01/06/2026
管理者日誌_φ(・_・
人は不思議なもので、忘れたいと願う記憶ほど心の奥に沈み、消えてはくれない。
悲しみも、後悔も、胸を刺したあの言葉も、時の流れに薄れていくことはあっても、完全に失われることはない。
むしろ、ふとした匂いや景色、何気ない瞬間に姿を現し、私たちを過去へと引き戻す。
それなのに、忘れたくない記憶は静かにこぼれ落ちていく。
愛する人の名前、昨日の出来事、何十年もかけて積み重ねてきた人生の断片。
その理不尽さを、認知症という病は私たちに問いかける。
しかし、その問いは決して他人事ではない。
認知症の人を見つめるということは、やがて訪れるかもしれない自分自身の未来の姿を見つめることでもある。
もし自分が、大切な人の顔を思い出せなくなったら。
もし自分が、慣れ親しんだ帰り道に迷ってしまったら。
そのとき求めたくなるのは、失われた記憶を責める言葉ではなく、心に寄り添うやわらかなまなざしだろう。
認知症ケアは、「何を忘れたか」ではなく、「何を感じているか」に目を向けなければならない。
そこに必要なのは介護技術だけではなく、人が人を想う想像力である。