により個人事業者である作業従事個人事業者が労働災害などに遭った場合(個人事業者等死傷病報告)、次の者が報告者として追加されました(第98条の2)。

① 個人事業者へ仕事を請け負わせた発注者(発注者と個人事業者が同一の場所で仕事を行う場合に限り、数次の請負契約が有る場合は最も後次の注文者。特定注文者という。)。例えば、元方事業者・下請け事業者・孫請け事業が働く作業場所において、孫請けが個人事業者である場合は下請事業者が報告します。

② 事業を行う者であって仕事の作業を行う場所を管理するもの(災害発生場所管理事業者等という。)

  一方、個人事業者側の義務として、作業従事個人事業者が労災等に遭った場合は特定注文者や災害発生場所管理事業者等へ報告し情報提供しなければなりません(第98条の3、第98条の4)。

  但し特定注文者・災害発生場所管理事業者等は、個人事業者が労災等を報告したことを理由として、取引停止・立入禁止など不利益な取扱いをしてはなりません(第98条の3第2項、第98条の4第2項)。

  また、一定数以下の労働者を使用する事業者の場合、労働者ではない代表者・役員自らが労働者と同一場所で作業し労災等に遭った時、事業者は労働基準監督署へ報告しなければならないことも追加されました(第98条の6)。

労働安全衛生規則及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令 (令和七・一二・九  厚生労働省令第一二〇号)

02/02/2026

<動力プレス、フォークリフト、高所作業車、不整地運搬車、車両系建設機械ほか自走できる建設機械の定期自主検査が、検査業者等による特定自主検査へ変更になっており、自主検査指針の対象から除外されました> 令和8年1月1日施行

危険性の高い特定の機械に対しては定期自主検査を行い、その結果を記録する義務が有ります(安全衛生法第45条)。その点検項目などを示す自主検査指針が公表されています。
同法改正※1により、「動力プレス、フォークリフト、2m高以上の高所作業車、不整地運搬車、車両系建設機械ほか自走できる建設機械」に行われる検査は、新たに厚生労働大臣の定める基準(特定自主検査※2)に従って行われることになり、検査業者等※3によらなければならないとされています。このため、特定自主検査の対象となる機械が自主検査指針の対象から外れました※4。

※1 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第 33 号)
https://www.mhlw.go.jp/content/001449337.pdf

※2 特定自主検査:「動力プレス、フォークリフト、不整地運搬車、車両系建設機械ほか自走できる建設機械、2m高以上の高所作業車(労働安全 衛生法施行令第15条第2項)」に行われる検査

※3 検査業者等:厚生労働大臣が定める有資格者または登録を受けた特定自主検査を行う者(検査業者)(安衛法第45条第2項)

※4 労働安全衛生法第45条第3項の規定に基づく車両系建設機械の自主検査指針の廃止に関する公示について(概要)(令和8年1月1日施行)
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000304260

<4月の改正安衛法施行令施行により個人事業者等の労災防止措置が強化されます:①特定元方事業者(建設業・造船業)による現場の統括管理、②レンタル・リース会社など機械等貸与者が労災防止措置を講ずべき対象機械の追加、③建築物貸与者が労災防止措置を...
02/02/2026

<4月の改正安衛法施行令施行により個人事業者等の労災防止措置が強化されます:①特定元方事業者(建設業・造船業)による現場の統括管理、②レンタル・リース会社など機械等貸与者が労災防止措置を講ずべき対象機械の追加、③建築物貸与者が労災防止措置を講ずべき対象があらゆる事業の用に供される建築物へ拡大> 施行2026年4月1日

① 特定元方事業者による協力会社も含めた安全衛生管理(統括管理)では従来、特定元方事業者と協力会社を合計した労働者の数によって、統括安全衛生管理者の選任要否ほか義務の範囲が定められていました。また、一人親方など個人事業者等は労働者ではないため、統括管理の対象に含まれていませんでした。個人事業者等の労災防止を図るべく統括管理の対象に含めることとし、労働者に加え個人事業者や会社役員等を含めた「作業従事者」の数にて統括管理の義務範囲を定めるよう改正されました(安衛令第7条第2項)。

② 機械等貸与者(レンタル・リース会社ほか)が機械等を個人事業者に貸与した場合についても労働災害を防止するために、必要な措置を講じなければならないとされています(安衛法第33条)。この対象となる機械等の範囲は安衛令第10条各号に規定されています。従来対象外だったフォークリフト、ショベルローダー、フォークローダーの3機械が対象に追加されました。

③ 建築物貸与者が建築物を個人事業者に貸与した場合も、労災防止措置を講じなければならないとされています(安衛法第34条)。その建築物の対象範囲は現状、「事務所または工場の用に供される建築物」と定められていますが、スーパーマーケット・物流センター・倉庫等あちこちで発生しているのが実態です。そこで「その他の事業」が追加され、あらゆる事業の用に供される建築物へ拡大されました(安衛令第11条)。

概要�https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001567052.pdf

政令 労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令 令和7年10月31日 第361号
https://laws.e-gov.go.jp/law/347CO0000000318/20260401_507CO0000000361?tab=compare

<電離放射線障害防止規則等改正により安全対策強化と特別教育の対象業務が拡大されました>■概要■①特別教育の対象業務拡大  従来、エックス線装置・ガンマ線照射装置に関する特別教育は、透過写真撮影業務に限定して必要とされていましたが、改正により...
26/12/2025

<電離放射線障害防止規則等改正により安全対策強化と特別教育の対象業務が拡大されました>

■概要■
①特別教育の対象業務拡大
  従来、エックス線装置・ガンマ線照射装置に関する特別教育は、透過写真撮影業務に限定して必要とされていましたが、改正により、これら装置を取扱う全ての業務へ拡大されました。但し、装置内部のみに管理区域が存在し、かつ、その内部に身体の全部か一部が入れないよう遮蔽されたもの(ボックス型)は特別教育対象から除外されています(令和8年4月1日施行)。
https://www.mhlw.go.jp/content/001587378.pdf

②エックス線作業主任者・ガンマ線透過写真撮影作業主任者の職務に、自動警報装置の異常時の措置、安全装置の点検と異常時の措置、放射線業務従事者への指揮などが追加されます(令和8年4月1日または令和9年10月1日施行)。
https://www.mhlw.go.jp/content/001587372.pdf

③自動警報装置設置義務が拡大(令和9年10月1日施行)
  自動警報装置の設置義務は従来、管電圧150kV超の装置などが対象でしたが、放射線装置室内で使用する全ての工業用等の特定エックス線装置(10kV以上)ほかの装置へ拡大されます。医療用装置ほか、ポータブル型・ボックス型等を放射線室外で使用する場合は除外されます。自動警報装置を含む周知の措置は、関係者が確実に認識できなければなりません。
https://www.mhlw.go.jp/content/001617468.pdf

④工業用等の特定エックス線装置の安全装置設置義務化(令和9年10月1日施行)
  放射線装置室内で使用する工業用等の特定エックス線装置(管電圧10kV以上)には、インターロックほか偶発的被ばくを防ぐ安全装置の設置が義務化されます。点検業務ほか安全装置を無効化したり取り外す場合は、代替措置による安全確保対策も必要です。
https://www.mhlw.go.jp/content/001617468.pdf

■詳細情報■
①通達 : 基発1029 第1号 令和7年10月29日
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T251030K0160.pdf

②改正法令 : 厚生労働省令第108号令和7年10月29日
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001587771.pdf

<がん原性物質に関する記録等の扱いと、皮膚等障害化学物質の定義等についての規則・告示・通達が改正>(令和7年11月18日公布・告示、令和8年1月1日施行)1. 会社を廃業する時は、がん原性物質に関する記録等を所管労働基準監督署へ提出すること...
01/12/2025

<がん原性物質に関する記録等の扱いと、皮膚等障害化学物質の定義等についての規則・告示・通達が改正>
(令和7年11月18日公布・告示、令和8年1月1日施行)

1. 会社を廃業する時は、がん原性物質に関する記録等を所管労働基準監督署へ提出することになりました。
 がん原性物質を製造・取扱う場合、次の①②の記録等を30年間保管する義務が有ります。

 ① 化学物質のリスクアセスメントの一環として自主的に行う、リスクアセスメント対象物健康診断の健康診断結果個人票(安衛則第577条 の2第5項)

 ② リスクアセスメント対象物へのばく露の状況、作業の記録、著しく汚染された時の概要と応急措置の概要(安衛則第577条の2第11項第2号、第3号)

 会社を廃業する時は、上記がん原性物質に関する記録等①②を所管労働基準監督署へ提出しなければならないことになりました【注1】【注2】。従来、廃業する際に記録等の取扱いが規定されていなかったものが、明確に規定された次第です。一部の事業から撤退するだけで会社が存続していれば、上記記録等の保管義務は続きます。

【注1】 「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」(令和7年11月18日厚生労働省令第113号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001596506.pdf
【注2】 労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について(令和7年11月18日付け基発1118第1号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001596516.pdf

2. 皮膚等障害化学物質の定義等について改正されました
■■結論■■
① 保護具を着用すべき対象の皮膚等障害化学物質についての安衛則・告示・通達が改正されました。今後も変更される可能性が高いので、定期的に最新情報【注3】を参照して必要な保護具を着用してください。

② 混合物の含有量が一定以下である場合に保護具着用義務が免除される 「裾切り値」 が、次のように改正されました。裾切り値を下回るとして免除されていた場合は、改正後も免除の対象かどうかご確認ください。
 イ 皮膚又は眼に障害を与えるおそれがあることが明らかな化学物質 : 1重量%未満(改正無し)
 ロ 皮膚から吸収され、又は皮膚に侵入して、健康障害を生ずる恐れがあることが明らかな化学物質 : 別表に示す%未満の含有量のもの

③ 特定化学物質障害予防規則(特化則)ほか特別規則等では従前より、一部の化学物質を取扱うときは保護具を着用せよとの条文がありますので、こちらも遵守ください。

 従来の皮膚等障害化学物質には特別規則等で規制されている化学物質が一部含まれていて重複して規制されていましたが、今回改正により重複されていたものが除外されました。遵守すべき特別規則等の対象化学物質は、下記---「除外された鉛、1,3-プロパンスルトン等」---の通りです。【注3】には特別規則等で規制対象の一部化学物質も記載されていますが、特別規則等では【注3】より広い範囲の化学物質を規制対象としていますので、【注3】の化学物質取扱時だけ保護具を着用するにとどめるのは、法令順守上片手落ちになります。
【注3】 職場のあんぜんサイト:化学物質:皮膚等障害化学物質 「皮膚等障害化学物質および特別規則に基づく不浸透性の保護具等の使用義務物質のリスト」
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc13.html

■■以下、皮膚等障害化学物質の改正詳細情報です■■

■従来、皮膚等障害化学物質は、次の①②いずれかと、その含有物で義務が適用される濃度である「裾切り値」以上のもの、と定義されていました【注4】。

① 皮膚刺激性有害物質 : 皮膚又は眼に障害を与えるおそれがあることが明らかな化学物質。具体的には国のGHS分類区分にて「皮膚腐食性・刺激性」、「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」、または「呼吸器感作性又は皮膚感作性」のいずれかが区分1である物質。ただし、特化則等の特別規則において、皮膚又は眼の障害等を防止するために不浸透性の保護衣等の使用が義務付けられているものを除く。

② 皮膚吸収性有害物質 : 皮膚から吸収され、又は皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな化学物質。ただし、特化則等の特別規則において、皮膚又は眼の障害等を防止するために不浸透性の保護衣等の使用が義務付けられているものを除く。

【注4】皮膚等障害化学物質等に該当する化学物質について
 (今回改正前の通達=令和5年7月4日 付け基発0704第1号、令和5年11月9日改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001165500.pdf

■この従来の定義から、今回の改正により変更した点と理由は次の3点です。
(1)特化則ほか特別規則等にて保護具着用すべき下記の 「鉛、1,3-プロパンスルトン等」1)~5)が除外されました。従来から特別規則等では一部化学物質に保護具着用義務が定められていた一方、自律的化学物質での保護具着用義務の対象化学物質として定めたものと一部重複していました。今回改正で特別規則等とは何かが明確になり除外され、重複が解消されました。

(2)従来の皮膚刺激性有害物質の定義では、経済産業省所管のJIS規格に基づくGHS分類結果の公表時に即時、皮膚等障害化学物質等として関係規定が適用されていました。事業者がSDSの作成やリスクアセスメント等を行うための十分な準備期間を設けるため、厚生労働大臣が定めることになりました。公表から法的効力が発するまでの準備期間として、2年間を予定しているとのことですが、準備期間中も保護具着用の努力義務が有ります。

(3)混合物の含有量が一定以下である場合に保護具着用義務が免除される 「裾切り値」 が、次のように改正されました。
 ① 皮膚又は眼に障害を与えるおそれがあることが明らかな化学物質 : 1重量%未満 (改正無し)
 ② 皮膚から吸収され、又は皮膚に侵入して、健康障害を生ずる恐れがあることが明らかな化学物質 : 別表【注8】未満の含有量のもの

■今回の改正により皮膚等障害化学物質等は、下記 「除外された鉛、1,3-プロパンスルトン等」 の除外を実施したうえで次の1.~3.の通り定義されました【注5】【注6】【注7】。

1. 皮膚又は眼に障害を与えるおそれがあることが明らかな化学物質であって、次のイまたはロに該当するもの
  イ 国が行うGHS分類区分の結果、「皮膚腐食性・刺激性」、「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」、または「呼吸器感作性又は皮膚感作性」のいずれかが区分1である物であって、令和7年3月31日までに当該区分と分類されたもの。
  ロ 安衛法第57条の2第1項の規定による通知(=SDSによる通知義務に基づく通知)において、「皮膚腐食性・刺激性」、「眼に対する重篤な損傷性・眼刺激性」、または「呼吸器感作性又は皮膚感作性」のいずれかが区分1に該当する旨が示されたもの。

2. 皮膚から吸収され、又は皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな化学物質であって、厚生労働省労働基準局長が定めるもの(=【注8】の別添の皮膚吸収性有害物質一覧)

3. 上記1.または2.のものを含有する製剤その他のもので、1.の含有量が1重量%以上のもの又は2.の含有量が別表【注8】の基準以上のもの

---------「除外された鉛、1,3-プロパンスルトン等」--------------
1) 鉛、 1,3-プロパンスルトン
2) 令第16条第1項各号に掲げる物(石綿等を除く)(=製造禁止物質)
3)令別表第3に掲げる物 (=特定化学物質 第1~3類)
4)令別表4第6号に規定する鉛化合物  (=鉛化合物(酸化鉛、水酸化鉛その他の厚生労働大臣が指定する物に限る。)・労働安全衛生法施行令別表第四第六号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する物(◆昭和47年09月30日労働省告示第91号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74079000&dataType=0&pageNo=1
5)令別表第5第1号に規定する四アルキル鉛 (=四アルキル鉛(四メチル鉛、四エチル鉛、一メチル・三エチル鉛、二メチル・二エチル鉛及び三メチル・一エチル鉛並びにこれらを含有するアンチノツク剤をいう。)
-----「除外された鉛、1,3-プロパンスルトン等」 ここまで---------

【注5】 「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」(令和7年11月18日厚生労働省令第113号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001596506.pdf
【注6】 「労働安全衛生規則第五百九十四条の二第一項の規定に基づき皮膚若しくは眼に障害を与えるおそれ又は皮膚から吸収され、若しくは皮膚に侵入して、健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな物として厚生労働大臣が定めるもの」(令和7年11月18日厚生労働省告示第301号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001596507.pdf
【注7】 労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について(令和7年11月18日付け基発1118第1号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001596516.pdf
【注8】 皮膚吸収性有害物質に該当する化学物質等について(令和7年11月18日付け基発1118第2号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001596517.pdf

<<濃度基準値設定物質に78物質が追加されました(令和8年10月1日施行)>>  リスクアセスメント実施が強制義務となっている化学物質を、リスクアセスメント対象物質と言います。この中でも特に危険性有害性の高いものには濃度基準値が設定され、製...
28/10/2025

<<濃度基準値設定物質に78物質が追加されました(令和8年10月1日施行)>>

  リスクアセスメント実施が強制義務となっている化学物質を、リスクアセスメント対象物質と言います。この中でも特に危険性有害性の高いものには濃度基準値が設定され、製造・取り扱いの際にばく露される濃度をその基準値以下にする義務が有ります。これを濃度基準値設定物質と言い、今日の令和7年(2025年)10月現在178物質が対象となっています。
  この濃度基準値設定物質に、アクリル酸2-エチルヘキシルなど78物質が追加されることになりました※1※3。この法令上の義務が開始されるのは令和8年(2026年)10月1日です。この日までにリスクアセスメントの実施と濃度基準値を満足するばく露軽減対策の実施が必要です。
  また同日和7年10月8日に、「化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針」も改正され、追加された化学物質の試料採取方法・分析方法が加筆されました※2,※3。

※1 厚生労働省 告示269号令和7年10月8日公布�https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001576236.pdf

※2 公示第28号令和7年10月8日 化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針 新旧対照表  
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001576220.pdf

※3 告示の施行通達 基発1008第1号 令和7年10月8日 「労働安全衛生規則第五百七十七条の二第二項の規定に基づき厚生労 働大臣が定める物及び厚生労働大臣が定める濃度の基準の一部を改正する件」の告示等について
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001576161.pdf

<リスクアセスメント対象物からステアリン酸ナトリウム、りん酸トリフェニルが削除されました>  化学物質のリスクアセスメントが法令上強制義務とされている化学物質(リスクアセスメント対象物)は、現在約1,540物質施行されています。これらの物質...
29/09/2025

<リスクアセスメント対象物からステアリン酸ナトリウム、りん酸トリフェニルが削除されました>

  化学物質のリスクアセスメントが法令上強制義務とされている化学物質(リスクアセスメント対象物)は、現在約1,540物質施行されています。これらの物質は同時に、ラベルを表示し安全データシートを交付する義務対象物質でもあります。来年・再来年の改正法の施行に伴い、2,454物質へ追加される予定です。再来年追加予定の化学物質のうち、1129番ステアリン酸ナトリウム、2268番りん酸トリフェニルの2つが削除される法改正がありました(9月19日)。また、りん酸トリフェニルはリスクアセスメント対象物であったと同時に、ばく露濃度を基準値以下に低減すべき濃度基準値設定物質としても来月令和7年10月1日より追加予定でしたが、今回の改正により直前に取り下げられました。

  リスクアセスメントの義務対象物を調べるためには「ケミサポ」【注1】による検索が便利ですが、この記事の図に掲載した通り、既に見え消しされています。

  以下、今回改正の根拠省令ほかを調べたい場合のご参考情報です。
  これら2つのリスクアセスメント対象物の削除は、下記の省令【注2】が公布・即日施行されたことによるものです。同時に下記告示【注3】により、りん酸トリフェニルが濃度基準値設定物質の追加から取下げられ、公示【注4】により試料採取方法・分析方法・濃度基準値が技術指針から削除されました。

【注1】リスクアセスメント対象物一覧のリスト | 1-3.リスクアセスメント対象物に該当するか確認 | 事業者が実施すること | 職場の化学物質管理総合サイト | ケミサポ
https://cheminfo.johas.go.jp/step/list.html

【注2】「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」(令和7年9月19日厚生労働省令第90号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001566310.pdf

【注3】「労働安全衛生規則第五百七十七条の二第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める物及び厚生労働大臣が定める濃度の基準の一部を改正する件の一部を改正する件」(令和7年厚生労働省告示第247号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001566324.pdf

【注4】「化学物質による健康障害防止のための濃度基準の適用等に関する技術上の指針の一部を改正する件(令和7年9月19日技術上の指針公示第27号)に係る新旧対照表」
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001566351.pdf

【ご参考】労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001566359.pdf

<濃度基準値設定物質の追加分が2025年10月1日に施行されますが、準備OKですか?>  自律的化学物質管理の1つとして、濃度基準値設定物質に該当するものを製造・取り扱う際には、暴露される濃度を基準値以下に低減する措置が義務付けられています...
28/08/2025

<濃度基準値設定物質の追加分が2025年10月1日に施行されますが、準備OKですか?>
 
 自律的化学物質管理の1つとして、濃度基準値設定物質に該当するものを製造・取り扱う際には、暴露される濃度を基準値以下に低減する措置が義務付けられています。この法令が新規に施行(義務開始)された2023年(令和5年)4月時点では、濃度基準値設定物質は67種類でしたが、2025年10月1日からは112物質が追加されて(注1)合計179物質(注2)となります。

 換気や呼吸用保護具その他、暴露低減措置の準備は整っていますか?

 今後も濃度基準値設定物質は順次追加されてゆき、最終的に約800種類になると言われています。少なくとも年1回は「厚生労働省 濃度基準告示」のキーワードで検索して、追加予定の化学物質を早目に把握しておきましょう。

(注1)「労働安全衛生規則第577条の2第2項の規定に基づき厚生労働大臣が 定める物及び厚生労働大臣が定める濃度の基準の一部を改正する件」の告示等について 基発0508第3号 令和6年5月8日
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001252602.pdf

(注2)労働安全衛生規則第577条の2第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める物及び厚生労働大臣が定める濃度の基準等(一覧 、 令和6年5月8日更新、令和7年10月1日適用物質の追記)
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mhlw.go.jp%2Fcontent%2F11300000%2F001252610.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK

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