社会保険労務士法人 齋藤オフィス

社会保険労務士法人 齋藤オフィス 「自ら成長・発展できる経営資産」であるヒト(人)から企業の成長をサ? 免責事項:当フェイスブックページに掲載されている情報等の正確性・妥当性の確保に努めておりますが、コンテンツの利用によって利用者等に何らかの損害が生じた場合にも、社会保険労務士法人齋藤オフィスは一切の責任を負うものではありません。

31/07/2026

「うちもそろそろAIを業務に活用していかないと」

そう感じている経営者の方は確実に増えています。しかし実際には「で、結局何から始めればいいのか分からず、そのまま数ヶ月が過ぎてしまった」という声が驚くほど多いです。

先月号のニュースレターでもお伝えしたとおり、中小企業のAI導入率はまだ2割程度にとどまっています。ある民間調査では「何から始めればいいか分からない」ことが導入を阻む最大の理由(6割超)として挙げられており、コストや人材不足よりも上位にきています。

つまり多くの会社は「AIの活用をやりたくない」わけではありません。「最初の一歩」のところで立ち止まっているだけといえます。

では、その一歩をどう踏み出せばよいのか。今回はポイントを3つに絞ってお伝えしたいと思います。

1つ目は「個人のアカウント(有料・無料にかかわらず)任せにしない」ということです。

商工中金の調査によれば、社内でのAI利用について「会社として導入している」と回答した企業はわずか16.3%にとどまる一方「個人の判断に任せている」と回答した企業は64.9%にものぼります。

つまり多くの会社では、社員が各自のスマホやパソコンでAI(有料版・無料版にかかわらず)をそれぞれ使っているだけで、実は「会社としての取り組み」にはなっていないのです。これは意外と見過ごされがちな落とし穴といえます。

個人のアカウントに顧客名簿や取引先情報、社員の個人情報といった機密性の高い情報を入力してしまえば情報漏洩のリスクは避けられません。

会社として法人向けの有料プランを契約し、入力した情報が学習に使われない環境下(法人プランは一般的)で会社の契約アカウントで社員がAIを運用すること。そのうえで全社共通のルールのもとで使うこと。これがAI導入における「最低限の土台」だと私は考えています。

2つ目は「いきなり大きく始めない」ということです。

いきなり「全社のDX」を掲げる必要はありません。むしろ毎日繰り返している地味な定型作業を1つだけ選ぶ。これだけで十分です。

実際、中小企業が最初にAIを使い始める業務で最も多いのは、請求書の転記や受発注データの照合、日報作成といった「書類処理・データ入力」(4割弱)です。派手さはありませんが確実に時間がかかる作業ほど効果が見えやすいという特徴があります。

三重県の老舗じゃばらメーカーでは、年間約2万件にのぼる受注データの照合作業にAIを取り入れ、3人がかりだった作業を1人体制に移行できたそうです。

また、ある建設関連会社では、荷札作成業務の工数をAIの導入により9割削減しています。どちらも「AIプロジェクト」と呼べるような大がかりなものではなく、日々の地味な作業へのAI適用という事例です。

3つ目は「理解していない人だけで判断しない」ということです。

実務を特定の誰かに任せること自体は間違いではありません。問題となるのはAIについて「よくわからない」という理由だけで、その判断を現場任せにしてしまうことです。担当者が異動や退職をした途端、会社のAI活用がゼロに戻ってしまう。そんなケースは珍しくありません。

ここで理解しておくべきなのは、代表者だけではなく、役員や現場をまとめる幹部社員といった、日頃から会社の意思決定に関わる立場の人たち全員がAIを学ぶことが重要だということです。

せっかく現場が「使えそうだ」と感じても、それを判断する側に何の実感もなければ「よくわからないから、もう少し様子を見よう」の一言で話が止まってしまいます。逆に経営に近い立場の人達が自分の業務でAIに触れ「これは思ったより使えるな」「ここは人がやった方が早いな」という感覚を持っていれば次にどこへ広げるかの判断を下すことが可能です。

この感覚は、社員にただ指示するだけで身につくものではありません。実際に自分の手を動かしてみて初めて掴めるものです。

会社でのAI導入とは、何か特別な設備投資をすることではありません。

会社としての土台を整え(社員個人のアカウント任せにせず、会社が契約するアカウントで運用すること)意思決定に関わる立場の人たちがAIを使って学ぶこと、その上で目の前にある「地味だけど時間を取られている作業」をまずはAIに任せてみる。それが中小企業にとって最も現実的で確実なスタートラインとなるのではないでしょうか。

30/06/2026

弊社がお届けするニュースレターでは「働くということのAIが描く未来図」についてお伝えする機会が増えてきています。

今後AIにより「働くこと」に大きな変革が起こることは間違いないわけですが、働く「ヒト」に関わる士業として職場におけるコミュニケーションの大事さといったヒトとヒトが直接関わりながら働くことの重要性は十分に理解しているつもりです。

しかし「需要と供給」という経済活動環境下においては時に「個人の思いや理想」といったことだけではどうにもならない流れで進んでしまうことがあります。

私はこの「需要と供給」の現実を前にして「AIを学ばない、使用しない」という選択肢は「もはや考えられない状況」だと考えています。

私自身、AIの1つであるClaudeの有料アカウントを契約(Claude Code)し、オフラインで稼働する自分専用の業務効率化アプリをAIに作成してもらって実際に運用するなど、AIを積極的に活用して「学び」を深めていっています。

AIに対する危機感の強い我々士業業界でもAIへの捉え方は様々なのですが、AIを積極的に活用(この活用とはAIへの学びを深めることも含まれる)している士業仲間の話を聞くと、その殆どが「今後AIを使いこなす人と使えない人との差が大きく広がる」(私も同様の認識)という認識です。

これは決して士業にだけ言えることではなく全ての業種・業界で共通する認識だと私は考えていますが、まだまだ日本のAIの利用率の低さ、特にAIへの理解と活用方法の理解が進んでいない現状が見えてきます。

総務省が発表した「個人におけるAI利用の現状(令和7年度版)」では、日本において生成AIサービスを「使っている(過去に使ったことがある)」と回答した平均割合は、2024年度調査では26.7%(年代別で見ると20代で44.7%、30代で23.8%、40代で29.6%、50代で19.9%、60代で15.5%)でした。

2023年度に実施した調査では9.1%であったことを踏まえると利用経験は拡大してきているといえますが平均で3割にも満たないという結果です。

また、生成AIを含むAIの利用意向について尋ねたところ、調べものやコンテンツの要約・翻訳等の利用意向が相対的に高く、まだまだ検察エンジンに毛が生えた程度といった活用方法でしかないようです。

一方、同様に総務省が発表した「企業におけるAI利用の現状(令和7年度版)」においては、AIを「積極的に活用する方針」「活用する領域を限定して利用する方針」とした企業の比率は2024年度調査では49.7%となり、2023年度調査(42.7%)と比較して増加しています。

この調査は日本・米国・ドイツ・中国の4カ国を対象にしたアンケート調査ですが、日本が49.7%である回答の割合を他の国で見ると米国は84.8%、ドイツが76.4%、中国が92.8%となっており、増加したといっても他の国に比べると引き続き日本はAI利用率が低い傾向にあります。

 さらに何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合は、日本で55.2%(「業務で使用中」と回答した割合)となっていますが、こちらも米国90.6%、ドイツ90.3%、中国95.8%と他国に比べてかなり低くなっています。

生成AIの導入に際しての懸念事項について尋ねた質問には「効果的な活用方法がわからない」が日本では最も多く30.1%となっています。(同じ回答は米国では9.7%)

また生成AIの活用推進による自社への影響に対する考え方について日本では「業務効率化や人員不足の解消につながる」が最も多く(32.8%)挙げられています。

ところが生成AIの活用推進による自社への影響に対する考え方を他国の結果で見ると、米国では「ビジネスの拡大や新たな顧客獲得」が50.2%で最多、ドイツも同回答が34.6%で最多、中国は「新たなイノベーションが生まれる」と回答した割合が45%で最多となっています。

日本が「効果的な活用方法が分からない」「業務効率化、人員不足解消」といったレベルの話をしているときに世界はAIの活用を前提とした上で「ビジネスの拡大やイノベーションの創造」のレベルに到達しており、AI活用への方向性(考え方)についても遅れをとっていることが浮き彫りになっています。

AIを学ばない、使わないといった選択肢は、周りから取り残されるといった程度の話ではなく、生き残れるか否かの重大な分岐点になってしまうと考えられます。

個人としても企業としても既に生成AIを「なんとなく使ってみる」というレベルの話ではなく「積極的に学び・使っていかないといけない」という認識で取り組んでいく必要があると思います。

29/05/2026

先月、ある銀行と市役所でSNSをきっかけとした情報流出事件が立て続けに発生し社会に大きな衝撃を与えました。

◇ 西日本シティ銀行の事例
行員が執務室内で若者に人気のSNSアプリ「BeReal(ビーリアル)」を使って撮影・投稿。そこには顧客の氏名や業績目標が書かれたホワイトボードがはっきりと写り込んでおり、後にXなどで大拡散。銀行は公式に謝罪する事態へ追い込まれました。

◇ 川崎市役所の事例
新入職員が「同期と研修の様子を共有したい」という軽い気持ちでLINEのオープンチャットに内部の研修資料の写真を投稿。不特定多数が見られる場所だったため瞬く間に外部へ流出しました。

これらの事件の共通点は、当事者に「会社(役所)を陥れてやろう」という悪意がなかった点です。「今ここにいるよ」という日常の記録や「仲間と共有したい」という些細な動機が一瞬で会社(役所)の信用を失墜させる刃に変わってしまうのが現代のSNSリスクの恐ろしさだといえます。

こうした事件を見て焦った企業がやりがちなのが「明日までにこの誓約書(情報漏洩に対する意識付けや違反したときの損害賠償など)にサインして提出しなさい」と従業員に書類を突きつけることでSNSリスク(情報漏洩)を防ごうとする対策です。

厳罰や損害賠償と言った言葉を示した文書でSNSリスク(情報漏洩)を防ごうとするアプローチは、労務管理の本質から外れています。これを受け取った従業員は、「会社から疑われている」「信用されていない」と感じ会社への反発心やエンゲージメントの低下を生むだけです。

では企業はどのように対策をしていくべきなのか。

私は「従業員を信頼すること」から始めて「従業員を当事者として巻き込む」ことを意識した方法が良いと考えています。

会社からSNS運用のガイドラインを一方的に配布したり、誓約書のサインを求めるのではなく、まずは従業員を数名単位でグループ分けして「進行役(ファシリテーター)」をグループごとに1人ずつおき、30分から1時間程度の対話の場を設けます。

この対話の場の目的は、単に禁止事項を並べることではなく「自分たちが普段扱っている情報の重み」に従業員自ら気づいてもらうことです。

◇ ステップ1 『価値』を再確認する
まずは銀行の顧客名写り込み事件などを例に挙げ「私たちが普段お客様からお預かりしている情報の中で一番守らなければならない『一番の秘密』は何だろう?」と問いかけます。

従業員自身に日頃扱っているカルテ、発注書、顧客名簿、過去のやり取りの履歴などの名前を挙げてもらうことで「自分たちは価値のある大切なもの(秘密)を任されている(預かっている)立場にある」という気づきを最初に呼び起こします。

◇ ステップ2 『死角』を発見する
次に「悪気はなくても私たちがスマホを操作したり何気なく写真を撮ったりしたときにうっかり背景に写り込んでしまう『危ない死角(リスク)』が、このオフィスの中にどこにあるか」をみんなで探します。

「書類が常に積まれている自分のデスクの上」「背表紙のタイトルが見えそうな共有の書類棚」「予定が書かれたホワイトボード」など、実際の作業動線を思い浮かべながら従業員自身の目で見つけてもらいます。他人から「そこは危ない」と指摘されても現実味を感じなかったとしても自分で発見することで職場のリスクが「自分ごと」としてリアルに見えてきます。

◇ ステップ3 『私たちの約束』へ昇華させる
最後に「みんなの大切な仕事とこのオフィス(職場)にある情報を守るために今日から私たちはどんな工夫(約束事)をしたらいいと思うか?」と問いかけます。

ここで従業員側から「書類がある執務スペースには私用スマホを持ち込まないようにしよう」「スマホを触るなら完全に書類が見えない休憩スペースに限定しよう」といった具体的なルール案を引き出します。

一方的な誓約書で従業員を縛り注意喚起をするだけでは、SNSへの情報漏洩を防ぐ実質的な効果は期待できません。本当にリスクを抑え込むために必要なのは従業員自身の意識改革です。

従業員自らが「扱っている情報の重要性」に気づき、日々の業務に潜む「漏洩リスク(死角)」を正しく認識し、その上で「どう対策すべきか」を自ら考えること。

このプロセスを経て初めて現場に強い当事者意識が生まれ、結果として重大な情報漏洩リスクを最小限に抑える防衛策に繋がっていくのではないかと思います。

30/04/2026

新卒の新入社員が入社して1ヶ月が経過しようとしています。入社直後は離職率の高い時期ですから新入社員も受け入れる側の会社も先輩社員も緊張の1ヶ月であったのではないでしょうか。

厚生労働省の調査では、新規学卒就職者の約1割が入社後3ヶ月以内に離職の意向を持つとされており、中小企業では特にその傾向が見られます。

近年、こうした早期離職をめぐる新たな問題も起きていて、SNS上では「入社初日に退職代行を使って辞めた」という投稿が相次いでおり、実際に退職代行サービスへの依頼は入社直後の時期に急増すると報告されています。こうした事態を防ぐためにも入社後の受け入れ体制を今一度見直すことがより重要となっています。

ここで「オンボーディング(Onboarding)」について考えてみたいと思います。

「オンボーディング」とは、新入社員が組織に早期に馴染み戦力として活躍できるよう支援するための一連の取り組みのことです。

「船に乗り込む」という語源が示す通り、単なる業務説明にとどまらず会社のルール・文化・人間関係を含めて「仕事をする土台」を整えることを指します。

新人研修といった「入社して数日だけのイベント」ではなく、入社後数ヶ月にわたって継続的に行うプロセスです。一部の企業では「現場に放り込んで覚えさせる」スタイルをとるケースもありますが早期離職の大きな原因の一つになりますのでお勧めできません。

◇ ステップ1 
「初日の演出」第一印象が定着率を決める(入社当日)

入社初日の体験は、新入社員がその後「ここで頑張ろう」と思えるかどうかに直結します。

よくある失敗が「初日なのに誰も相手にしてくれない」「いきなり高圧的な態度で接してきた」というケースです。入社初日に受け入れ体勢が出来ており、上司や同僚が笑顔で出迎えコミュニケーションをとるだけで不安はぐっと和らぐものです。

また当日(入社初日)のスケジュールをあらかじめ伝えておくことも大切です。「次に何が起きるかわからない」状態はそれだけで心理的な負荷になります。

◇ ステップ2 
「孤立にさせない」最も離職リスクが高い時期(入社1〜3ヶ月)

入社後1〜3ヶ月は、オンボーディングの中で最も気を抜けない時期です。

業務に慣れてきた一方で、「本当にこの仕事が自分に合っているのか」「周りに迷惑をかけていないか(コミュニケーションがとれているか)」という不安が噴き出しやすいタイミングです。

この時期の離職の最大の原因は「孤立感」です。

何かあったときに相談できる相手がいるかどうかが定着を大きく左右します。週1回15分でも構いません。上司との定期的な1on1面談を設けましょう。

また年齢の近い先輩社員をメンターとして一人つけることも効果的です。「何でも聞いていいよ」という一言が新入社員にとって大きな安心感になります。小さな仕事でも「ありがとう、助かったよ」と声をかける習慣が職場全体の定着率を高めます。

◇ ステップ3 
「成長機会を示す」自立と定着の仕上げ(入社3〜6ヶ月)

入社から3ヶ月を超えると業務の全体像が見えてきます。

この時期に「自分の将来(キャリア)がここでは描けない」と感じさせてしまうと、転職活動へと向かってしまいます。

成長機会や目指すキャリアのロードマップといった見通しを、この時期までに具体的に伝えておくことが重要です。チームの一員としての役割を明確にし「あなたにここを任せたい」という期待を言葉で伝えることが何よりのモチベーションになります。

会社の第一印象(ステップ1)、孤独にさせない(ステップ2)、成長機会を示す(ステップ3)といった3つのステップを「組織的」にオンボーディングとして運用することで「最も離職率の高い時期」を乗り越えていく努力が求められています。

「そこまでしなければならないのか」といった声も聞こえてきそうですが、高い採用コストを使って獲得した新入社員が戦力となる前に辞めてしまうのは会社にとっても大きな損失です。

このオンボーディングは良質なコミュニケーションをとるツールとしても優秀ですから、新入社員に対して積極的に関与(コミュニケーションをとって)して「会社に居場所」をつくることは大事な視点であるといえます。

31/03/2026

社会保険労務士という仕事をする私が最も重要視するものは「人事労務管理の世界で今なにがおきているのか」といったことを知ることと「それを裏付ける統計」を知って学ぶことです。

そのため様々な公的機関や民間企業が発信している統計資料だけでなく、SNSの情報、他士業の方々との情報交換、お客様との雑談等を通して「リアルな今」を知ることを大事にしています。

その事案や統計といった物で今もっとも重要視しているのはAIや自動化がもたらす未来図です。

様々な方々と話をしていると、我々人間が行なっている仕事に対してAIがどのような未来を描こうとしているかについて「危機感を持つ人」と「まったく関心が無い人(危機感を持っていない)」に極端に分かれているように感じています。

どちらかというと「まだまだ大丈夫でしょ」といった意見の方が多く、そもそもAIで何が行なわれているかについても興味が無い(よく知らない)と言った人もいるように感じます。

フランスの大手市場調査会社のイプソス社が行なった「AIグローバル意識調査2025」では、「今後5年以内にAIが自分の仕事を代わりに行う可能性がある」と回答した日本人はわずか29%で世界30カ国平均の約50%超えと比較しても極めて低い数字です。

日本人に「何故そこまで危機感がないのか」という理由についてシンクタンクの分析結果では、日本独特の雇用の流動性の低さ(解雇ではなく配置転換などで雇用が守られるという希望的観測)や深刻な人手不足の救世主(人手不足を補ってくれるものとしてAIを捉える傾向)やAIへの理解不足(「AIが具体的に何ができるか理解している」と答えた日本人は世界最下位(41%)という結果)があるためとしています。

ではAIが描く未来図に無関係と言い続けることのできる人がいるのでしょうか。

我々多くの日本人も利用するサービスを運営する米国のグローバル企業はAIの描く未来図をみすえて既に大規模なリストラの動きを見せています。

◇ Microsoft 約15,000人 
AIへのリソース集中。既存のハードウェアや一部の古いソフトウェア部門を削減。
◇ Google 数千人規模
広告販売チームのAI自動化や、ハードウェア部門の統合。AIエージェントによる業務効率化。
◇ Amazon 約16,000人
AI導入による本社・管理部門の効率化。アンディ・ジャシーCEOは「AI活用による階層の削減と官僚主義の排除」を強調。

これは米国企業に限った話ではなく、日本企業でも「AIへの代替に伴う配置転換」や、黒字の状態で行う「先読みの構造改革(黒字リストラ)」が目立ってきています。

◇ みずほフィナンシャルグループ
AI導入による業務効率化を背景に、事務職5,000人規模の配置転換を検討。AIエージェントが定型的な事務作業を代替することで、余剰となった人員をコンサルティングやIT部門など、より付加価値の高い分野へシフトさせる狙い。
◇ リクルートホールディングス
前年から続く流れとしてAIによるマッチング精度の向上を背景に約1,300人の削減を継続。出木場久征CEOは「AIが世界を変えており会社も適応しなければならない」と述べておりAI活用による組織のスリム化を進める。

また大規模な配置転換やリストラに至らなくとも「AIで代替可能な職種の採用を止める」動きが今年に入ってから顕著にあらわれています。

◇ NEC
グループ全体の定型業務をAIで40%削減する目標を掲げ、それに伴う一般事務職の採用停止を事実上発表。
◇ 三井住友銀行(SMBCグループ)
窓口事務やコールセンター拠点の集約を進めており、これらの部門の新規採用を大幅に抑制。
◇ サイバーエージェント
AIによる広告制作・ゲーム開発の効率化による制作・エンジニア職の採用抑制。

マイナビの「AI・テクノロジー導入における採用状況調査(2026年版)」によると、上場企業を含む調査対象企業の45.2%が「テクノロジー導入によって新規採用数を抑制した」と回答しています。

「人手不足」といったワードや「高額な初任給の新卒採用」といったワードで採用の困難さが世間を騒がせる一方で、AIの活用によって「人を減らす(採用を減らす)動き」も同時に起きているのが今年に入ってからの特徴と言えそうです。(今年に入ってより表面化している印象)

このAIが描く未来図を「他人事」として捉える時代はもはや過去の話となり「自分事」として捉えなければならないことを意識してAIと向き合う(学ぶ)ことが多くの人に求められることになります。

27/02/2026

「あの上司に私を評価する資格があるとは思わない」「評価のやり方が納得できない」「納得のいかない評価をされて賃金に影響する事が理解できない」など、人事評価制度を導入した際によく聞こえてくる話です。

感情の生き物である「ヒト」が「ヒト」を評価するわけですから、100人いれば100通りの意見や評価が出てくるわけですから、このような意見や不満が出てくることは不思議な事ではありません。

そのため評価の基準を公表して透明性を高めたり、考課者(評価をする側の社員)を複数にして一人を複数の目で評価することで正当性を高めようとしたり、また考課者の評価する能力にバラツキや誤差が生まれないように考課者訓練(研修)を頻繁に開催するなどを行っているわけです。

しかし「わが社の人事評価制度に100%満足しています!自分への評価結果にも大満足です!」といった声が大勢の社員から聞こえてくることは決してありません。

これは生活するうえで重要となる「賃金額」(昇進などによる昇級も含めて)の決定要素(昇給額や賞与額)として人事評価制度で下された評価が活用されることとなり、感情の生き物である「ヒト」が下した評価が自身の直接の生活に影響してしまうことへの根強い警戒感があるからといえます。

ヒトとは往々にして「自分に甘く」そして「他人に厳しい」所があります。

人事評価制度で行われる「自己評価」(評価される側の社員が自分で自分を評価する)の結果を見れば一目瞭然であり、自分で自分を評価した結果「自分に低評価」をつける人はいません。

たとえ自ら足りないところがあると自覚していたとしても、自ら低評価をつけるということによって当然考課者の評価も低評価になるわけですから、賃金に影響のでる評価を少しでも上げたいと思えば自ら低評価をつけるメリットはありません。

さらに部下を管理する上司に求められるマネジメント能力と、現場で業務を遂行する仕事力とは別物であることを理解せずに「俺より仕事が出来ない上司に評価なんてされたくない。部下も上司を評価できるようにするべきだ」といった意見まで出てくる始末です。

逆に評価をする側である考課者の評価結果を見ても、部下を評価する事に恐れ「無難な評価」(大きな差をつけない、マイナス評価を避けて中間評価のみ下すなど)しかできない者や、明らかに「好き嫌いといった感情」が排除しきれていない評価など、考課者が行う評価としては問題のある評価結果も多数見受けられます。

このように曖昧さを完全に排除する事が難しい人事評価制度における評価が、日々の生活に直結する賃金に影響を及ぼすことに警戒感を持つことは当然だといえます。

会社に貢献している社員に対して賃金的に優遇していくために「なんとなくではなく評価と言った客観的な物差しを使って公平に賃金額を決定していることを社員に示していきたい」と考えること自体は間違いではありません。

しかし人事評価制度によって下された評価への信頼性は絶対ではありません。

そもそも評価という客観的な物差しを使い「公平」であることを目指しているはずなのに、感情の生き物である「ヒト」が「ヒト」を評価することの難しさから「公平とはならず」逆に社員のモチベーションを下げる結果となる可能性も十分に理解しておかなければなりません。

つまり人事評価によって下された評価を「賃金額決定の重要な要素(評価と賃金額決定のウエイト)」とするには慎重になるべきだと考えています。

人事評価制度で下された評価から見えてくるのは、「仕事のできるAさん、仕事のできないBさん」といった単純な結果でしょうか。

「仕事の結果は出しているAさんだが、自己中心的で後輩への指導などは出来ていない」
「仕事の結果はあまり出せていないBさんだが、気配り上手で職場のムードメーカとなっている」

人事評価で見えてくるのは、仕事が出来る・出来ないといった単純なことだけではなく「その社員の人間力そのもの(良い面も悪い面も)」が具現化することでもあります。

本来、人事評価とは「会社に貢献している社員へ多くの賃金を分配するための手段」ということだけではなく、良い面と悪い面を明らかにすることで「人材育成のための情報として明確にする」という側面もあるはずです。

この人事評価そのものの「入り口の考え方」を間違えてしまうと大きな負の遺産(制度)を作ってしまいかねないので、人事評価制度を導入するにあたっては「評価の信頼性は絶対ではない」という考えをベースとして、人事評価の結果をどのようなウエイトで賃金配分と人材育成に活用すべきなのかを慎重に考えていく必要があります。

30/01/2026

弊社のニュースレターにおいて「社内のコミュニケーション不足」が昨今のハラスメント問題の根本の原因になっていると考えていることをお伝えしてきました。

そのため去年の11月号で過度にハラスメントを恐れずに「雑談」を通してお互いを知ることの重要性について整理しました。

これは人事・労務管理の世界に身を置く者として「私たちが目指すべき姿はリスクを恐れて口を閉ざす職場ではない」という強い思いがあるからです。

職場におけるコミュニケーションは「重要性を増している」わけですが、一方でハラスメントリスクも「高まっている」と感じる人が多いため、そのバランス(コミュニケーションに対する取り組み方)は大きく崩れてきていると感じています。

ハラスメントリスクが高まるそんな時代だからこそ、改めて職場におけるコミュニケーションの「価値」について考えたいと思います。

「隣の芝生が青く見える。」

自分の庭よりも隣の家の芝生のほうが青く綺麗に見える。つまり自分には「ない」他人の環境を羨ましく思う「ことわざ」ですが、これは職場環境においてもよくある話です。

外から見る隣の芝生は、表面の「青さ」しか見えません。

ところが「青く綺麗に見えていたはずの芝生」が「思っていたほど綺麗ではなかった」と気づくことが多々あります。

何故このような話をするかと言うと、中小企業の人事・労務管理の世界では、一度退職した社員が再度退職した会社に戻る(出戻り)が結構あるからです。

出戻る理由は人それぞれだと思いますが、いくつかのケースで話を聞いてみたところ「同業他社に転職したけど、(出戻った)この会社のほうが良かった」という理由を話す人が大多数です。

個人的に100%満足いく仕事環境(賃金だけではなく労働環境)を得るのは、実際問題のところ不可能に近いわけですので、言い方は悪いですが、たとえ「ましだった」という表現であったとしても、自社が構築している仕事環境が他に比べて(少なくとも転職先よりも)優れているといって良いと思います。

出戻った人がいう「この会社の方が良かった」というのは、実は賃金や労働環境といったこと以上に「人との相性」が大きなウエイトを占めています。

隣の芝生が青く見えて転職した結果、賃金は上がった、労働環境もそれほど悪くなかった、でも「戻ることを決断した」のはなぜかと問えば「転職先の社員と合わなかった(出戻った会社の同僚の方がコミュニケーションがとれた)」という理由が多いからです。

仕事上の会話しかなく、休憩時間も誰も喋らない。困っていても「自分の仕事ではないから」と誰も助けてくれない。そんな「砂漠のような人間関係」に疲れてしまったという声を聞いたことがあるのでは無いでしょうか。

人は本能的に「居場所」を求める生き物です。

多くの時間を過ごす職場環境の中で「居場所がない」状態に耐えることができません。

職場の良質なコミュニケーション環境を構築することは、その「居場所」を作る行為です。

誰かに頼られる、信頼される、仕事を共有する、情報を共有する、雑談をする、時に怒り、怒られ、共に喜びを感じ、成功を共に祝う。

これらの感情は「居場所」がある所でしかコミュニケーションとして機能しません。

つまり賃金や労働環境がどんなにより良くなった(隣の芝生が青く見えている)としても「居場所のない」(コミュニケーションが上手くとれない)場所に居続けることはできないのです。

これは自社に転職してきた人が定着するか否かの判断にも大きく寄与します。

中途採用した即戦力の社員が直ぐに辞めてしまった。その原因は「居場所」が無かったからです。

職場での良質なコミュニケーション環境を構築すること(様々な人の居場所を作ること)は、人財戦力において「最も価値のあること」と言えます。

そのような居場所を作るためにもハラスメントリスクを恐れるあまり人間味のある関わり合い(職場でのコミュニケーション)をとることを「諦めないでほしい」と強く思います。

26/12/2025

お知らせーーーーーーーーーーーーーー
社労士法人齋藤オフィスは、令和7年12月27日(日)から令和8年1月4日(日)を年末年始休業とさせて頂きます。
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「求人を出すも全く応募が無い。」「応募はあったが若い人は皆無。」企業の採用担当者から聞こえる悲鳴にも似た声です。

ところが一部企業では50代以降の社員を中心に黒字でありながらリストラを進めており、人材不足と言うよりも「若手人材の不足」という言い方の方が正しいように思います。

そのような「若手」人材採用に苦労する中で誰もが知る衣料品小売りの大手やIT・コンサルティング業界、金融業界等の一部企業が新卒社員に対して「年収600万円」や「初任給35万円以上」を提示し始めたことが世間を驚かせています。

背景にあるのは言うまでもなく深刻な人手不足とグローバルな人材獲得競争です。優秀な若手を確保するためには、これまでの日本の相場観を捨ててでも世界基準に合わせざるを得ないという一部企業の必死さが伺えます。

若く優秀な人材に高い報酬を支払うこと自体は全く否定しませんが、一方で強い違和感を抱かざるを得ないのは「中間層の給与も、それに見合う形で上がっているのか?」という点です。

現場を支え、後輩を指導し、最も働き盛りである30代40代の中堅社員たちの給与はどうでしょうか。

新卒の初任給を無理に引き上げた結果、数年目や十数年目の先輩社員と給与額に殆ど差がなくなってしまっているケースも散見されています。

厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」を見ても、世代別の所定内給与水準(2019年と2024年の比較)で20歳~24歳が10.3%の増加となっている一方、30歳~34歳が5.8%と増加率が鈍っており、40歳~44歳は0.1%と殆ど増えていません。

更にリストラの対象となりがちな50歳以降で見てみると、50歳~54歳は「マイナス」3.0%という結果が出ています。

若手人材採用のための賃金原資がどこから出ているのかは明白です。

ある運送会社が新卒のボーナスに50万円を上乗せ支給することを約束して採用した結果、新卒のボーナスが70万、5年目の先輩社員のボーナスが20万だったそうです。

この先輩社員の落胆と憤りは相当なものだったでしょう。

このような報酬をちらつかせて新卒を採用できたとしても、会社を支える中核人材が「何故若手社員を採用するために我々が犠牲にならなければならないのか」と会社に不満を募らせるのは時間の問題です。

新卒ばかりを優遇し既存の戦力を軽視するような賃金体系は、組織の結束を乱し、いずれ大きな世代間対立と分断を生み出すことになると危惧しています。

このような一部の大手企業が極端な採用戦略に出てくる中で、他企業が「給与額」を武器に同じ土俵で戦うのは難しく、高額な賃金や待遇を求める「ことができる」若手人材を採用し続けることは困難になります。

「若手を採用できないなら、今いるメンバーで頑張るしかない」と言っても社内の平均年齢は上がり続けていくわけですから、気がつけば社内の高齢化が深刻なレベルに達してしまい、いずれ破綻することは火を見るより明らかです。

これら社内の高齢化は決して他人事ではなく多くの企業が直面している現実です。これまでの人材戦略の延長線上で「人を雇う」ことだけに注力していても、この人手不足の荒波を乗り越えるのは至難の業だと言わざるを得ません。

新卒で採用し、育て、長く勤めてもらうという人材戦略のロードマップは、もはや「過去の話」である認識を改めて強く持つ必要があります。

今、私たちの目の前には「AI(人工知能)」や「業務自動化」、「ロボット」といった新しい選択肢が広がっています。

人材戦略の一環として積極的にテクノロジーを導入することが、これからの「人を雇う(労働力の確保)」という概念の一翼を担う時代が来ることになります。

今年の日本の出生数は66万人程度で10年連続で過去最低を更新しています。少子化が今後も加速していくため若手人材は更に減っていくことになります。今はまだ踏ん張りが効いていても将来的に「人を雇う」という選択肢自体が「消滅」してしまう未来は直ぐそこまで来ています。

今着手すべきは属人的な労働に頼るのではなく「技術が人を補完し、人が少なくても(少なくなっても)価値を生み出し続けられる仕組み」への「緩やかな転換」と言えるのではないでしょうか

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