14/09/2026
●スケールダウンした戦略では勝てない
[要旨]
ユニフォームネクスト社長の横井康孝さんによれば、小さな会社の戦略は、大企業の戦略を単に縮小したものではないということです。すなわち、大企業は豊富な経営資源(大きなバケツのバター)があるため、広い市場(パン全体)を網羅できますが、資源の限られた小さな会社(ひとかけらのバター)が同じように広い市場を狙えば、強みが薄まり、顧客に価値を届けることはできなくなるので、小さな会社が顧客から選ばれるようになるためには、限られた資源をどこに集中させるかを決める経営戦略が適切であり、単に、大企業の真似を続けることこはリスクが高くなるということです。
[本文]
今回も、前回に引き続き、ユニフォームネクストの社長の横井康孝さんのご著書、「小さな会社は戦略が9割」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。(ご参考→ https://x.gd/hmy2i )前回は、横井さんによれば、大企業には明確な戦略が不可欠ですが、小さな会社にこそ戦略が必要であり、なぜなら、大企業は莫大な資本や知名度などの圧倒的な余力があるため、多少の戦略のミスがあっても致命傷にはなりにくい一方で、資源の限られた小さな会社が大企業と同じ土俵で戦えば勝ち目がないため、小さな会社こそ大企業よりも精度の高い事業活動を行わなければならないからだということについて説明しました。
これに続いて、横井さんは、規模の小さな会社は規模の大きな会社と同じ経営戦略をとってはいけないということについて述べておられます。「もうひとつ、絶対に注意しでおかなければならないことがあります。それは、小さな会社の戦略は、大企業の戦略を単にスケールダウンさせたものではないということです。想像してみてください。目の前に巨大な食パンがあります。大企業は、大きなバケツ一杯のバター(経営資源)を持っています。だから、パンの全面にバターを塗っても、しっかりと味を感じさせることができます。
しかし、僕たち小さな会社の手元にあるのは、ほんのひとかけらのバターです。それなのに、大企業と同じように『パン全体(広い市場)』に塗ろうとすれば、どうなるでしょうか。どれだけ一生懸命に塗り広げても、バターは薄まり、どこを食ベても全く味がしません。結局、パンの味しかしないのです。これが、『大企業の戦略をスケールダウンして真似ている』小さな会社の姿です。
自分たちのなけなしのバターを、どこに集中して塗るかを決めない限り、お客様に選ばれる価値(味)を作ることは不可能なのです。小さな会社には、小さな会社だからこそ取るベき戦略があります。その違いを理解せずに経営を続けること。それこそが、会社にとつて最もリスクの高い選択になってしまうのです」(43ページ)
横井さんの、「小さな会社の戦略は、大企業の戦略を単にスケールダウンさせたものではない」ということは、ほとんどの方がご理解されると思います。しかし現実には、大きな会社と同じ経営戦略をとろうとする中小企業は少なくないようです。このようなことが起きる理由として考えられることの1つ目は、私たちは日常生活において大企業の販売する製品を見ることが多いため、経営戦略といえば大企業が実践しているものと考えてしまうからではないか、ということです。その代表的な例が、商品の価格をできるだけ下げるという価格戦略です。この価格戦略のような体力勝負の戦略では、経営資源の少ない中小企業はすぐに敗れてしまいます。
それにもかかわらず、価格戦略をとろうとする中小企業経営者の方は少なくないのですが、では、なぜ勝つ見込みが少ない価格戦略をとろうとする経営者の方が多いのかというと、それは価格以外の面で競争力を高めることの難易度が、相対的に高いからだと思います。価格以外の要素には品質、接客、付帯サービス、会社のイメージなどがありますが、これらは一朝一夕に競争力を高めることが難しいからでしょう。とはいえ、優れた経営戦略をとることで業績を高めた中小企業の例は少なくありません。
例えば、東京都台東区でビニール傘の製造をしているホワイトローズ( https://x.gd/e3Ugt )という会社は、1本1万円以上する高級ビニール傘の需要を開拓し、従業員数が10名に満たない会社でありながら、年商約1億円を売り上げています。高級ビニール傘の需要は少ないものの、それをインターネットを通して受注することで、採算を得ることができるロットにしているそうですが、これはインターネットで受注するという販売戦略が奏功した事例です。
このような事例は、優れた経営戦略を見つければ、規模の小さい会社でもビジネスチャンスをつかむことができるということを示しています。すなわち、規模の小さい会社は大企業と同じ戦略では勝てないということ、そして、規模の小さな会社に向いた経営戦略を実践すれば大企業との競合を避け、安定した事業展開ができるということです。これらのことからも、現代は中小企業こそ中小企業に適した経営戦略を基に事業展開をすることが重要であると言えるでしょう。
2026/9/15 No.3562
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