25/08/2026
歴史に学ぶ経営番外編154 『国際機関との付き合い方!?』
2026年8月18日、米トランプ政権が、国際刑事裁判所(ICC)のトップである赤根智子所長を制裁対象に指定したというニュースが世界に衝撃を与えた。ICCがイスラエルのネタニヤフ首相への逮捕状を発付したことや、米兵の戦争犯罪疑惑の捜査に関与したことが、アメリカ側の主な反発理由だ。
トランプ政権は2025年2月の大統領令に基づき、ICC関係者への制裁を段階的に拡大しており、8月18日、そのターゲットとして赤根所長本人が新たに追加された。ルビオ米国務長官は声明で、ICCを「腐敗し、致命的に政治化された超国家的な裁判所」と断じ、「悪意を持って権限を乱用し、逸脱している」と厳しく非難した。
これを受けオランダやドイツ、EU、国連等はICCを「断固支持」すると直ちに表明。トランプ政権への強い反発を示したが、ICCへの最大の分担金拠出国(約45億円/年)であり日本人がトップであるにも関わらず、日本は「大変残念」とコメント。日本政府はICC支持を維持しつつも、米国との関係に配慮した慎重な表現に終始した。
そもそもICCとはどのような組織なのか? その設立は第二次世界大戦後の国際社会が「大量虐殺や戦争犯罪を裁く恒常的な国際法廷の必要性」を痛感したことから始まり、半世紀以上の議論と紛争対応の経験を経て、1998年ローマで国連外交会議が開催され、120か国の賛成でローマ規程が採択、2002年の発効によって実現した。2003年3月、オランダ・ハーグで史上初の常設国際刑事裁判所が開所。その意義は、国家が裁けない重大犯罪を国際社会が個人責任として裁く「常設の国際刑事司法の柱」を築いた点にある。(ウィキペディア)
同じくオランダ・ハーグに所在する国際裁判所でICJ(国際司法裁判所)がある。混同しそうだが、簡単に言えば、ICJは“国家を裁く裁判所”で国連の一部、ICCは“個人を裁く裁判所”で国連とは独立した条約機関である。最近の事例で言えば、我々には同じように見えるガザ紛争だが、南アフリカがジェノサイド条約違反だとしてイスラエルを提訴した先がICJ(国際司法裁判所)であり、戦争犯罪・人道に対する罪の疑いでネタニヤフ首相を訴追したのがICC(国際刑事裁判所)である。
さて日本の主要メディアは、ICCこそ国際司法の最後の砦でこれを守れとの論調だが、ここは冷静に判断しなければならない。確かにプーチンやネタニヤフの訴追やドウテルテの逮捕等は一定の成果を挙げているようにも見える。しかしチャイナのウイグルやチベットにおける人権侵害や北朝鮮による日本人拉致問題についてはどうか?こちらについては十分な司法的対応を取れていない。もっとも、その背景には中国・北朝鮮がローマ規程に加盟しておらず、ICCの管轄権が及ばないという制度上の限界もある。
ローマ規定という国際条約に基づくICCだが、米国、チャイナ、ロシアといった大国は加盟していない。崇高な理想を掲げてもそれだけでは企業は長続きしないのと同様に、初めから実効性に疑問のある組織に投資を続ける意味はあるのか? そもそも国家主権より上位に国際法があるという考え方には慎重であるべきではないか? 国際協調と米国との関係の狭間で、検討すべき課題は多い。赤根所長個人の生活を保障することには賛成だが、それ以外のことはゼロベースで検討すべきちょうどよい時期ではないだろうか。国際機関を盲信する時代ではない。 以上
#歴史に学ぶ経営番外編