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VIETNAM REPORT VOL.16Hanoi l Vietnamベトナムアートの今とこれからChuc Mung Nam Moi(ベトナム語の新年のあいさつ)!旧正月も終わり、お休みモードから少しづつ日常を取り戻しつつあるハノイ。そん...
10/03/2025

VIETNAM REPORT VOL.16
Hanoi l Vietnam
ベトナムアートの今とこれから

Chuc Mung Nam Moi(ベトナム語の新年のあいさつ)!旧正月も終わり、お休みモードから少しづつ日常を取り戻しつつあるハノイ。そんなハノイではテト休暇(ベトナムの旧正月の総称)の前後に立て続けにアートイベントがありましたので、その模様についてご案内します。

2024年末から旧正月にかけて、ハノイはスモッグで真っ白!外で何かをする気に全くなれない公害レベルの大気汚染に辟易していると、第7回ベトナム全国青少年美術祭というイベントがVCCA(ビンコム現代美術センター)で開催していることを知り、久々に芸術に触れてみようと重い腰をあげ、VCCAが入っている複合商業施設を訪れました。この展示会は文化やスポーツ・芸術を司る省庁協力の下、18~35歳の若いアーティストの作品と新たな才能の紹介を目的としたイベントです。応募総数1,000点を超える作品の中から厳選した148点が展示されました。展示作品は現代の社会生活における、若いベトナム人アーティアウトの懸念や不安をテーマに描かれており、120人を超える、未来のベトナムアートを担う若者たちの思いが広い展示会場に思い思いに表現されていました。

Vincom Center For Contemporary Art:http://vccavietnam.com/

約1,700㎡のだだっ広い展示施設には絵画がメインに沢山の作品が展示されていました。街中や旅行先で見かける光景が描かれている作品や陶磁器材を用いた作品など、ベトナムに居るとなじみの深い題材や画材で描かれている作品が多く、若い子たちの不安が日常に隠れていると感じることが多くありました。特に印象的だったのは、ここ数年、大きな事件が立て続けに起こり、ベトナム国内で法律が変わったり、よくニュースになっている、火事を題材にした作品でした。自身もベトナムで建物の設計に少なからず関わっている人間として、これからの世代へ向けて不安要素を取り除けるようなモノづくり、仕組みづくりをしていきたいなぁ、とベトナムで働く日系企業の一員として、改めて思うきっかけになりました。

広い会場をゆっくり時間をかけて作品を見ていくと、自分と同世代かもっと若い子たちの作品にしては、欧米や日本で広く認識されているコンテンポラリーアートというよりかはモダンアートに近いテイストを用いている作品が多いと思いました。ベトナムという自分たちのアイデンティティの強い画材や素材を使って世界に発信するという点では最近のトレンドなのかもしれないが、アート面でも世界と比べるとまだまだ発展途上で、これからどんどん伸びしろがあるのだと思うと、ベトナムが抱えている未来へのポテンシャルに期待が高まると同時に、政府や先進国が協力して新しい才能を導く環境が整えられていくことを期待します。

もう一つの文化・アートイベントとして、ハノイ大学とバッチャン陶芸博物館で国際芸術シンポジウムinハノイが開催されました。ハノイで第2回を迎えるこちらのイベントは文化庁の推進するイベントとして、日本より約50名の日本人アーティストが実際にパフォーマンスやアート体験ブースを開催してくださり、若者や学生を中心として日本芸術や文化をベトナムの若者に発信するイベントでした。昼過ぎに訪れた陶芸博物館は、テト前という事もあり多くのベトナム人や欧米系の観光客で賑わっていました。博物館の入口すぐのアトリウムのような広場にて多くの日本人アーティストがご自身の作品の展示や習字・切り絵・水墨画…といった日本の伝統アートの体験ブースを設置して通訳を交えたり、身振り手振りでベトナム人旅行者達に文化体験の場を提供していました。バッチャン村はつい先日、世界工芸評議会によって、世界工芸都市と認定されたこともあり、ベトナムの工芸都市において日本文化を発信するという、日越の文化コラボレーションを象徴するイベントとなりました。

第二回国際芸術シンポジウムin ハノイ:https://20g.tokyo/第二回国際芸術シンポジウムinハノイ開催報告書

同様のイベントではあったものの、ハノイ大学で開催した際には参加者はもちろん学生さんメイン!バッチャン村と異なる点は日本語専攻や国際文化を学んでいる方が多く、むしろ私よりも日本の文化に詳しい若者が多数参加されていました。習字や水墨画のように炭を使っているアートはベトナムでも古くから用いられていて、なじみがあるのかやはり人気のブースでした。3年もベトナムに居るにも関わらず、ハノイ大学に足を踏み入れたのは実は初めてです。フランス統治下に設立されたインドシナ大学が基となっており、コロニアル調の建築物と近代的なデザインの建築物が混在しているキャンパスはベトナムの若者たちの活力で賑わっており、このように日本企業や文化がベトナムの未来を担う人材育成の一部に貢献している様子を自分の目で見ることが出来たこと、ハノイで働く日本人として誇らしく思いました。

ハノイ国家大学:http://internationaloffice.hanu.vn/

テト直前にはイオンモールロンビエンにて商工会の主催する日越文化祭が開催され、日系企業で働くベトナム人やベトナムに住む日本人の方が出展してくれたアート作品の展示や踊りや歌といったパフォーマンスが行われていて、テト前の買い物に来ていた沢山のベトナム人の目に触れるイベントとなりました。

日本を離れたからこそ改めて認識する日本文化の面白さや奥深さを感じるとともに、ベトナムの方にも日本に興味を持ってほしいという願いがこのように日本に関わる文化イベントの開催やアートの普及に繋がっているのだなと感じました。円安の影響もあり、海外において日本のプレゼンスを高めることが困難になっている昨今、自身の住んでいる地域でこうも身近に日本に関わりのあるイベントが多く開催されることがとても嬉しく、こういった試みが長期的に両国間で築くことが出来るようにベトナムの発展に貢献していきたいと思いました。

VIETNAM REPORT VOL.11 Ho Chi Minh City, Hanoi l Vietnam 伝統医学と漢方 シンチャオ!旧正月も終わり、そろそろ暖かくなるだろうと冬服を一時帰国中に日本へ置いてきた矢先の寒波。ベトナムって...
03/04/2024

VIETNAM REPORT VOL.11
Ho Chi Minh City, Hanoi l Vietnam
伝統医学と漢方

シンチャオ!旧正月も終わり、そろそろ暖かくなるだろうと冬服を一時帰国中に日本へ置いてきた矢先の寒波。ベトナムって寒いの..?と思う方も多いかと思いますが、私が拠点としているハノイはベトナムの北部、中国にも近い盆地で冬になると15度前後まで気温が下がります。世界トップランクの大気汚染に気温の下落も相まって、旧正月明けは体調を崩しやすいシーズン。そんな過酷な環境にベトナム漢方で抗ってみようと、ベトナムの伝統医学、漢方についてご紹介します。

まず足を運んだのはホーチミンにあるベトナム伝統医学博物館。住宅街の中にひっそりと建つ6階建ての建物の中には石器時代からの3,000点を超える歴史的医療道具が展示されています。ベトナム伝統医学には、独自の医学である南薬と中国の影響を受けた北薬の2つの要素があります。現在ではその要素に加え、19世紀のフランス統治時代から西洋医学である西薬がもう一つの要素として併存しています。当時主流だった薬局の様子が再現されていて、細かいカービングが施された材料が漬けられている薬、何百とある漢方剤が展示されている棚には、漢字が多く使われており、自分でも理解することが出来てとても興味深い空間でした。また、館内はベトナムの伝統的な彫刻や2000を超える薬草見本があり、美術的要素も多く兼ね備えているからか、多くのベトナム人の若者がSNS映えする伝統衣装を着て、カメラマンを引き連れ、写真を撮りまくる事態が多発していました。それもまたベトナムらしい。
ベトナム伝統医学博物館: https://fitomuseum.com.vn/

ところ変わって、ハノイには漢方につかう生薬が多く並ぶLan Ong通りが、ホアンキエム湖近くの旧市街地にあります。通り全体から漂ってくる漢方の香り!立ち並ぶ店々ではグラム売りで色々な種類の生薬が置かれています。早速、拙いベトナム語と翻訳アプリを交えて自分の症状をお店の人に伝えると、入口で微動だにしないおばあさんの大声量の指示を受け、お姉さんが私の漢方薬の調合をしてくれました。店中にある沢山の材料の中から手際よく該当のアイテムを見つけては計量してまとめていく、を繰り返し、3か月分の頭痛、鼻詰まりに効く漢方を煮出して飲めるようにと調合してもらいました。3か月分、値段は40万ドン(約2,400円)。

自宅に帰り、調合してもらった漢方を改めて見ると、色とりどりの木の根っこフィーチャリング段ボールもどき(あくまで個人的な意見です)。これを体内に取り入れるんだぁという何とも言えない感情のまま、とりあえず材料と水を鍋に入れ、火にかけます。加熱されることによりさらに増していく漢方独特のハーモニー!全部自然食材だからと自分を納得させて飲んでみると、想像よりもずっと飲みやすい!後味が独特で、苦い青汁を飲んでいるような感じですが、青臭さや不快感はほとんど無く、ラマダン明けの身体にやさしく染み渡ります。漢方って苦いイメージがありましたが、私が処方された漢方薬は全く苦みもありませんでした。これなら苦なく続けられるなと、3か月間で見られる体調の改善も楽しみです。

街中には、私が行ったローカルレベルの高い東洋医学薬局だけではなく、日本のドラッグストアや薬局のような手軽に薬の購入が出来るお店の方が多く見受けられます。こちらも症状をスタッフに伝えて薬を購入するシステムで、日本だとお医者さんの処方箋や診察が必要な薬でも、そういったものが不要ですぐに購入出来、また、箱ではなく、1シート、まさかの1錠からの購入が可能なのでとても手頃です。

異国の地での生活において、慣れない環境、人間関係で体調を崩すのは当たり前の事ではあるものの、西洋医学、東洋医学共に共存していると身をもって認識できたことは、今後のベトナム生活にとても心強い経験となりました。

NY TREND REPORT VOL.54New York| NEW YORK事実か虚構か。薄い膜越しからみえる幻想的な世界。年末年始から続く賑やかな雰囲気が落ち着きを取り戻す、ニューヨークの2月。去年の10月にコスチュームを依頼されて進...
01/03/2024

NY TREND REPORT VOL.54
New York| NEW YORK
事実か虚構か。薄い膜越しからみえる幻想的な世界。

年末年始から続く賑やかな雰囲気が落ち着きを取り戻す、ニューヨークの2月。去年の10月にコスチュームを依頼されて進めていた、パフォーマンスの発表が1月終わりから2月頭に行われ、漸くひと段落。今回はこの作品に至った流れから当日の様子、テーマについてなどを中心に、パフォーマンスをリポートしていきたいと思います。
最後のパートでは現在ニューヨークで開催中のおすすめ展覧会の情報も!

今回参加したパフォーマンス『membrane | 虚実皮膜』は、Mabou Mines(マボウマインズ)の主催する「SUITE/Space 2023-24」というプログラムに選ばれたムーブメントアーティスト村上葉子とオーディオビジュアルアーティスト竹内真里亜によって制作された作品である。
このプログラムはニューヨーク市を拠点とするアーティストに芸術的アドバイス、14時間のテクニカルリハーサル、スタジオスペース、支援金、84席の劇場での公演を提供し、新たな作品に挑戦する機会を与えるもので、2人は選出後の8月から構想を温めながら制作に入っていた。以前、私が制作したAce Hotelでのパフォーマンス(※1)に参加してもらっていた村上さんに声をかけてもらったのが10月。作品の構想、テーマやアイデアを聞かせてもらった際、自分の作品に通ずるものを感じて参加を快諾した。加えてこの作品のもう一つの特徴である「モーションキャプチャー」という技術を用いて映像と人の動きをリンクさせる実験的な試みも参加を決めた理由であった。作品のテーマでタイトルとなっている『 虚実皮膜』。これは江戸時代に活躍した近松門左衛門が唱えたとされる芸術論で「芸は実と虚の境の曖昧なところにあるとし、事実と虚構との微妙な境界に芸術の真実があるとする」という考え方で今回初めて知ることとなった。江戸時代からそんな哲学的な考えがあったのだととても驚いたことを覚えている。

そしてもう一つのキーワードである『Membrane メンブレン』。生物学では膜組織、解剖学では人や動物の皮膜、工学では薄い原料を表し、舞台上の重要な装置として「膜」に見立てた半透明のスクリーン(布)として表現されている。衣装制作は、それらの世界観からイメージされる形と実際に身につける村上さんの動きやすさ、そしてモーションキャプチャーで捉えることができる形状など、2人と相談しながらかたちづくっていった。何度かサイズ調整などを施したのち、2人が最終的に創り出した作品をリハーサルでみた時、初めて観たエレメントの表現や私の製作した衣装とウェアラブルな舞台装置の使い方に意表をつかれた。膜に見立てた布は時に水のようにうねり、風を受けてゆらめき、火のように躍動し、土のように包み込む。村上が繰り広げる「誕生、生、死、再生」のムーブメントに合わせ、竹内の創り出す「水、風、火、土」といった自然界を形成するエレメントの映像と音楽が渾然一体となって幻想的な世界を創り出している。村上による動きのパフォーマンスがモーショントラッキングセンサーによって読み取られ、竹内により映像化され投影され、それがまた新たな形を創り出す。その舞台上の循環も素晴らしい構成の一部となっていた。
制作した自分の想像を超えてくる面白さにコラボレーションの醍醐味を毎回感じるのだが、今回もそれらをしっかり感じることができた。そして、彼女たちが大切にしている感情や音、動き、そういったものが、自分が表現しようとしているものに通じていると感じられ、何よりも嬉しく励みになった。その他にも多くの素晴らしいアーティストが参加しており、交流することができたことも大きな成果だったと思う。彼らの活動もぜひチェックしてみて欲しい。

3日間の公演は大成功に終わり、最終日にはスタンディングオベーションで締めくくることができ、多くの人に楽しんで頂けた。公演終了後に村上が見た夢。それはこの作品がオペラ作品となるというもので、あながち夢だけではないのかも…と余韻と妄想に浸るのであった。

・ Mabou Mines (マボウ マインズ)https://www.maboumines.org/

Philip Glass(フィリップ・グラス)を中心とした5人のアーティストで設立されたスペース。51 年経った今でも、コラボレーションを中心として多様な表現を試みる人々にプラットフォームを提供している。


・ 「SUITE/Space 2023-24」支援プログラム https://www.maboumines.org/suitespace/

・ モーションキャプチャー:人間や動物などの動きを測定し、コンピュータに取り入れる操作。センサーを取り付けたり、カメラで動きを撮影したりして、頭や首、手足など、主要な関節の位置がどこにあるのかを測定もしくは類推する。

(※1:過去リポートを参照)

SUITE/Space 2023 -24 | MURAKAMI X TAKEUCHI | membrane | (虚実皮膜)

Choreographed and Performed by
Yoko Murakami
Visual and Tech by
Maria Takeuchi
Music by Maria Takeuchi, Alec Fellman , Nava Dunkelman
Sound Engineering by Alec Fellman
Costume Design by Akiha Yamakami
Lighting Design by L.W. Miller
Tech Supported by John Fistos, Zilvinas Jonusas , Ansel Combs
Stage management by Labhaoise Magee
+
Mabou Mine Team
Autumn Angelettie, Ona Martini, Cat Tassini, Morgan Tachco, Carl Rux, Karen Kandel

Photo by
Video documentation by Milan Misko
Edited by Yoko Murakami

今月注目の展示:メトロポリタン美術館で始まったファッションの展示をご紹介!!

この展覧会はコスチューム・インスティテュートのコレクションに収蔵されている女性ファッションデザイナーの貢献を称え、20世紀初頭から現代に至るまでの作品をたどるものとなっている。新たにコレクションに加わったものも含め、約70人以上の作り手による約80点の衣服を展示。年代列で構成されたこの展示は、「Anonymity(匿名性)」、「Visibility(可視性)」、「Agency(主体性)」、「Absence/Omission(不在/省略)」という4つのテーマに分類され、1675年から19世紀における顧客に仕えた無名のドレスメーカーの仕事から、19世紀初頭から半ばにかけてオートクチュールの発祥の地パリで活躍するクチュリエをはじめ、現在に至るまで、ファッションを政治やアイデンティを表現する場としてきたデザイナーの功績を紹介している。広く知られたデザイナーから、歴史的にあまり知られていないデザイナーまで女性デザイナーだけにフォーカス当てた非常に珍しい展示となっている。もともと、アメリカの女性参政権100周年に際して2020年に実現される予定だったが、パンデミックのため延期となりこのタイミングとなった。多様性を強く感じるセレクションはニューヨークならでは。こちらに来られる際はぜひ観覧して頂きたい。

・ Women Dressing Women (ウィメン・ドレッシング・ウィメン)https://www.metmuseum.org/exhibitions/women-dressing-women

いつもの華やかなニューヨークのクリスマス、到来。サンクスギビングが終わると一斉にクリスマスに向けたギフト商戦やデコレーションで忙しくなるニューヨーク。寒くなったり暖かかったりと天気は不安定ですが、着々と盛り上がってキラキラしている街中の様子...
28/12/2023

いつもの華やかなニューヨークのクリスマス、到来。

サンクスギビングが終わると一斉にクリスマスに向けたギフト商戦やデコレーションで忙しくなるニューヨーク。寒くなったり暖かかったりと天気は不安定ですが、着々と盛り上がってキラキラしている街中の様子と人生初のオペラを鑑賞という、2023年最後に相応しい華やかなリポートになっておりますので楽しんで頂けたら何よりです。 

北米最大のクラシックオペラ歌劇団「メトロポリタン・オペラ(Metropolitan Opera)」の本拠地となっているニューヨークリンカーンセンターのメトロポリタンオペラハウス(メトロポリタン歌劇場)では、現在ホリデーシーズン恒例のファミリー・オペラが開催されている。モーツアルト晩年最後のオペラ作品である「魔笛」は、通常ドイツ語による3時間近くの公演だが、約2時間に短縮された英語版で上演されているため親しみやすく、子供連れの家族やオペラ入門者に最適な演目として親しまれている。さらに2004年に制作された演出からは、ライオン・キングでトニー賞を受賞したジュリー・テイモアが演出と衣装を手掛けただけあり、ライオン・キングに見劣りしないユーモア溢れる楽しい作品となっていた。座席は3階のボックス席だったのだがステージは通常の劇場よりも高さがあるため、十分に楽しむことができる。満席の客席からは時折子供達の笑い声が聞こえ、このような機会を小さい頃から体験出来るのはニューヨークならではだと感じていた。そして誰もが耳にしたことがあるだろう、かの有名な「夜の女王のアリア」を聞いた時はやはり鳥肌が立った。あっという間に場面が入れ替わる様子も流石は世界的な規模を持つ劇場である。劇場内は金箔で覆われた品のあるゴールドとベルヴェットのレッドカーペットを基調とし、豪華でエレガントな風格が建物全体から発せられ、特に服装の指定はないものの、ドレスアップした子供や大人が目を輝かせながら夢のような非日常空間を楽しんでいた。通称「メット(MET)」の愛称で親しまれてるいるこのメトロポリタン・オペラの歴史は古く、オペラハウス「アカデミー・オブ・ミュージック(Academy of Music)」の跡を継ぐために、1880年に設立されたことが始まりである。毎年9月下旬から翌年5月の期間で30演目ほどのオペラ作品を上演。全面ガラス張りのファサードと白いトラバーチン大理石で覆われているコンテンポラリーとモダンを融合させた豪華絢爛な建物は、国連事務局ビルなどを手がけた建築家ウォレス・ハリソン(Wallace Harrison)によって設計され、収容人数3,995人(座席数3,800席と195名の立見)と世界でも最大規模の劇場だ。

・ The Metropolitan Opera (メトロポリタンオペラ)

  https://www.metopera.org/

・ 『魔笛(Die Zauberflöte)』(The Magic Flute)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart/1756年-1791年)が作曲した生涯最後のオペラ。「魔笛」は、魔法の笛に導かれた王子タミーノが、数々の試練を乗り越えて夜の女王の娘パミーナと結ばれるというロマンスと、夜の世界を支配する女王が昼の世界を支配するザラストロに倒されるという話の二重構造になっている。 初演後すぐに『魔笛』は人気を博し、モーツァルトの存命中だけで100回以上も上演されたと言われている。

そしてニューヨークのクリスマスを代表するスポットの一つ、五番街の高級デパート、サックスフィフスアベニュー (Saks Fifth Avenue) では、恒例の豪華ライトショーとホリデーウィンドウがスタート。今年は「カルーセル・オブ・ドリームズ (Dior’s Carousel of Dreams at Saks) 」と題された、ディオールとサックスフィフスアベニューのコラボレーション企画となっており、建物正面のデザインも一新され、とても美しいライトショーとなっている。パリとニューヨークの華やかな光景をミニチュアでノスタルジックかつロマンチックに表現。カルーセル(carousel)とは、回転台、回転木馬などの意味を持ち、美しいデザインのメリーゴーランドや時計などレトロでクルクル動く楽しいショーウィンドウとなっている。24個のショーウィンドウ、幅35メートル以上ある巨大な運命の輪にはスターやクローバー、占星術といったブランドのコードがあしらわれ、創設者のレガシーとチャームがふんだんに盛り込まれている。アメリカでの旅と1947年9月に初めてニューヨークを訪れたときの情景を物語る、時代を超越した魅惑的なウィンドウに多くの人々が足を止め魅入っていた。壮大なモニュメントからメゾンが大切にしてきたディテールへの美学までを形にするような贅沢な装飾にモノづくりへのこだわりを見ることのできる素晴らしいものとなっていた。

・ Saks Fifth Avenue(サックスフィフスアヴェニュー)
https://www.saksfifthavenue.com/

・ Dior's Carousel of Dreams at Saks(カルーセル・オブ・ドリームズアットサックス)
  https://www.saksfifthavenue.com/c/editorial/dior-carousel-of-dreams

2023年は、コロナ後に多くの人たちが安心して海外旅行を楽しみ、ようやく本当の意味での日常が戻ってきたように感じられた年だった。ニューヨークも一時期の閑散とした街からは想像できないほど多くの観光客で賑やかになり、いくつものお店やホテルもニューオープンを迎え、新たな街の顔が次々と生まれている。多くのミュージシャンやダンサーたちが表現の場を追われ大変な時期があったがそれを乗り越え、こうして多くの人が舞台に足を運ぶ姿を再び見ることができるのが何よりも嬉しい。2024年も多くのアーティストが自由に表現し、それを多くの人が楽しめる、そんな年になってほしいと心から願っている。

私事ではありますが、2024年1月末に公演する友人の舞台に舞台衣装で参加することとなりました。こうして自分も表現の場を持てていることを幸せに感じながら、来年もニューヨークより様々な情報、想いを皆様にお届けできたらと思っております。
2023年もありがとうございました。
2024年もどうぞよろしくお願いいたします。    リポーター 山上

SUITE/SPACE 2023 -24 | MURAKAMI X TAKEUCHI | MEMBRANE | (虚実皮膜)
CREATED BY Murakami x Takeuchi
CHOREOGRAPHED AND PERFORMED BY YOKO MURAKAMI
VISUAL AND TECH BY MARIA TAKEUCHI

COLLABORATORS
MUSIC BY MARIA TAKEUCHI, ALEC FELLMAN, NAVA DUNKELMAN
SOUND ENGINEERING BY ALEC FELLMAN
COSTUME DESIGN BY AKIHA YAMAKAMI
LIGHTING DESIGN BY L.W. MILLER
TECH SUPPORTED BY JOHN FISTOS

PERFORMANCES
January 30 at 9:00 PM, February 2 at 7:00 PM, & February 4 at 7:00 PM
Runtime: 45 minutes
@Mabou Mines
150 First Avenue (Second Floor), NYC 10009

https://www.maboumines.org/production/suite-space-2023-24-murakami-x-takeuchi-membrane/

『膜 | 虚実皮膜』は、ムーブメントアーティスト村上洋子とオーディオビジュアルアーティスト竹内マリアによる、モーショントラッキング テクノロジーを使用した実験的なコラボレーションである。この作品は、芸術の真実は芸術上のフィクションと事実の間の紙一重にあるという「虚実皮膜キョジツヒマク」の理論にインスピレーションを得ている。この「線」または「膜」は空間内の半透明のスクリーンによって表現され、その線の中で二重性が探求される。この作品は、誕生、生、死、再生、そして循環する性質を表現する水、空気、火、土といった要素に基づいており、村上による動きのパフォーマンスはモーショントラッキングセンサーによって読み取られ、竹内により映像化され投影される。

VIETNAM REPORT VOL.09Hanoi | Vietnamベトナムウーマンシンチャオ!巷では涼しくなったねと言われているベトナムですが、まだ一人常夏仕様のファッションで生活している北国出身二宮です。私が赴任しているベトナムには...
01/12/2023

VIETNAM REPORT VOL.09
Hanoi | Vietnam
ベトナムウーマン

シンチャオ!巷では涼しくなったねと言われているベトナムですが、まだ一人常夏仕様のファッションで生活している北国出身二宮です。私が赴任しているベトナムには女性博物館なるものがあります。今回は、世界的にも珍しく、ベトナムにいる沢山の民族の女性からベトナム戦争の際に関わった女性たちまで、様々な視点で女性にスポットを当てた大変興味深い博物館をご紹介します。

博物館の外観は白を基調とした建物にポップな色ガラスが入っていてとても可愛らしい印象。中に入るとまずベトナムの婚礼&子育てについての展示から始まります。ベトナムには大小併せて54の民族が暮していて、各民族によって婚礼時のしきたり、花嫁衣装、花嫁道具等が全く違うのです。また、山岳地帯に住む少数民族内では未だに児童婚が多く、15‐18歳でお嫁に行ったり世帯を持ったりする事が珍しくない現状です。自分が15‐18歳の時を思い返すと、スノーボードか好きなアニメの事しか考えていなかったのにと、当時の環境に感謝しながらも、若くして親元を離れなくてはいけない事情や環境に胸が痛みました。そんな気持ちで見た、博物館に飾られた花嫁衣装は、全て手作りで出来ているとは思えないほど細やかで素晴らしく、何故か救われる思いでした。丁度先日、ベトナム人の友人が結婚式を挙げる事になり、初めてベトナム式の結婚式に参列しました。村を挙げての結婚式は驚くこと満載でしたが、どこの結婚式もやはり素敵だと感じました。

婚礼時の正装だけでなく、各民族の民族衣装も想像以上に魅力的です。私たちが思い描くアオザイからイスラム圏のように肌や髪を隠す民族衣装、日本で着てても問題なさそうな衣装等、モノトーンからカラフルな色の服まで、様々なテイスト、スタイル、模様、材料を使った民族衣装が一堂に会し、目にすることが出来ます。

続いては、家庭や女性の仕事をメインとしたコーナー。針仕事から、畑仕事まで、なんでもこなせちゃうパワフルな肝っ玉母さん特集です。漁業、農業、酪農、モノ作りから家事のあれこれ、子育てまで。無人島に一緒に行けたら何と心強いのでしょうと思わせる労働スペックの高さ。取れた農作物は自転車や手押し車に乗せて販売に行くところまで全て女性の仕事!さらに冠婚葬祭の場では儀式の司祭の役割を担ったり、と底知れぬバイタリティーが展示から伝わってきました。

そして、最後の展示はベトナムにおける歴史上の女性たちについて。ベトナムの歴史を語る上で切っても切り離せないベトナム戦争ですが、ここでは多大なるインパクトを与えた女性達とその功績が記されています。1994年9月24日、ベトナム戦争が終結してから約20年後に”Heroic Mothers of Vietnam”という勲章の授与が決定され、2008年までに約50,000人もの母親たちがこの賞を受賞しました。この賞は、お子さんを2人以上、または旦那さんとお子さん、一人っ子のご子息を戦いで失ってしまった母親に贈られた賞です。また、家族の帰りを辛抱強く待っていた女性だけでなく、戦場で命を張った女性たちも沢山います。衛生兵としての後方支援から、工作員、情報員として暗躍する女性達の功績が一つ一つ紹介されています。ベトナム発展の陰には、縁の下の力持ちである女性達の活躍があったことを再認識させられました。

現代美術において世界で最も影響力がある日本人女性アーティストとみなされている塩田千春さん(Chiharu Shiota)の展示が現在VCCA(Vincom Center for Contemporary Art)にて開催されているので行ってみました。一言で表現するなら芸術の爆発!!広い展示スペースに一人だったからなのか、展示スペースがひんやりと冷たかったからなのか、薄暗いイントロスペースを抜けた先にある展示スペースに入った瞬間に飛び込んできた立体的な赤い何かが目に入った瞬間、全身に鳥肌が立ちました。この空間が一体何なのか、脳が処理するまで時間が掛かったような感覚。1本の毛糸が絡まったり、繋がったり、緩くなったり、張ったり、、、人間関係のような毛糸を紡いで1つの作品を作り上げていると理解し、心が震えました。天井から広がる赤い糸を照明が照らして映し出される影がこちらに迫ってくるように錯覚させる表現も、薄暗い館内ではより一層際立っていました。
VCCA: http://vccavietnam.com/en/
Chiharu Shiota: https://www.chiharu-shiota.com/top-japanese

これまで知らなかった女性目線の歴史、まだ行ったことがない山岳地帯の民族衣装、海外で活躍する日本人のコンテンポラリーアート、等々に触れ、女性の逞しさを学びました。自分のまだまだ知らないベトナムがあることに納得と興奮を覚え、もっともっと沢山の側面を理解したいと思った勉学の秋の一日でした。

NY Report VOL.52新しいかたちを求めて観光シーズンも終わり、落ち着きを取り戻した秋のニューヨークは少しずつ色づき始めています。美しい紅葉のセントラルパークを抜け、ウェストサイドに聳え立つアメリカ自然史博物館。その敷地内に新しい...
02/11/2023

NY Report VOL.52

新しいかたちを求めて

観光シーズンも終わり、落ち着きを取り戻した秋のニューヨークは少しずつ色づき始めています。
美しい紅葉のセントラルパークを抜け、ウェストサイドに聳え立つアメリカ自然史博物館。
その敷地内に新しい施設がオープンしたと聞き早速いってまいりました。今月のレポートは新しい建築の提案と進化した博物館をお楽しみ下さい。   

2023年5月初旬に新しい施設がオープンしたアメリカ自然史博物館。まるでアリの巣の中に入ったような有機的な内装と外観はニューヨークの最新建築スポットとして連日多くの人が訪れている。
広々とした真っ白な空間には新しい展示スペース、ライブラリー、レストラン、ミュージアムショップなどがつくられ、以前からある旧館に全ての階層で繋がっている。中はまるで洞窟のような雰囲気で、ガウディのサクラダファミリアなどの近代建築の巨匠の影響やザハ・ハディッドの曲線美を彷彿とさせる現代建築にも似たものを感じる。この独創的かつプリミティブな建物に仕上げたのが、Studio Gang (スタジオ・ギャング)。女性建築家のジーン・ギャングが率いる新進気鋭の建築事務所だ。
建物のデザインは、風や水がつくり出す風景や、暖かな水が氷の塊に刻み込む形からヒントを得ており、質感、色彩、流れるようなフォルムは、アメリカ南西部の渓谷から着想を得ているなど、自然からのインスピレーションがデザインの核となっている。
人々が抱く“学ぶこと”に対する自然な欲求を満たすには、この空間をどう活かせばいいのか深く考えたとした上で、「私たちは地質的な視覚イメージに着目しました。自然の力によって物質が形成される様子、私たちの世界が作られる様子が見て取れる空間になればと考えました」と話している。彼女の事務所であるスタジオギャングの形状・生態学・材質・社会的つながりに関する創造性に富んだ研究は、その創始者がテックギークであることだけでなく、人からなるべく多くの声を集めようとする姿勢にも起因している。新館の1階部分には人工的に作ったアリの巣に実際のアリを住まわせて生態系を見せるコーナーや、生きた昆虫を観察できるコーナーなど今までになかった見せ方を新たに加えているが、その見せ方はあくまでデザイン的に美しく形成されているのがさすがである。

・ American Museum of Natural History Gilder Center
 (アメリカ自然史博物館・ギルダー・センター)
https://www.amnh.org/

・ Studio Gang (スタジオ・ギャング)https://studiogang.com/

建築界の女王ジーン・ギャング率いる建築・都市デザイン事務所。シカゴに本社を置き、ニューヨーク、サンフランシスコ、パリにオフィスを構えている。ギャングは「建築界のユニコーン」のひとりで、その実績から広く尊敬を集めるだけでなく、クライアントを説得し、彼らができると考えるよりもさらに先に進むことができる戦略的実用性と優れた能力をもち、常識を覆すような建物をつくり続けてきた建築家である。そこにはテックギークに強い様々な若者が集まり彼女を支えている。

2019年6月12日に着工したこのホールは4階建てで、館内を接続する中心的なハブとして機能する構造が「すべての生命は繋がっている」という博物館の創設原則を表現している。23万スクエアフィートのホールには、同館コレクションの約12%に相当する400万点の標本を展示。2014年に増築計画を発表して以来、9年越しでようやくオープンしたのがこのギルダーセンターだ。博物館の150周年である2019年オープンを目指していたが、計画の発端であるギルダー氏の死去、パンデミックの建設費高騰による予算拡大、社長辞任など、多くの問題を乗り越えてのオープンとなった。4億6500万ドルを投じて建築された同センターは、ニューヨーカーが長年待ち続けただけの価値がある、素晴らしい新館となっている。

今回その3階で開催されていた「インビジブル・ワールド・シアター(Invisible Worlds Theater)」では、生命をテーマにした映像を360度の大型スクリーン劇場にて公開。微粒子になって脳の内部に行ったり、虫になって葉の下に入り込んだりするようなプロジェクションマッピングを使用し、新イマーシブエクスペリエンスと呼ばれるインタラクティブ(参加型、体験型)な展示を大いに楽しめた。ミクロの世界からマクロの世界まで空間いっぱいに広がる映像は美しく、ある時は具体的にある時は抽象的に、様々な世界を垣間見ることができる。視点を変えることの重要性や本当の意味での多様性とはどういうことなのか、新しい映像世界や建物の空間からも学べるように進化し生まれ変わったこの場所は、子供から大人まで地球のいち生物として原点に戻ることができる場所となった。帰り際、ふと見上げた大きな天窓から入る自然光に照らされながらまるでアリの気持ちになったのも、計算されていたのだろうか。人間が作り出すものも悪くないなと思った初秋だった。

VIETNAM REPORT VOL.08Hanoi | Vietnamベトナムタイニーハウス シンチャオ!年内最後の祝日も終わり、気候が涼しくなるとともに1年の終わりが見え始めた今日この頃。今や見慣れてしまっている自分がいますが、ハノイに...
03/10/2023

VIETNAM REPORT VOL.08
Hanoi | Vietnam
ベトナムタイニーハウス

シンチャオ!年内最後の祝日も終わり、気候が涼しくなるとともに1年の終わりが見え始めた今日この頃。今や見慣れてしまっている自分がいますが、ハノイに来て最初に印象に残ったベトナムの建物事情について初心に戻ってご紹介します。

約1年前、ハノイに降り立つ飛行機から眺めた景色でとても印象的だったのは、屋根の色がほとんど赤い事と、市内から少し外れた居住エリアが密集しているように空から見えた事。田んぼの緑と赤い屋根とのコントラストを窓から眺めながら、新しい土地での新生活にドキドキわくわくしていたことを今でも覚えています。もともとハノイ近郊で取れる赤土から作られる瓦を屋根に使っている家屋が多く、そうでなくてもトタン屋根を赤くする家庭が多いとのこと。

改めて市内を歩くと、隣の建物と壁を共有している個人商店や飲食店、アパートメントを多く見かけます。こういった住宅はペンシルハウス(Pencil House)やチューブハウス(Tube House)と呼ばれ、間口が狭く、奥に細長く伸びているのが特徴。ベトナム語で”ニャオン(nhà ống)”と呼ばれるこの住宅建築はベトナムで最も人気のある住居タイプの1つです。旧市街にあるニャオンの多くは1Fが店舗で2Fは家族が住む居住スペースとなっています。ドイモイ政策以降、国民は自分の土地を手に入れることが可能になりましたが、道路に面した間口が広ければ広いほど土地の値段が高くなるシステムだったため、苦肉の策として間口を最大限に狭くしたこのペンシルハウスが編み出されました。(まるで京都の町家みたい)

外装はシンプルなコンクリート壁にペイントがされただけのものから、フランス建築を模したデザインまで様々で、敷地を横に伸ばせない分、拡張の際にはとにかく縦に縦に。見ているこちらが心配になる細長さでの増床作業も街中でよく見かけます。ほとんどの間取りは1F部分の路面沿いは店舗になっており、その奥には倉庫や住宅へ向かう為の階段が設置されています。建物によっては通り沿いの建物から、とてつもなく暗い通路を通ると少し開けた踊り場のような場所に出て、そこからまた別の建物の入口に行く。といった構造の建物もあります。こういった長細い建物や通路が多いが故に、車ではなく、バイクの方が色々と都合が良いのだろうなと気付きました。

こんなに隣同士が密集している建物における解体工事を初めて見たときには、少々カルチャルショックを受けました。プロセスとして、とにかく上から壊す!そして工事の振動で隣の建物が倒れないように突っ張り棒を設置!後は重機を使って解体あるのみ!小型重機が2台ギリギリ並べるような空間で昼夜問わず解体作業を進めるのがベトナム流。日本では考えられないスピードと人海戦術により、数日の間で解体作業は完了します。ベトナムの家屋の殆どは躯体に鉄骨を使っておらず、煉瓦とモルタルを駆使したもの。それも相まって、解体作業は本当に早い!先日まで通っていた飲食店が跡形も無くなっている...なんてことは日常茶飯事です。

ハノイに来てから、ベトナムへの馴染み方が半端じゃなく早いと各方面からお褒めの言葉を頂いております私ですが、今回のリポートをきっかけに街中の建物をよくよく観察してみると、知っていたようで知らなかった事や新しい発見が沢山ありました。知らず知らずのうちに見慣れてしまったこのでこぼこの細長い建物群も、事情を知れば知るほど可愛く見えてきたリサーチとなりました。

NY TREND REPORT VOL.51水辺の夏、シーポートエリアの新たな開発朝晩は少し涼しくなり始めたニューヨーク。夏の終わりを惜しむかのように水辺に集まる人々。マンハッタンのサウスストリートシーポートエリアで開発が進んでいると聞きつ...
08/09/2023

NY TREND REPORT VOL.51
水辺の夏、シーポートエリアの新たな開発

朝晩は少し涼しくなり始めたニューヨーク。夏の終わりを惜しむかのように水辺に集まる人々。マンハッタンのサウスストリートシーポートエリアで開発が進んでいると聞きつけ、そのランドマーク的な存在となるフレンチセレブシェフ、ジャンジョルジュ氏の手がけたフレンチスタイルフードモールTin Building を中心に、多くの観光客やニューヨーカーが夏の水辺を楽しむ様子をお届けします。

シーポートディストリクト (Seaport District) は、イーストリバー沿い、ブルックリンブリッジの南側のロウアーマンハッタンにある一角でフィナンシャルディストリクトに隣接。かつては、フェリーターミナルやフィッシュマーケットがあって賑やかなエリアだったが、次第に衰退し時代に取り残されていった。そんなシーポートは、2012年ハリケーンサンディにより大きな被害を受けたこともきっかけとなり、大きく再開発が進みすっかり変身を遂げた。歴史を感じさせる石畳や美しいレンガ造りの建物が立ち並ぶ光景はさながら映画のセットのようでシーポートの魅力の一つとなっている。

Tin Building by Jean-Georges(ザ・ティン・ビルディング・バイ・ジャン-ジョルジュ)https://www.tinbuilding.com/

再開発の中心になったのが、去年の8月にサウスストリートシーポートにオープンした「Tin Building by Jean-Georges」。世界的に有名なニューヨークのセレブシェフ、ジャン・ジョルジュ氏が手がけた2階建てのフードマーケットで、レストラン、カフェ、小売店などが入った商業施設としてオープン以来ニューヨーカーや観光客が多く訪れている。もともとこのエリアには、1807年にオープンした魚市場「フルトンフィッシュマーケット」があり2005年11月のブロンクス移転まで200年にわたり新鮮な魚介類をレストランや小売店に提供してきた歴史がある。この地区のランドマーク的存在だったフルトンフィッシュマーケットの長い歴史に敬意を払い、世界中の人が集まる人種の坩堝ニューヨークのエッセンスを含んだ場所というコンセプトがここには詰まっている。ビルに入ると真っ先に目に入ってくるのが、もちろん鮮魚売り場。そこを中心に、一階は精肉、野菜や果物、チーズやパスタや惣菜などを販売するセクションとオイスターバー、クレープ、カフェと気軽に立ち寄れる構成になっている。2階に上がるとフレンチレストランを中心にバーやお土産を取り扱うショップが並ぶ。中には日本の食材や調味料を扱う店舗もあり、ジャン-ジョルジュ氏の日本食材へのリスペクトを垣間見ることができる。個人的なご縁で本店ジャン-ジョルジュに彼の弟さんに招待していただいたことがあり、素晴らしいおもてなしを受けた経験からとても感慨深かった。
家族連れが気軽に利用できるお店、デートにぴったりな洗練されたお店、一人でも入れるカジュアルな店といろいろあるので、用途に応じて利用できるのもありがたいところだ。スタッフのユニフォームもテーマカラーであるグリーンとホワイトに統一され、Tin Building全体のブランディングへのこだわりも感じられた。それもそのはず、ジョルジュ氏はこのモールの建設に構想含め8年もの歳月をかけていたのだというから頷ける。昔の写真を見ても分かるように、建物の全体の雰囲気はそのままに、テーマカラーやシックな大人の雰囲気、シンプルさに気をつけたデザインはニューヨーカーたちにも好評だ。

Seeds and Weeds (シードアンドウィード) https://www.tinbuilding.com/restaurants/SEEDS__WEEDS

Tin Buildingの中の店舗の一つ、Seeds and Weeds (シードアンドウィード)は、ベジタリアン、ヴィーガンフレンドリーのレストランだ。店舗内の内装が可愛らしく、中東やインドにインスパイヤされたヘルシーなメニュー、テーブルごとにつくサーバーの子たちの丁寧な説明、カジュアルすぎない感じがとても好印象だった。ここのシグニチャーディッシュ(お店を象徴する一皿)として出されているドーサ(Dosa):「ドーサ」とは南インドの伝統料理で、米と豆を発酵させた生地で作るクレープのような料理で、酸味を感じる生地はクレープともガレットとも違ってクセになる。ドーサはグルテンフリーでもあるのでアレルギーがある人でも楽しむことができる。様々な体質や宗教上のため食に制限がある人に向けたこういったレストランも十分に楽しめるメニューの品数だった。

Pier17 (ピアセブンティーン)https://rooftopatpier17.com/

ティンビルディングを抜けたその先にひと足先にオープンした「ピア17」。コロナ前の2018年夏には外のデッキ部分はオープンしていたこともあり、多くの人の憩いの場として利用されていた。ブルックリンブリッジの美しい景色を見渡せる1Fにはベンチや休憩できる場所も広々とられており、ウォーターフロントならではの優雅な雰囲気の中、お酒を飲めるバーもあってゆったりくつろぐことができる。コロナ後、巨大なルーフトップステージでのイベントも再開し、朝から夜まで楽しめるエンターテイメント施設としてこのエリアを象徴する建物となっている。

新たにできた建物やレストランももちろん素敵なのだが、なんといっても開放的なビューはこのエリア最大の魅力となっている。海に迫り出したデッキで食事ができたり、海を眺めながら仕事ができたり、コロナ中にオープンしていたこの開放的な空間に多くの人の心が癒されたことだろう。対岸に見えるダンボ地区(以前取り上げたブルックリンの商業施設周辺)から水上に浮かぶ公園リトルアイランドなど水辺の空間が充実していくことは人々の暮らしをより豊かにしていくのだなと感じた。日中から夕暮れまで海を眺めながら移り変わる水面を楽しみ、夜、日が暮れたあたりに振り返るとマンハッタンの夜景がより一際美しく見えた。

VIETNAM TREND REPORT VOL.07Hanoi | VIETNAMベトナムが歩んできた歴史シンチャオ!先日世間を賑わせた台風4号タリムが去りましたが、台風一過の晴れやかな天気からは程遠い曇天続きのハノイ。そんなハノイらしい...
31/07/2023

VIETNAM TREND REPORT VOL.07
Hanoi | VIETNAM
ベトナムが歩んできた歴史

シンチャオ!先日世間を賑わせた台風4号タリムが去りましたが、台風一過の晴れやかな天気からは程遠い曇天続きのハノイ。そんなハノイらしい天気を背景に、ベトナムの文化建築、歴史的建造物にフォーカスした街並みを紹介したいと思います。

ベトナムは南北約2,000kmの長い国土を持つ国で、かつては北部、中部、南部それぞれの地域に別々の王朝が存在していました。ベトナムの歴史は日本と同じく石器時代から続いており、その後文明を持ち始めてからは地域毎に周辺諸国の文化の影響を受けながら独自に発展していきました。私の住んでいるハノイ(北部)は中国南部に陸続きで位置していることから、ベトナムの中でも中国文化の影響を色濃く受け継ぎ発展してきた地域です。

中国の文化を色濃く受けた建物の一つとして、文廟があります。ハノイ駅から車で5分ほどの距離にあるこの文廟は孔子廟とも呼ばれ、その名の通り孔子を祀っている学問祈願の場所。10万ドン紙幣にも描かれているこの建物は、学問祈願の学生や多くの観光客が訪れる観光スポットとなっています。文廟内を歩くと、扉の両サイドに漢字が記載されていたり、使われている配色からも中国の影響が大きいことが伺えます。こちらの建物が建立されたのは1070年(日本は平安時代後期)とされていますが、当時のベトナムは仏教の教えが中心となっており、儒教はそれほど尊重されていませんでした。その後、15世紀頃になると中央集権強化のため、儒教の基本方針を広く伝えるようになり、それが今でも上下関係に厳しかったり、親族に特に気を遣うといった教えとして、ベトナムに根強く残っています。

ハノイにある歴史的建造物の代表格といえば、タンロン遺跡(ハノイ城跡)!タンロン遺跡は2010年に世界遺産に登録され、現在も発掘調査中の箇所が多々あります。空の様子も相まって、荘厳な雰囲気。街中にある広大なスペースを誇る緑のオアシスでは、市内ではあまり見られない鳥や生き物を観察することも出来ます。建物内はお城とは思えないほど質素。質素すぎて暗くてもはや怖い。お城の上に行くと、ハノイ要塞の監視所として建てられたフラッグタワーが見通せます。また、城跡の裏側では採掘された遺跡の様子を見ることも出来ました。

ベトナムに来て、興味深いと思った建造物の1つに一柱寺があります。池の上に1本の柱で支えられた蓮の形をしているお寺です。このスタイルの建物は別名、蓮花台とも呼ばれ、ベトナム全土に点在しているお寺のスタイルです。現在はコンクリート等での補強がされていますが、建設当初はおそらく石や木で作られていたのかと想像すると、当時の技術力の高さが伺えます。その他にも観光名所であるホアンキエム湖に浮かぶ小島にあるゴックソン寺院、ここには文章の神が祀られており、今後のレポートが捗る事を祈りながら寺院の隣にある建物の中に。するとそこには世界最大級の亀の剥製!!推定年齢100歳、体長210cm、見た目ガメラ。この亀の正体、実はこのホアンキエム湖に語り継がれている伝説に由来しています。ベトナムが中国の明に支配されていた15世紀、ベトナム黎朝の初代皇帝が、湖の宝剣によって明を退けた後に湖を散歩していたところ、神の使いである大亀が現れて宝剣を持ち主の竜王に返すよう言って、湖の底へ宝剣を持ち帰ったという。この湖には大亀も竜もいるのかと、底の見えない緑色の水を眺めながら少しワクワクしました。

また、街中にはパゴダと呼ばれる仏塔や寺院も沢山あります。もう、何重の塔ですかという勢いで積み重ねられたパゴダは観光スポットとしてだけでなく、ベトナムローカルの憩いの場所として街の皆を見守ってくれています。夕方にライトアップされるTran Quocパゴダは丁度対面がデートスポットでもあることから夜になるととにかく人が多い!湖沿いのロマンティックな雰囲気の中、光り輝くパゴダを眺めながら、カップルでアイスを食べたり、おしゃべりしたり、エクササイズをしたり...屋根も空調もない場所に人だかりができるという何ともベトナムらしい光景を楽しむことが出来ました。それにしても暑い。溶けかけのアイス1個で何時間も外にいることの出来るベトナム人達の体力と気力にも脱帽。

地理的、歴史的に地域や時代によって他からの文化や考え方を受け入れ続けてきたベトナム。21世紀になった今でも、各国の文化や技術を取捨選択して上手く自分たちの生活に取り入れているなと感じることがあります。こういった柔軟な考え方や新しいものを受け入れていく姿勢、マインドセットが今後の国や国民性の発展には好転するのだろう、ベトナムが日本に追いつき追い越す時がすぐそこまで来ているのだろうという思いを抱き、煌々と光る何重にも連なるパゴダを背に家路につきました。

NY TREND REPORT VOL.48New york | NEW YORK草間彌生とニューヨークの関係 ニューヨークでは華やかなホリデーシーズンが終わり、穏やかな日常が戻って来ています。今、そんな街中を賑わしているのが、2023年冬...
15/03/2023

NY TREND REPORT VOL.48
New york | NEW YORK
草間彌生とニューヨークの関係

ニューヨークでは華やかなホリデーシーズンが終わり、穏やかな日常が戻って来ています。今、そんな街中を賑わしているのが、2023年冬に世界中で同時に始まった草間彌生とルイ・ヴィトン (Louis Vuitton)のコラボ第二弾。五番街、SoHo などのお店の他、ミートパッキングディストリクトにはポップアップ店も登場。街中のビルボードまでドットに染めております。今回のリポートではニューヨークに縁のある草間彌生のアーティスト人生にも触れながら街を巡ってみました。

まずはミートパッキングディストリクトに期間限定で出店しているポップアップストアへ。店内は彼女の代表的な作品である黄色のかぼちゃを連想させるパンプキンドットのデザインに染められ、ナルシスシリーズのミラーボールがごろごろと転がっており異世界に入ったよう。天井も床もドット一色。中にはUFOキャッチャーまであり、購入カウンターまで全ての什器がカボチャ柄に染められていた。フィッティングルームは全面鏡のためイエローブラックのドットに包まれる自分を写真に収めることができる。そのな中に陳列されている商品も埋もれることなく主張しており、さながら作品のようだった。

次に向かったのはSOHO。さまざまなハイブランドが軒を連ねるエリアにある店舗には、打って変わって真っ白なベースにカラフルな色を散りばめたドットの世界が広がっていた。この日は天気も良く青空が広がっていたため、店内から写真を撮るとより一層ドットが華やいでいた。スッタフのお兄さんのユニフォームが可愛くて声をかけると照れ臭そうに写真を撮らせてくれた。隣の大きな店舗もさりげなくドットが取り入れられ、店内はアジア人などの観光客らしき人たちで賑わっていた。

ここで少し草間彌生という芸術家について触れてみる。代表作である水玉かぼちゃのオブジェが子どもにまで愛され、2017年には自分の名前を冠した美術館もオープンするなど、いまや日本を代表する現代美術作家となっている。「水玉」模様をモチーフにした作品の数々は「ドット・ペインティング」と呼ばれ、それらは彼女が10歳の頃から描き続けられているが、自らに襲い掛かってくる幻覚や幻聴から自分を守るため、作品を水玉模様で埋め尽くす儀式であるとされている。これらインパクトある作品群は有名だが、その一方で彼女がどんなことを成し得てきた人物なのかを知らないという人も多いのではないだろうか?1960年代は、ニューヨークで活動しており、最近ではニューヨーク植物園での特別展、チェルシーのギャラリーでの大々的な個展など毎年のようにニューヨークに登場している。その活動は多岐にわたり、絵画や彫刻、インスタレーション、パフォーマンスアート、詩や文学といった様々な分野で功績を残してきた。しかし、1960年台のニューヨークでの評価は一定数あったものの大きく紹介されることはなかった。その当時のニューヨークの様子や、草間の人生と創作に迫った解説付きのドキュメンタリーが現在配信されているので、是非、見て欲しい。自由なように見えるアートの世界が、実は閉鎖的で男性優位の世界に乗り込んでいった小さなアジア人の女性が、ここまで認知されるまでの苦悩や孤独。作品が認められるまでの道のり、強迫神経症という病など、知られざる草間の人生を見た上で、このコラボレーションを眺めてみるとまた違った視点から楽しむことができるかもしれない。
・ Kusama - Infinity(草間彌生インフィニティ) https://lnkd.in/gUs68BHp

日本を代表する前衛芸術家・草間彌生のドキュメンタリー
草間の作品に心を奪われたヘザー・レンズ監督が、彼女の複雑な“人生”と“才能”を分かちあってもらいたいと制作。草間の波瀾万丈のひと言では足りない超絶人生に驚がくする。世界的アーティストとして知られる草間彌生の芸術への情熱を理解されなかった幼少期、単身アメリカへ渡った挑戦、苦悩と困難の連続だったニューヨークでの創作活動など、華やかな現在の根底にある姿を綴った作品。

さて、そんな草間さんのそっくりの人形ロボットが五番街のお店でドットを描いていると聞いたら行くしかない!5thアベニューを歩いていくと遠くからでも見えるビルの外壁全面にドットを描く草間さんが出現。近づいてショウウィンドーを覗くと、ガラスに向かって無表情にドットを描くAI草間ロボット。たまにニヤリと笑い、私が動くと目で追ってくる様子はまるで生きて意思を持っているかのよう。多くの人が足を止め見入っていた。

店内は同じくカラフルなドットで埋め尽くされ、吹き抜けから見下ろすと切り取られたアート作品のようだった。ガラス面にもドットステッカーが貼られているため、それ越しに写真を撮ると全てがドット仕様に。ニューヨークの一等地に自分のロボットが置かれ、ビル一面を飾ることになるとは60年前の彼女が想像できたか。何かを続けていくということはこんな奇跡も引き起こすのだ。


現在、自分もニューヨークでアーティスト活動をしている中で、女性として、イミグラント(移民)として生活していくことだけでも大変なのに、さらに女性軽視が強かったあの時代に、芸術家として戦い続けた姿に敬服する。女性アーティストとして日本人として人間として、死ぬまで描き続けるという姿勢を見せ続けることで、世界中の人々に希望や力を与えている。自分のやっていること、考えることを信じることの強さを作品からも、彼女の生き方からも学ぶことができた。

「人々の心を動かして、芸術の力でもって世界が平和になってくれたらいい。」
彼女が語る未来の姿が現実になる日もそう遠くないことを願ってやまない。

次回のニューヨークトレンドリポートでは、12月号にも触れたグランドセントラルステーションに設置された草間作品のモザイク画と新たにリノベートされたペンステーションをご紹介致します。

VIETNAM REPORT VOL.04Hanoi | Vietnamテト前の喧騒シンチャオ!新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。新暦にて新しい年の始まりを迎えましたが、中国を中心とした東南アジアや東アジ...
13/02/2023

VIETNAM REPORT VOL.04
Hanoi | Vietnam
テト前の喧騒
シンチャオ!新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
新暦にて新しい年の始まりを迎えましたが、中国を中心とした東南アジアや東アジア、イスラム諸国では太陰暦を用いた暦による新年が1年を通しての一大イベントです。ベトナム語での旧正月”Tet Nguyen Dan”の省略でこちらではテトと呼ばれています。ベトナムの祝日は5日。日本の3分の1しか祝日がないこともあり、テトはベトナム人にとって最重要イベントなのです。今年のテトは1月下旬、新年が明けたと思ったら今度は旧正月。かれこれ1カ月程、忘年会に参加し続けています。

テトが始まるにあたって、普段と様子が大きく変わるのは観光スポットでもある旧市街。中心地はいつもの景色と一転、赤と金色の装飾が道いっぱいに広がり、普段以上に道幅も狭く、歩くには一苦労です。しかし、沢山の装飾の流れに沿ってゆっくりと楽しむことが出来ます。バイクを運転している人達も、道端の装飾をしっかりと脇見しながら運転するため、この時期は事故も多いのだとか。今年は猫年(日本の干支では兎ですが、こちらベトナムでは猫です)ということもあり、ドラえもんやハローキティーといったキャラクターのアイテムも多く陳列されていました。

装飾品だけでなく、ある特定の植物もテトの時期に多く見られるようになります。金柑は中国語で金桔と書き、発音が金の吉と似ていることから、吉と金が舞い込む縁起物としてこの時期に沢山販売されるようになります。日本でいうところの門松のような役割です。金柑に続き、桃や梅の花もテトには欠かせない植物です。南部では黄色梅、北部ではピンクの桃が飾られます。黄色は幸運と富を呼ぶラッキーカラー、桃の花は家族の繁栄を祝い、悪霊と不運を追い払う花として知られています。街中ではバイクの後ろに購入した金柑や梅の木を括り付けながら走る光景が頻繁に見られます。また、長寿と幸福の象徴として知られる菊もこの時期に多く出回っています。日本だとお供え物のイメージが強い花ですが、ベトナムではお供え物やお祝いのお花として飾られています。

テト期間は1年で1番ベトナム人のお財布の紐が緩む時期です。骨董品屋さんや洋服屋さんもテトグッズひしめく路面店に点在しています。アンティークショップもテトに併せて縁起のいい置物や干支にゆかりのある製品等、色々な製品が陳列されていました。上記で記載したテトの植物を入れる花瓶や鉢植えも、植物売り場の横に陳列されています。その他にテトの露店で欠かせないのが、野菜や果物をお砂糖でコーティングした伝統菓子のムット屋さん。店頭で数種類のムットを選び、カラフルに専用の箱に詰めて、企業間のギフトや家族で集まったときのお菓子として振る舞います。テト以外でもお茶菓子としてスーパーや市場などで購入することが出来ます。

この時期は、旧市街や路面店だけでなく各ショッピングモールやホテルによるテトのデコレーション対決も行われています。テト前の都心は買い物客やテトの準備、企業のテト前の挨拶回りなどで忙しなく人や物が動き回っていて、普段の倍くらい街中が賑わっているように感じます。自撮りをする若者や子供の写真を撮影する親たちで溢れるモールのディスプレイは、コーポレートカラーや今年の干支である猫が組み込まれていて、SNSマーケティングが盛んなベトナムでは、このモール正面のディスプレイは毎年手が抜けないポイントの一つなのです。

ベトナムに来て初めて経験するテトですが、家族やご近所との繋がりが未だに強いベトナムにとって新たな1年のスタートを家族と過ごせるこの時期が何よりも大切で、老若男女問わず全員が楽しんでテトに臨んでいる様子を見ることが出来、とても新鮮でした。今のベトナムは数十年前の日本のようだとよく比喩されることがありますが、家族やご近所関係が希薄になっている今の日本のようになってほしくないなと思いながら、冬空を眺め、自分も国にいる家族に会いたいと少しホームシックになったテト前でした。

Merry Christmas and A Happy New Year!
28/12/2022

Merry Christmas and A Happy New Year!

住所

神宮前6-13/9
Shibuya-ku, Tokyo
150-0001

営業時間

月曜日 09:30 - 18:30
火曜日 09:30 - 18:30
水曜日 09:30 - 18:30
木曜日 09:30 - 18:30
金曜日 09:30 - 18:30

電話番号

+81364413201

ウェブサイト

アラート

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