04/11/2022
【長文です】
出版不況に連動する形で「書店」の減少が止まりません。
2001年には全国に2万店以上あった書店が、2020年には1万1000店台まで落ち込み、今年は(正確な数字は分からないものの)1万店を割るのでは、と見られています。
書店の数が減ったのには、様々な要因が複雑に絡み合っています。
まず、インターネットの普及。情報の入手経路が紙媒体からネットに置き換わったことで、若者の活字離れを招き、さらにAmazonをはじめとした、売り場を持たないオンライン書店での購入が定着するとリアル書店の需要が激減。
加えて、電子書籍が紙媒体の市場を侵食し、さらには[ブックオフ]などの中古書籍販売サービスが普及するなど、書店以外での本の購入手段が多様化していったことが、書店の衰退につながったといえます。
しかし、なんといっても最大の要因は、雑誌が売れなくなったことにあります。日本の出版業界を支えてきたのは、書籍より、雑誌。その売上高が、ピーク時の3分の1まで落ち込みました。
雑誌の中心的購入層だった若者は、これまで雑誌から得ていた情報を、スマホから簡単に、しかもスピーディーにゲットできるようになったことで、雑誌の需要はどんどん先細りとなり、市場は急激に縮小。
併せて、2000年代に入ると、コンビニという強力な販路に、ドル箱だった雑誌の売り上げを持っていかれてしまいます。この現象は、特に雑誌の売り上げで成り立っていた“街の小さな本屋さん”を直撃しました。
生き残りをかけ、全国の書店では、“本を売るだけ”からの脱却を図り、新たなモデル像を模索しています。
“書店ゼロの街をなくす”という理念のもと、全国約800の書店を展開する[CCC=カルチュア・コンビニエンス・クラブ]は、ライフスタイルやサービスを提案できる書店の未来像を探ります。
その一例が、東京・代官山の蔦屋書店内にオープンした“シェアラウンジ”。ラウンジとシェアオフィス機能を併せ持った空間で(60分1650円)、フリードリンク&スナック、本は読み放題。都内、100拠点の開設を目指しています。
入場料が必要な書店として話題になった、東京・六本木の[文喫]。平日1650円、土日祝日は2530円(9月に1980円から改定)を払うと、午前9時から午後8時までの間、店内の書籍を自由に閲覧可能。コーヒーとお茶が飲み放題で、食事(有料)もとれます。“本と出会う本屋”をコンセプトとしており、そのしかけの一つとして好評なのが、書店員による“選書”(入場料込みで5500円)。事前に年齢や職業などのほかに、予算や希望ジャンル、最近良かったと感じた映画などをウェブのシートに入力すると、3~4冊がおすすめ本として選ばれます。同店では、入場料を払っているんだから、という気持ちがはたらくのか、来店客の4割は、実際に本を購入するとのこと。これは、通常の書店の約3倍の客単価となります。
ここ数年の間に、カフェを併設した“ブックカフェ”は定着化し、雑貨やギャラリー、家電、ドラッグストア、コンビニなどとの一体型複合書店をはじめ、“泊まれる本屋”(ブックアンドベッド)まで出現。人と本との出会いはもとより、人と人との出会いの場としての書店。新しい知のエンタメ空間としての書店へと、今は進化の途上といえそうです。
※参考:
出版科学研究所
https://shuppankagaku.com/
CCC
https://www.ccc.co.jp/
文喫
https://bunkitsu.jp/
日経МJ(2022年7月6日付)
文化を喫する、入場料のある本屋。人文科学や自然科学からデザイン・アートに至るまで約三万冊の書籍を販売します。一人で本と向き合うための閲覧室や複数人で利用可能な研究室、小腹を満たすことができる喫茶室を併...