10/03/2025
VIETNAM REPORT VOL.16
Hanoi l Vietnam
ベトナムアートの今とこれから
Chuc Mung Nam Moi(ベトナム語の新年のあいさつ)!旧正月も終わり、お休みモードから少しづつ日常を取り戻しつつあるハノイ。そんなハノイではテト休暇(ベトナムの旧正月の総称)の前後に立て続けにアートイベントがありましたので、その模様についてご案内します。
2024年末から旧正月にかけて、ハノイはスモッグで真っ白!外で何かをする気に全くなれない公害レベルの大気汚染に辟易していると、第7回ベトナム全国青少年美術祭というイベントがVCCA(ビンコム現代美術センター)で開催していることを知り、久々に芸術に触れてみようと重い腰をあげ、VCCAが入っている複合商業施設を訪れました。この展示会は文化やスポーツ・芸術を司る省庁協力の下、18~35歳の若いアーティストの作品と新たな才能の紹介を目的としたイベントです。応募総数1,000点を超える作品の中から厳選した148点が展示されました。展示作品は現代の社会生活における、若いベトナム人アーティアウトの懸念や不安をテーマに描かれており、120人を超える、未来のベトナムアートを担う若者たちの思いが広い展示会場に思い思いに表現されていました。
Vincom Center For Contemporary Art:http://vccavietnam.com/
約1,700㎡のだだっ広い展示施設には絵画がメインに沢山の作品が展示されていました。街中や旅行先で見かける光景が描かれている作品や陶磁器材を用いた作品など、ベトナムに居るとなじみの深い題材や画材で描かれている作品が多く、若い子たちの不安が日常に隠れていると感じることが多くありました。特に印象的だったのは、ここ数年、大きな事件が立て続けに起こり、ベトナム国内で法律が変わったり、よくニュースになっている、火事を題材にした作品でした。自身もベトナムで建物の設計に少なからず関わっている人間として、これからの世代へ向けて不安要素を取り除けるようなモノづくり、仕組みづくりをしていきたいなぁ、とベトナムで働く日系企業の一員として、改めて思うきっかけになりました。
広い会場をゆっくり時間をかけて作品を見ていくと、自分と同世代かもっと若い子たちの作品にしては、欧米や日本で広く認識されているコンテンポラリーアートというよりかはモダンアートに近いテイストを用いている作品が多いと思いました。ベトナムという自分たちのアイデンティティの強い画材や素材を使って世界に発信するという点では最近のトレンドなのかもしれないが、アート面でも世界と比べるとまだまだ発展途上で、これからどんどん伸びしろがあるのだと思うと、ベトナムが抱えている未来へのポテンシャルに期待が高まると同時に、政府や先進国が協力して新しい才能を導く環境が整えられていくことを期待します。
もう一つの文化・アートイベントとして、ハノイ大学とバッチャン陶芸博物館で国際芸術シンポジウムinハノイが開催されました。ハノイで第2回を迎えるこちらのイベントは文化庁の推進するイベントとして、日本より約50名の日本人アーティストが実際にパフォーマンスやアート体験ブースを開催してくださり、若者や学生を中心として日本芸術や文化をベトナムの若者に発信するイベントでした。昼過ぎに訪れた陶芸博物館は、テト前という事もあり多くのベトナム人や欧米系の観光客で賑わっていました。博物館の入口すぐのアトリウムのような広場にて多くの日本人アーティストがご自身の作品の展示や習字・切り絵・水墨画…といった日本の伝統アートの体験ブースを設置して通訳を交えたり、身振り手振りでベトナム人旅行者達に文化体験の場を提供していました。バッチャン村はつい先日、世界工芸評議会によって、世界工芸都市と認定されたこともあり、ベトナムの工芸都市において日本文化を発信するという、日越の文化コラボレーションを象徴するイベントとなりました。
第二回国際芸術シンポジウムin ハノイ:https://20g.tokyo/第二回国際芸術シンポジウムinハノイ開催報告書
同様のイベントではあったものの、ハノイ大学で開催した際には参加者はもちろん学生さんメイン!バッチャン村と異なる点は日本語専攻や国際文化を学んでいる方が多く、むしろ私よりも日本の文化に詳しい若者が多数参加されていました。習字や水墨画のように炭を使っているアートはベトナムでも古くから用いられていて、なじみがあるのかやはり人気のブースでした。3年もベトナムに居るにも関わらず、ハノイ大学に足を踏み入れたのは実は初めてです。フランス統治下に設立されたインドシナ大学が基となっており、コロニアル調の建築物と近代的なデザインの建築物が混在しているキャンパスはベトナムの若者たちの活力で賑わっており、このように日本企業や文化がベトナムの未来を担う人材育成の一部に貢献している様子を自分の目で見ることが出来たこと、ハノイで働く日本人として誇らしく思いました。
ハノイ国家大学:http://internationaloffice.hanu.vn/
テト直前にはイオンモールロンビエンにて商工会の主催する日越文化祭が開催され、日系企業で働くベトナム人やベトナムに住む日本人の方が出展してくれたアート作品の展示や踊りや歌といったパフォーマンスが行われていて、テト前の買い物に来ていた沢山のベトナム人の目に触れるイベントとなりました。
日本を離れたからこそ改めて認識する日本文化の面白さや奥深さを感じるとともに、ベトナムの方にも日本に興味を持ってほしいという願いがこのように日本に関わる文化イベントの開催やアートの普及に繋がっているのだなと感じました。円安の影響もあり、海外において日本のプレゼンスを高めることが困難になっている昨今、自身の住んでいる地域でこうも身近に日本に関わりのあるイベントが多く開催されることがとても嬉しく、こういった試みが長期的に両国間で築くことが出来るようにベトナムの発展に貢献していきたいと思いました。