01/08/2017
ラオス出張(神棒 2017年6月、7月)
神棒です。2017年3月に続き、ラオスへ6月、7月と2度出張しました。今回はラオスのビジネス環境について書きたいと思います。
私は、新興国への進出、ビジネス展開を支援する際には、世界銀行グループが発行している「Doing Businessレポート」の最新版を参考にしています。世界銀行はIMF同様、世界を見渡し、各国・地域を比較する点で優れています。(出所:http://www.doingbusiness.org/)
これは、ビジネスのしやすさを11の分野で190の国・地域で数値化し、ランキング化したものです。評価する11の分野は、例えば
1. ビジネス開始の容易さ:会社設立手続き、必要時間、費用、最小資本金額
2. 電気契約の容易さ:手続き、必要時間、電力の安定性、料金の透明性
3. 不動産の権利保全、登記:不動産譲渡手続き、必要時間、費用、土地管理システム
4. 資金調達:担保に関する法律や信用情報システム
5. 労働市場規制:雇用規制の柔軟性など
などで、まさにビジネスを始める、運営を行う上でやりやすいか、やりにくいかが相対的にわかります。尚、このランキングでは各国・地域のマクロ経済の安定性、金融市場の発展度合い、贈収賄の起こりやすさなどは考慮していません。
最新(2017年)ランキングでは、世界の上位3国はニュージーランド、シンガポール、デンマークで、アメリカが8位、日本は34位です。ラオスは134位になっています。アジアの国ではインドが130位、カンボジアが131位、パキスタンが144位となっています。
今回のラオス訪問では、外国人投資家への参入の許認可を与える商工省(Ministry of Industry and Commerce)、計画投資省(Ministry of Planning and Investment )を訪問しましたので私の実感としての「ビジネスのしやすさ」を述べたいと思います。
他の新興国と同様、ラオスでも外資規制があります。参入できない業種、参入が規制されている業種「ネガティブリスト」、条件付きで参入が認められる業種「条件付きビジネスリスト」が存在します。条件付きビジネスリストには卸売り、建設業などが含まれ、最低資本金や外国株主比率の上限など規定されています。また、コンセッション事業があり、特区に進出した場合は税制上の優遇などが受けられます。
条件付きビジネスリストでは、業種が細かく規定されているわけではありません。実際、役所の担当者にお会いして、日本の会社がラオスに進出するにあたって、計画しているビジネスが規制対象業種なのか、対象外なのか、対象の場合は最低資本金などどうなるのかなど質問したのですが、明確な答えも得にくく、予見しにくいという印象でした。会社設立に必要な書類(10種類以上の書類)をラオス語ですべてそろえ、ビジネスプランを含めていったん提出し、1~2か月をかけて審査を行い判断するというスタンスでした。残念ながら、書類を作成する前に事前相談で予備的な判断をしてアドバイスをしてくれるという状態ではありませんでした。また、担当省庁の役割分担は縦割りで、外国人にはそもそもどこに相談したらよいかわかりにくく、窓口をたらいまわしされるという経験もしました。
もちろんこれらは他の新興国でも同じような状態と考えます。ラオスでも改善への取り組みを行っているようです。現状は、外資がラオスに進出する場合、一般の事業で法人設立であれば、商工省のワンストップサービスが窓口、コンセッション事業や駐在員事務所であれば計画投資省のワンストップサービスが窓口、経済特区でのビジネスであれば経済特別区のワンストップサービスが窓口です。つまり「ワンストップサービス」を標榜していても実際には3種類のワンストップサービス窓口が存在していることになります。これがどこに相談したらよいかが分かりにくい要因です。
計画投資省の担当者の説明では、外国人投資家への窓口を統合し、一元化して相談を受け付ける真の「ワンストップサービス体制」を2017年秋をめどに実施するとのことでした。
新興国にとっては、海外からの投資は経済発展に欠くことができない極めて重要なものです。新興国は海外からの投資を獲得すべく、制度改革を行い、上記の世界銀行のランキングを上げるべく必死です。新興国に進出する日本企業も現状の対応に不満を感じることが多いと思いますが、忍耐力をもって対応するとともに、改善の内容、スピードに目を向けるべきです。新興国の変化は急速です。大きな改革を短期間に行い、ビジネスのしやすい国に変貌することが起こりえます。一度の経験や思い込みに縛られては、チャンスを逃すことになりかねません。