新価値創造研究所

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🟠高校・大学向け「アントレプレナーシップ教育プログラム」を公開しました🟠 AI時代だからこそ大切になる、「価値を生み出す力」。人間だからこそ発揮できる“価値創造”の考え方を、図解・時系列・体系化し、教育現場で活用いただける「価値創造教育プロ...
12/05/2026

🟠高校・大学向け「アントレプレナーシップ教育プログラム」を公開しました🟠
 AI時代だからこそ大切になる、
「価値を生み出す力」。
人間だからこそ発揮できる“価値創造”の考え方を、
図解・時系列・体系化し、
教育現場で活用いただける
「価値創造教育プログラム」としてまとめました。
 未来を切り拓く若い世代の育成や、
教育機関の皆さまの取り組みに、
少しでもお役立ていただければ嬉しいです。

2026年5月12日: AI時代における「価値創造人財教育」の再設計に向けて  [プロローグ] --…

橋本元司の「価値創造の知」第377夜:「価値創造の航海術 」-「問い創造」から「価値創造」へ2026年4月7日: 知の連鎖が解き放つ未来への躍動 これまで第370夜から第376夜にかけて、・「価値創造」というAI時代に最も重要で、・しかも目...
04/05/2026

橋本元司の「価値創造の知」第377夜:「価値創造の航海術 」-「問い創造」から「価値創造」へ
2026年4月7日: 知の連鎖が解き放つ未来への躍動

 これまで第370夜から第376夜にかけて、
・「価値創造」というAI時代に最も重要で、
・しかも目に見えない「切実→逸脱→別様」の営みを、
・いかにして再現可能な「知」 として体系化できるか
 を説明してきました。

 それは、「知の点(問い)」が一本の強力な「知の線」となり、
さらに立体的な「知の型(3つの知)」へと進化する「黄金のリレー」です。

さて、令和の地球沸騰環境(生命サステナブル)、ビジネス環境(AIデジタル等)等では、「立つ・立ち上がる・自立する・両立する」 という動詞が、これまで以上に経営や事業創発のコア技術になります。

 事業が立ち上がる、経営・組織を立て直す、人財が自立する、経済価値と社会価値を両立する、──これらはすべて、価値創造のプロセスをどう設計できるかにかかっています。

 価値創造とは、「切実・驚きの『心のトリガー』が逸脱を呼び、『智慧の編集』が別様の価値を構築する」という、一種の“立ち上げ工学”です。

 上記を、大学生・ビジネスパーソン向けに、不確実な世界を自らの足で歩むための「実践的知性」及び、「自分のOS」としてインストールできるような道筋となるように提示してきました。
 
 ここで一旦、その道筋を区切りとして俯瞰し、それらがどのように響き合い、一つの大きな「うねり」となるのかを再整理・編集することが、「「きっと皆さんの役に立てるのではないか」と思いました。

1. 【起点】問い創造工学:「問い」がすべての起点となる(第372夜詳細)

 価値創造の第一歩は、正解を出すことではありません。
価値は「思いつく」ものではなく「立ち上げる」ものです。

すべての価値創造は「良質な問い」から始まります。
下図の「A.心のゆれ」を起点として「何を解くべきか」という問いそのものを設計することにあります。
そして、「問い」こそが「向かおうとする方向」を決めていきます。

 世の中に溢れる既存の延長線上にある課題(Problem)に埋没せず、
自らの「驚き・違和感」を「解くべき価値のある問い」へと工学的に純化させる。
この「問い」の強さが、プロジェクト(地域創生・事業創生・人財創生)の初速と深度を決めます。

2. 【拡張】シナリオプランニング:「不確実性」を地図に変え、未来の「地図」を広げる(第373~374夜詳細)

 立てた「問い」に対し、未来は常に「複数の顔」を持って現れます。
一つの予測に固執することは、変化の激しい現代において最大のリスクとなります。

 これまでの競争環境が自分たちに不利な方向に大きく変化した時に、
その脅威の準備・適応ができていないことが、多くの企業の「破綻」の原因です。
それは、「国」「地域」「業界」も同様です。

 「心の置き方」と「モノの見方」のフェーズを上げることが重要です。(第373夜)

 シナリオプランニングとは、起こり得る複数の未来を可視化する技術です。
未来を「当てる」のではなく、複数の可能性を「拡張」「準備」しておくことで、
私たちの思考は硬直化から解放され、しなやかなレジリエンス(適応力)を獲得します。

 チャンスは、準備のあるところにやってきます。(ルイ・パスツール)

3. 【触発】セレンディピティ:偶然を「追い風」に変える(第375夜詳細)

 「問い」を持ち、「複数のシナリオ」を描きながら行動を続けると、そこには必ず予期せぬ出会いや出来事——すなわちセレンディピティ——が訪れます。
それは単なる幸運ではありません。

「やってくる偶然(Outer)」と「迎えにいく偶然(Inner)」が結びつく「格別な間(時空間)」を発見した時に、そこに大いなる不思議なエネルギーを感じます。
自分の内面的な意識や関心が、外の出来事と結びつく能動的で持続的な姿勢がそれを呼び込みます。

 そこでは「準備された心(Prepared Mind)」が、シナリオという地図を持っていたからこそ気づけた「意味のある偶然」「発見の力」です。
 この偶然を価値創造のエネルギーとして取り込むことで、当初の計画を超えたイノベーションが誘発されます。

4. 【深慮・羅針盤】3つの知:戦略に「魂」を吹き込む(第364夜、第376夜詳細)

 3つの知は、本体系における“判断の羅針盤”であり、
問いとシナリオによって広がった可能性の中から、
どの方向に進むべきかを決定する中核機能です。

 令和の時代は、下図のように、
・「何のために創るか(①Why)」、
・「何を創るか(②What)」を
・「具体化する(③How)」
 という「ひとつなぎ」を科学し、
工学の手法で価値を設計するイノベーションの時代です。

深い知(Why / ミッション / 気立て): 禅的思考で己の根源を掘り下げ、揺るぎない「志」を立てる。
高い知(What / ビジョン / 見立て): 「過去と現在」から弁証法的に未来を統合し、ワクワクする「理想の姿」を描き出す。
広い知(How / イノベーション / 仕立て): 新結合の視点で、既存の枠組みを超えた「別流の具体的な解決策」を具現化する。
この「気立て・見立て・仕立て」が揃ったとき、戦略は「逸脱の精度と力」を極め、独自の輝きを放ち始めます。

5. 【実装】価値創造工学:未来を「現実」へと定着させる「統合の知」(第370~371夜詳細)

「価値創造工学」とは、「人の役に立つ仕組みを考え、試し、社会に届けるための心得・思考・実践の方法論」です。
 そのために、「問い」「シナリオ」「セレンディピティ」「3つの知」をバラバラの点としてではなく、「点→線→面→立体」の一気通貫のシステムとして捉えるのが「価値創造工学」の特質です。

 「3つの知」で磨き抜かれた構想・戦略を「価値創造工学」という実行システムへとバトンタッチします。
人々に役立つ想い(想像)を構造化し、他者を巻き込み、社会に価値を実装(創造)していく。
ここに至って、思考は初めて「実体」を伴う成果へと昇華されます。

・問いが方向を指し示し、(未来の行き先)
・シナリオが歩むべき可能性を広げ、(未来の想像)
・セレンディピティが加速を生み、(未来との遭遇)
・3つの知が羅針盤をつくり、(未来の創造)
・価値創造が未来を先取りする。(未来の戦略)

この連鎖を意識的に回し続けることで、価値創造は「一部の天才による閃き」から、「誰もが実践可能な知の技術」へと昇華されていきます。

■ 実践のフィールドへ

 ここで、「問い」から「実装」までを一気通貫で可視化し、戦略の精度を極めるための「価値創造の知・統合マップ(5ステップ版)」をご用意しました。
 このマップは、不確実な未来を自らの意志で切り拓くための「思考の航海図」として活用いただけます。

橋本元司の「価値創造の知」第376夜:「価値創造の3つの知 」-価値創造の「OS」を起動せよ2016年4月5日 問い・シナリオ・3つの知の統合  「価値創造の3つの知」は、本コラム「価値創造の知」の『大黒柱』であり、「人体」で言えば『背骨』...
04/05/2026

橋本元司の「価値創造の知」第376夜:「価値創造の3つの知 」-価値創造の「OS」を起動せよ
2016年4月5日 問い・シナリオ・3つの知の統合

  「価値創造の3つの知」は、本コラム「価値創造の知」の『大黒柱』であり、「人体」で言えば『背骨』、「航」で例えると「竜骨(キール)」です。

 この「3つの知」を成長経営の背骨にして、前職パイオニア社と現職(多業種業態、教育機関、自治体を支援伴走)で最大活用してきました。

 本夜は、下記「価値創造の4段階プロセス」の第3ステップに位置づけられる「3つの知」を「価値創造の全体の流れ」中で関連付けてお伝えします。

「3つの知」は、第364夜に詳述していますので、時代を、日本を、地域を、自分を、切り拓きたいと考えている「大学生・ビジネスパーソン」の皆さんは、下記、本コラムより先に、「第364夜」と「SDGs経営塾 第7回 世界観を持つ」をご覧いただくことをお薦めします。

■ 価値創造の4段階プロセス
新価値創造研究所が提唱する「独自のプロセス」は、以下の4つのステップで構成されます。

問い創造工学: 「何を解くべきか」という起点(ベクトル)を決める。
シナリオプランニング: 不確実な未来を可視化し、可能性(地図)を広げる。
3つの知: 広げた未来を「自らの知」で濾過し、戦略の精度(逸脱)を磨く。
価値創造工学: 磨き上げた戦略を、社会実装可能な形へと構造化(バトンタッチ)する。

■「3つの知」:戦略に魂を吹き込み、精度を磨くフィルター
 第373~375夜でお伝えした「問い創造」→「シナリオプランニング&セレンディピティ」で未来の選択肢を広げただけでは、まだ「輪郭がぼやけている未来」に過ぎません。

シナリオプランニングの「未来の可能性の地図」を広げた後に、
 下図「3つの知」(第364夜)を活用して、他でもない、自らの
・深い知:「意志(Why?→気立て・ミッション)」
・高い知:「理想(What?→見立て・ビジョン)」
・広い知:「新結合(How?→仕立て・イノベーション)」
 というフィルターで濾過(ろか)することで、戦略としての精度(逸脱・別流の精度)を高める。
このプロセスこそが、価値創造を「自分(たち)ゴト(智慧×意志)」として着地させる羅針盤になります。
 ここで、成長戦略は「心と智慧」が統合した「唯一無二の価値」へと進化します。

 この流れを網羅して、本夜の「3つの知(深い知・高い知・広い知)」を綴ります。

橋本元司の「価値創造の知」第375夜:「問い創造工学」と「セレンディピティ」2026年4月4日: 「やってくる偶然」と「迎えにいく偶然」■ 要約:「問い創造とセレンディピティ」・ 「問い」の創造が、セレンディピティ(偶然の幸運)を呼び込み、...
04/05/2026

橋本元司の「価値創造の知」第375夜:「問い創造工学」と「セレンディピティ」
2026年4月4日: 「やってくる偶然」と「迎えにいく偶然」

■ 要約:「問い創造とセレンディピティ」

・ 「問い」の創造が、セレンディピティ(偶然の幸運)を呼び込み、それが新たな価値を生み出す源泉になるコト
・ 「問い」の創造は、既存の前提を疑うことから始まり、それが偶発的な発見と結びつくことで、より本質的な価値創造につながるコト

 本夜の核心は、セレンディピティとは偶然ではなく、「二つの偶然の出会い」であるという点にあります。
そして、「偶有性:偶然の幸福に出逢う能力・場」について図解と共に、解き明かしていきます。
下図は、参考に図解したものです。

1.セレンディピティ(偶然の幸福に出逢う能力)の正体
セレンディピティは次の2つの結合で生まれる:

やってくる偶然(外からの変化・情報)
迎えにいく偶然(自らの意図・問い・問題意識)
この2つが出会ったときに、はじめて価値ある発見が生じる。

2.「問い創造」の役割(核心)
「迎えにいく偶然」を成立させる「鍵」が、問い創造である。

常に対象に対して
疑問
問題意識
意図・意思
を持ち続けること
これにより、
→ 偶然を“受け取れる状態”を準備する

つまり、
良質な問い=セレンディピティを引き寄せる「鍵」

3.シナリオプランニングとの関係
「問い(鍵)」と「対象・情報(鍵穴)」を結びつける方法が
シナリオプランニング
不確実な未来に対して
自分の問いを当てはめ
意味を編集・再構成する
→ これが「価値創造のプロセス」

4.前提条件:「欠けたモデル」と「余白」
重要な認識:

現実は常に 「欠けたモデル」
自分の思考には 「余白」 が必要
これにより:

新しい視点が入る余地が生まれる
「やってくる偶然」を受け入れられる
5.「間(ま)」の創造=価値創造の場
セレンディピティは、

「やってくる偶然」と「迎えにいく偶然」
2つの“片”
が出会う 「間(ま)」 に発生する

→ この「間」が

思索の場
実践の場
イノベーションの場
となる

6.価値創造=新結合(イノベーション)
異なる要素(片と片)を
組み合わせることで
→ 新結合(New Combination)=価値創造

ただし重要なのは:

何でも組み合わせればよいのではない
「問いの質」と「意図・意思の強さ」が結果を左右する
■ 結論
 セレンディピティとは、
「問いによって準備された自己(Inner)」と「外から来る偶然(Outer)」が、
「格別な間(ま)」で
結びつくことで生まれる『価値創造』の醍醐味である。

橋本元司の「価値創造の知」第374夜:「問い創造工学」と「シナリオプランニング」後編2026年4月1日: 『緑茶の本来と将来』を「問い」でシナリオプランニングする本夜は、「問い創造工学」(第372夜)の第3部(3部作)です。先日、妻が購入し...
04/05/2026

橋本元司の「価値創造の知」第374夜:「問い創造工学」と「シナリオプランニング」後編
2026年4月1日: 『緑茶の本来と将来』を「問い」でシナリオプランニングする

本夜は、「問い創造工学」(第372夜)の第3部(3部作)です。

先日、妻が購入してきた「透明醤油」が食卓に並びました。
私には、「醤油とは黒いモノ」という先入観がしっかりとあることに気づき、目の前の「透明醬油」の発現によって、「既知」という自分の中に覆っているフィルターの向こう側にある、「未知」の広がりに「驚き」がありました。
「価値創造」の始まりは、このような「心の揺れ(驚き・切実・数寄)」から始まります。

・“当たり前(既知)を疑えるかどうか”

 私たちは、「驚き・切実・数寄」を契機として、様々な「問い」を浮かび上げることが重要です。その中に「価値創造」の種が潜んで待ってくれているからです。
 それを「価値創造工学/問い創造工学」(第370~373夜)で図解とともにお伝えしてきました。

・「問い創造」「価値創造」は、目前の“あたり前”に驚ける人から始まりコト
・未来は「待つ人(受動)」ではなく、価値創造者(能動)によって『創り変えられる』コト

 重要な認識は、
「新しい価値や問いは、特別な出来事から生まれるとは限らないコトです。
 むしろ、普段見慣れている“あたり前の世界”の中にこそ、
たくさんのヒントがあることです。

 大切な心構えは、
・『なぜこれが当たり前なのか?』
・『本当は違う形もあり得たのではないか?』

と疑い、目の前の現実を“当たり前でないもの”として見ることです。
そのとき初めて、
驚きや違和感、好奇心が生まれ、
そこから『問い』が生まれ、
新しい『価値創造』につながってくることです」

 上記に関連して、九鬼周造「驚きの情と偶然性」より参考引用します。 
---------
 ・・・「驚き」という「情」は、偶然的なものに対して起こる「情」である。
偶然的なものとは「同一性」から離れているものである。同一性の圏内に在るものに対しては、当たり前のものとして、驚きを感じない。
 同一性から離れているものに対して、それはあたり前でないから驚くのである。・・・
--------- 

上図の左側が「同一性圏内のあたり前」で、右側が「同一性から離れているもの」です。
「価値創造」「問い創造」が扱うのは、この右側の「人々の驚き」の領域です。
それを実現するのが、「イノベーション」(第364夜)です。
*イノベーションとは、『内側に異質なものを導入して新しくする(新結合:Innovare)こと』を実行(:-tion)して、経済や企業が発展すること。

 私の前職パイオニア社の連続ヒット商品プロデュースや、企業・教育機関・自治体の支援伴走のこれまでは、この『驚き創造』のイノベーション領域を相手にしてきました。

■ 「問い」によるシナリオプランニングの出力の違い

  それでは、この領域をターゲットにして、「緑茶の本来と将来」について、
・入門編(-X)
・基礎編(-Y)
・応用編(-Z)
 を用意しましたので、三つの「問い」・「問いの質」の違いによって「方向性、アウトプット」が大きく変わる「シナリオ(-X.-Y.-Z)」をご覧ください。
 
 さて身の回りのテーマとして、「緑茶」が“ 伝統 × 健康 × 技術 × グローバル化”が刺激的に交差するように見えるので、これまでの“あたり前(既知)”を書き換えてくれるシナリオプランニングに最適なテーマではないかと洞察しました。

 それでは、緑茶シナリオプランニングの「入門編」「基礎編」「応用編」の順番で提示しますので、複数の「問い」がどのような役割・活躍をするのかを意識しながらご覧ください。

■ 入門編シナリオプランニング-X: 緑茶の本来と将来

1.問い創造(Why)
 まずは「本質に迫る問い」を設定します。

*ベースの問いから(学生への提示)
→問い:「緑茶とは何か?」

*深めたい問い
→問い:緑茶は「飲み物」なのか「文化」なのか?

なぜ現代人は緑茶を飲まなくなっているのか?
緑茶の価値はこれからも続くのか?
緑茶は未来にどんな意味を持つのか?
2.ForcalQustion = “焦点をあてる問い”
(→ある問題や意思決定において、「何が最も重要な課題か」「何を解決すべきか」を明確にするための核心的な問いのコト)
→ForcalQustionの問い:「緑茶はこれからの社会でどのような価値を持ち続けるのか?」

3. シナリオプランニング(What)

・STEP1:変化要因
例(学生がポストイットを使って描き出す+補助)

健康志向の高まり
カフェ文化の拡大
ペットボトル飲料の普及
海外市場の拡大
若者の嗜好変化
茶農家の減少
AI・スマート農業
サステナビリティ
・・・
STEP2:2軸の選択(重要)

横軸:健康・機能価値

低 ←→ 高

縦軸:文化・体験価値

低 ←→ 高

STEP3:4つの未来(世界)

橋本元司の「価値創造の知」第373夜:「問い創造工学」と「シナリオプランニング」前編2026年3月26日:→新価値創造研究所HP・コラムからの引用です。(HPコラムには、全図解をアップしています)本夜は、「問い創造工学」(第372夜)の続編...
26/03/2026

橋本元司の「価値創造の知」第373夜:「問い創造工学」と「シナリオプランニング」前編
2026年3月26日:
→新価値創造研究所HP・コラムからの引用です。
(HPコラムには、全図解をアップしています)

本夜は、「問い創造工学」(第372夜)の続編(3部作)です。
本夜(第373夜)を要約します。
---------
テーマ:「問い創造 × シナリオプランニング」
 1. 問い創造は「羅針盤」、シナリオは「地図」
 2. 未来は「予測」ではなく「構想」するもの
 3. 「未常識の地図」を描く
 4. 「2つの軸」で未来を展開する
 5. 「問い」がシナリオの質を決める
 6. シナリオの役割は「意思決定の質を上げること」
 7. 前編のまとめ(構造)
 ・問い創造(Why)
   ↓
 ・重要な問い設定
   ↓
 ・未来を動かす2軸抽出
   ↓
 ・シナリオ展開(What)
   ↓
 ・複数の未来地図
   ↓
 ・戦略思考(How)

 →AI時代においては、正解を出すことよりも、新たな問いを再定義する『問い創造工学』です。
  そして、「問いの生成装置」として『シナリオプランニング』が重要な役割を果たします。

 一言でまとめると
・問い創造は、成し遂げたい「方向」を決め、
・その「方向」の将来価値の生成装置が「シナリオプランニング」である。
---------

  最初に、「パーソナルコンピュータの父」として知られるアラン・ケイ(Alan Kay)の言葉。
 「未来を予測する最良の方法は、それを発明することだ」
 (The best way to predict the future is to invent it)」
 つまり、私たちは「未来は待つものではなく、自らの『感性・知性・脳性』と『創造性』で創発するもの」という認識が不可欠です。

 「問い創造」は「価値創造の羅針盤」ですが、その「問い」を使って、「未来を動かすであろうエンジンとなる二つの軸」を抽出して、「ピザのパイ生地」を大きく広げるように、「将来を変える可能性のある『未常識の地図』を広げて、構想・戦略の羅針盤にする」という貴重な機能・効能を引き出してくれるのが「シナリオプランニング(後述)」です。

 現在、この手法は企業・自治体が長期的な持続可能性を確保し、「新たな成長機会(価値)を創造」するための必須のスキルとして再注目されています。特に、学生・教職員と経営者・ビジネスパーソンのニーズが高くなっているのが最近の傾向です。



 下図の様に「問い創造」が「価値創造工学の羅針盤」なら、「シナリオプランニング」は、その「問い」を基盤にして、「不確実な未来の地図を広げる力」・「問いの生成装置」という関係です。
 第370~372夜に綴ってきた「価値創造工学と問い創造工学」を橋渡しする最も刺激的で有効な手法が「シナリオプランニング」なので、是非、学生の皆さん、ビジネスパーソンの方たちは、体得・習得されることをお勧めします。

 上図の「問い創造」(第372夜)と「シナリオプランニング」はリバースなので、合わせ技で使いこなすことができるようになると、これからのAI時代に増大する「不確実性」を我がものにする可能性が飛躍的に高まります。
 ただ、そのためには、グループで「手を動かし、心を動かし、頭と脳を動かす」ことが必須になります。
そこで獲得する「知」を、「手続きの知」(第364夜、第372夜、第374夜詳細)と言います。
それが、AI時代にAIが専横する「検索の知」に対して、「人間の側が持つべき最も重要な知」になります。

 さて、初めて「シナリオプランニング」を見聞きした方がいると思いますので、その要約を図解と共にお伝えします。
 改めて、「シナリオプランニング」とは、「地球沸騰時代・AI時代を筆頭にした「不確実性が高い環境下」で、単一の未来を予測するのではなく、起こりうる複数のシナリオ(未来の姿)を描き、それに基づいて現在の戦略を導き出す手法」(下図:参考シナリオ@2005年時点)です。

 私が学校・企業・自治体の研修やワークショップで使用している演習や具体的事例は、夜後編(第374夜)にてご紹介します。

 実は、私は、20年以上前の2005年、前職パイオニア社の「総合研究所」時代に、
・「10年後のパイオニア社とそれに連動する研究テーマ創出をまとめる」
 というミッションを経営陣から受けていました。
 それで、上記シナリオプランニングの第一人者である「J・オグリビー氏」を目黒本社に招聘して、「シナリオプランニング」を直伝してもらいました。

 その直伝手法をそのまま使ってみて、2回ほど試したのですが、思ったような出力ができませんでした。
 そのため、そのプロセスに「価値創造の『3つの知』」(第364夜)を挿入して、「自分たちの価値創造」につながるように改変・編集することで、パイオニア社や異業種企業の基礎研究・新事業開発、そして、現職の「地域創生、事業創生、人財創生」の伴走支援等に活用して、効果・成果を上げることができるようになりました。

 さて、この「手法(思想)」を成果につなげるには、後述する「複数の重要な『問い』」が鍵で、それらを通して「本質的で豊かな複数のシナリオ(未来の姿、道筋)」を描き出し、会社・社会に実装展開することにつながります。

■ 「問い創造(別流)・守破離・シナリオプランニング」は相性抜群!

 第370~372夜に、「価値創造工学」とその基盤(OS)である「問い創造工学」についてまとめましたが、「卓越した価値創造(別流)」には、既存の枠組みを疑う「問いの質」が不可欠であり、 真の価値創造(イノベーション)を起こすためには、その手前にある「問い」を設計する工学的なアプローチが不可欠です。

 つまり、本コラムでは、「改善」や画一的な従来常識の延長線上ではない「別流の価値創造」が対象です。「別流(オルタナティブ)」というのは、「将来の『次の主流・本流』になる可能性がある「流儀・様相」を意味しています。

 「次の主流・本流」が狙いどころ(メインターゲット)であると言うと、みなさん「前のめり」になってくるところが興味深いです。

 上図の「価値創造プロセス体系」の「3.別流・別様」に到達するには、既存の枠組みを疑い、これまでの画一的な価値観・常識から離れる、「2.逸脱」するということが必要です。それを体現・実践している「守破離」(第5夜、第88夜、第330夜)について、このコラムでは何回も取り上げてきました。

 改めて、『守破離』(下図)とは、
守って破って離れる、のではない。

『守破離』は、下図に示すように、
・守って「型」に着き、
・破って「型」へ出て、
・離れて「型」を生む。
 この素晴らしい思想は仏道の根本にも、それをとりこんで日本的な様式行為をつくった禅にも茶にも、また武芸等々にも開花結実していきました。(第5夜、第88夜、第330夜)

 日本人は、もともと逸脱して「別流の型」を生み出す「守破離」の実践が得意な民族なので、その才能を遺憾なく発揮して欲しいです。
 その思想と手法を、その『守破離』(第5夜、第88夜、第330夜)のプロセスから体得することが「シナリオプランニング」策定にはたいへん有効です。

 改めて、私のこれまでの経験で、『次の主流・本流の可能性』を導き出す一番有効な方法が「シナリオプランニング」でした。アメリカでは「主流」であるこの思考法が日本はそれほど盛り上がりを見せていません。
・いったい、なぜでしょうか?(問い)
 その理由について、
・「現状・効率・改善」を重んじる「オペレーション型」の日本と、
・「未来・不確実・革新」を重視するシリコンバレーのような「イノベーション型」のアメリカ
 の違いである(第372夜詳細)、と洞察しています。 
(第98夜の『砂の民、泥の民』も是非参考にされてください)

  そして、それこそが「日本が低迷(失われた35年)している主因」と確信しています。

  さて、上記「守破離」と「シナリオプランニング」とは、「将来の『価値創造』をゴール」としていることが共通です。
 「シナリオプランニング」ワークショップのファシリテーション・ナビゲーションをする際は、上記の「守破離」の「型」を意識しながら、「離(別流)」のステージに到達できるように進めていきます。

 私たちが日本の長い低迷を打破するためには、「問い」を使って「破のステージ」に上り、「シナリオプランニング」を使って「離のステージ」の型を創り上げていく思考とスキル・パワーを体得することが不可欠です。

■ 「シナリオプランニング」の背景、および、扱う領域(図解)

 ますます「シナリオプランニング」が必要になっている背景は、従来日本の「鉄道の時代(レールのあるオペレーション・改善型):(第141夜、第150夜)」から、AI進展の「航海の時代(レールのないイノベーション・変革型):(第156夜、第225夜)」の大変化にあります。
 レールのない「航海に出る時代」には、「羅針盤・航海図=シナリオプランニング」」が必要ですよね。

 それでは上記を下敷きにして、「航海の時代」に「シナリオプランニング」が扱う領域を二つの図解で紹介します。

1.不確実性を扱う「シナリオ思考の領域」
 下図の、従来の画一的な未来予測が左図で、日本は「改善・効率・安く」(オペレーション型)を追求してきましたが、「未来・未常識・効能」という「不確実性」を前提に物事を考えることが必要な時代(イノベーション型)では、右図の「シナリオ的思考」が求められます。

2.価値観の「M字型領域」
 さて、ここからが重要なのですが、「生成AI」は、「過去の情報・常識」を取り出すことが超得意で、下図の左側の日本が得意としてきた画一的価値観の常識領域では、これからもう人間の出る幕はありません。「生成AI」を相棒の様に活用している人は実感しているはずです。

 前夜にも綴りましたが、下図の右側の「未来の不確実な未常識」のM字型領域が未開拓であり、その領域が「生成AI」が苦手とするところであり、人間の側が「才能を発揮する」ところです。上図(新しい視座)の右側のシナリオ的思考領域の大きい丸の領域が、M字型領域と重なります。

 このイノベーションの領域が、AI時代の「人間側の価値創造領域」であり、「問い創造」と「シナリオプランニング」の間を行き来することで、「手続きの知「(第372夜)」が駆動して、そのプロセスで、深く・高く・広く考えることが、独自のスキル、パワー、構想になっていきます。

 上手のイノベーション領域を開拓するメインプレイヤー、ツールが「問い創造」になります。
本質的な「問い」を活用して、未常識の世界を広げてくれるのが「シナリオプランニング」です。

 将来を洞察すると、シナリオプランニングの有効性が、「生成AI」により、さらに脚光を浴びることは間違いありません。
 私たちの経済環境、社会環境は大きく変わっています。「生命サステナブル」「AIデジタル」「人口減少」「戦争」等々であり、それは「すでに起こった未来」です。
その変化に適応できなければ、将来は沈んでいきます。

■ 参考:学生向けの説明版-A

  皆さん、これまでは『1つの正解』を早く見つける人が優秀とされました(上図の左側)。
でも、その役割はAIに譲らざるを得ません。
 これから皆さんに必要なのは、上図の右側にある『まだ誰も注目していない両端の可能性(未常識)』を見つける力です。
 ここで、私の専門である『問い創造工学』と『シナリオプランニング』『価値創造工学』を合わせて、順を追ってお伝えします。

1.テーマ設定の「問い」:FocalQuestion
 まず、「問い創造工学」を使って、
「いったい、『何を知る為のシナリオ』を作るのか?」
という、テーマ(FocalQuestion)を 設定します。

2.将来を左右する主因となる力(=ドライビングフォース)を導きだす「問い」
 将来を左右する重要な変化 として、
・①自社でコントロールできない外部環境 (不確実度)
・②未来を大きく左右する要因 (インパクト)
 の①②を包含するモノはどこにあるか? という「問い」を立てます。
 これが未来を探るためのOS(基盤)になります。

3.(下図の)2軸で広がる4つの象限の世界への「問い」
 上記1.2.の「問い」から導き出された要因・力(ドライビングフォース)で、浮かび上がる複数の未来(4つの象限)のそれぞれの「問い:Why?What?How?(価値創造の3つの知:第364夜」から得られる姿を検討・描写・検証する。

4.「何れにせよやるべきこと」への「問い」

 上記1.2.3.で広がる「4つの世界」をグループ対話を通じて、
・「問い」:何れにせよやるべきことは?
 を検討します。
シナリオプランニングにおいて、どのような未来が訪れるかに関わらず、「何れにせよ(どのシナリオでも)やるべきこと」は、不確実な環境下での生存と成長の基盤を固めるアクションになります。

 参考例:
① 外部環境の定点観測とシグナルの検知
② 「対話」を通じた組織的なリスク意識の共有
③ レジリエンス(適応力・回復力)の向上
④ 成長のための「後悔しない一手」
⑤ 「学習する組織」への転換

重要なことは、共に上記を検討・対話・共感するプロセスの中で、「価値創造が発芽する」コトと、参加者の「関与する自覚」がそこから生まれるコトです。

つまり、『問い』によって、成長の未来の種を見つけ、『シナリオプランニング』によってその未来の歩き方を事前にトレーニングする。
 この「問い」と「シナリオプランニング」の2つが組み合わせることを数回体験・習得・修練することで、不確実な時代でも、私たちは迷わずに『新しい価値』を創り出す側に「立つ」ことができます。

■ 整理タイム: AI時代の生存戦略「問い」と「シナリオ」

1.AIが「正解」を奪う時代(左側の山)

メッセージ: 過去のデータに基づく「平均的・論理的な正解」はAIの得意領域。

内容:

これまでの常識(正規分布の頂点)はAIが瞬時に導き出す。

ここでは「効率」や「正確さ」が価値だったが、もはや人間が競う場所ではない。

学生への問い: 「AIと同じ正解を出して、勝てるでしょうか?」

2.人間が輝く「M字型」の未常識(右側の山)

メッセージ: 私たちが磨くべきは、まだ誰も正解と言っていない「不確実な領域」。

内容:

M字の両端にある「未常識」「不条理・ワクワク」「違和感」にこそ、次のイノベーションが眠っている。

このカオスな領域を探索するための「OS」が問い創造工学である。

3.問い創造工学とシナリオプランニングの「融合」

メッセージ: 「問い」が羅針盤なら、「シナリオ」は地図を広げる力。

内容:

問い創造工学: 「そもそも、将来を左右する変化の種は何なのか?」というOS(起点)。

シナリオプランニング: その種がどう成長し、どんな未来(複数の可能性)を創るかを洞察する手法(プロセス)。

関係性: 質の高い「問い」を立てるからこそ、意味のある「シナリオ(道筋)」が描ける。

■ 「ドライビングフォース(未来を動かすエンジン)」と「問い」の交差点

 学生のみなさんにとって「シナリオプランニング」の核心であるドライビングフォース(変化の駆動力・エンジン)と、「問い創造工学」をリンクさせることは、「未来を探索し、洞察する具体的手法」を理解・実践する上で非常に効果的です。

 学生向けのワークショップでは、
・「ドライビングフォースを見つける=問いを立てることだ」
 と直感的に理解できるように、下記のステップ形式でお伝えしていきます。

1. ドライビングフォースとは「未来を動かすエンジン」

説明: 社会を大きく変える力(環境、技術、人口、価値観、規制など)の中で、特に、
「①将来どうなるか予測がつかない(不確実)」かつ「②影響力が大きい」
ものを指します。

学生への例え: 「10年後のスマホ」を考えるとき、「通信速度が上がる」は予測可能な事実ですが、「人々が画面を見ることをやめるか?」は予測不能なドライビングフォースです。

2. 「問い」がドライビングフォースを発掘する

メッセージ: ドライビングフォースは、データ(過去の延長線上)の中にはありません。
「未来の予兆」と「問い」という光を当てることで、初めて見えてきます。

プロセス問い創造工学の役割(OS)シナリオプランニングの動き発見「当たり前と思っていることの裏にある不条理・ワクワクは何か?」社会を揺さぶる「変化の種(ドライビングフォース)」を特定する。選定「その変化は、私たちの根幹を揺るがす本質的な問いか?」数ある要因から、未来を左右する「最重要の不確実性エンジン」を絞り込む。展開「もしその問いの答えが『A』なら?『B』なら?」絞り込んだ軸を掛け合わせ、複数の未来(シナリオ)を描写する。

■ 参考:学生向けの説明版-B

 「皆さん、シナリオプランニングで最も重要なのは、未来を激変させる力である『ドライビングフォース』を見つけ出すことです。
 しかし、これは単なる『流行チェック』ではありません。ここで「問い創造工学」が必要になります。

 図のM字型の領域(未常識)を見てください。
左側の『常識』の山にいる限り、見えるのは『予測可能な未来』だけです。しかし、『なぜ、今これが当たり前だと思われているのか?』という鋭い問いを立てることで、M字の右側の山にある、まだ誰も気づいていない『変化の予兆(不条理&ワクワク)』がの片りんや輪郭が見えてきます。

・『この「不条理&ワクワク」が解消・創造される方向に社会が動くとしたら、それはどんな力(ドライビングフォース)によるものだろうか?』

こう問い直すことで、単なるデータ分析では辿り着けない、未来を左右する本当の変数が抽出できます。
『問い』は、霧深い未来の中から、真に注目すべき『変化のエンジン』を照らし出すサーチライトです。

・『不条理&ワクワク』がドライビングフォースの源泉!
 学生には、 『今の社会のヘンなところや自分の中のワクワク・数寄』が、未来を変える大きな力になります よー」とお伝えすると、彼らの内面や外部アンテナが敏感になってきます。

・図との連動: M字型の「谷」の部分(常識が崩れる場所)にドライビングフォースが潜んでいると説明すると、視覚的にも納得感が高まります。

■ 前編のまとめ

 上記でご覧いただいたように、「卓越した価値創造」と「問い創造」を橋渡しするのが「シナリオプランニング」です。習得すると「アナタの卓越したスキル」になります。
 ただ私もそうでしたが、言葉や図で説明してもらっても実感がわかず、自分ゴトになれませんでした。
・何せ、未常識ゴト
 なのですから。

 ここに、「切実」「不条理・ワクワク」「本気(自分ゴト)」(第370夜)が必要になります。

上図プロセスを基盤にして「シナリオプランニング」は立ち上がっていきます。

 それは、仲間たちと共に、
・現在の中に点滅している『未来の兆し』」を収集し、
・ホワイトボードの前で、ポストイットを動かし、
・「問い」と「試行錯誤」を繰り返し、
・未来を変えうる二つの軸を選択し、
・そこに現れる4つの象限(世界)を描写する
・そして、「いずれにせよやるべきこと」を検討する。

 上記の「手続きの知」(第364夜、第372夜詳細)が未来の不確実性を「ワガモノ」に引き寄せてくれます。
そんな経験を数多く積み重ねてきました。

 さて、次夜(第374夜)は、本夜の後編を綴ります。
そこでは、「『緑茶』の本来と未来」をテーマにしてシナリオプランニングで描写します。

 是非、下図の「問い」→「シナリオプランニング」→「3つの知」→「価値創造」の流れを実感して頂ければ幸いです。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

橋本元司の「価値創造の知」第372夜:実践『問い創造工学』宣言→新価値創造研究所HP・コラムからの引用です。(HPコラムには、全図解をアップしています)2026年3月10日 実践「問い創造工学」とは?---------- 「問い創造工学」の...
11/03/2026

橋本元司の「価値創造の知」第372夜:実践『問い創造工学』宣言
→新価値創造研究所HP・コラムからの引用です。
(HPコラムには、全図解をアップしています)

2026年3月10日 実践「問い創造工学」とは?

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 「問い創造工学」の二つの要諦は、
1.「問い創造工学」とは、「まだ出現していない価値を創出する可能性へのアクセス」であり、
2.「問い創造工学」とは、「価値創造工学」(第370夜詳細)を成立させるための最重要かつ最上流の基盤(OS)である。
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 後述する、本格化してきたAX(AIトランスフォーメーション)時代を背景にして、人間に求められる能力・才能は、「価値創造力(目的)=イノベーション力(手段)」とその基盤(OS)となる「問い創造力」習得・獲得にシフトすることは間違いありません。
(* 「X」で表わす「トランスフォーメーション」とは、「後戻りしない変化」のコト)

 ここ三か月ほど、「価値創造工学」のセミナー・研修・ワークショップを、「大学(学生・教職員)、企業、自治体」で説明と対話をしてきましたが、想像以上の高い共感と反応・評価をいただきました。
 そうした中、自分の中で「価値創造」の基盤(OS)として、価値の方向性を決める「問い創造」領域のプロセス、メソッドの体系化の必要性を感じてきました。
 そこで、「問い創造工学」の構造と体系を「工学の手法」で「設計・プロセス化・図解化」して、いち早く日本の皆様にお届けすることを思い立ちました。

 今、日本人にとって重要なことは、このAX時代の変わり目のピンチを大チャンスにするために、変化の本質を把えて、「価値創造」と「問い創造」双方の構造と思考を結合・統合して、先取り・先行・展開することにあります。

 それでは、「価値創造工学」の最重要かつ最上流の基盤(OS)である「問い創造工学」を世界で初めて明らかにしていきます。

 ■ 「価値創造工学」と「問い創造工学」の関係は?
   ⇒ 「手段」としての価値創造と、「目的」を定める問い創造

 上記二つの「新しい工学」の関係は、情報の「図(分子)」と「地(分母)」にあたります。
 最も重要なことは、下図の本質的でインパクトのある「価値創造」(図・分子)の出力には、本質的・構造的な「問い創造」(地・分母・最上流の基盤)が欠かせないことです。
⇒ 理解を深めていただくために、後方に「三つの事例」を用意しています。

師匠の松岡正剛は、情報や知識の編集を考えるときに、しばしば「地(ground)」と「図(figure)」の指南がありました。
 この「地と図」の関係が見えて自在に動かすことができると、「問い」の深み、高み、広みが拡張します。

A. 「図」とは、=目に見える情報・主題
 ・今まさに注目されている内容
 ・テーマ、主張、ストーリー
 ・表に現れている情報
 つまり、人が意識的に見ている情報です。

B.「地」とは=背景・文脈・知識のネットワーク
 一方の地は、図を成立させている背景全体です。
 ・文脈
 ・前提
 ・歴史、関連知識
 つまり、表に出ていないが、意味を支えている情報の場です。

本夜のテーマにおいては、「価値創造」が「図(手段・別流・出力)」で、「問い創造」が「地(目的・源流・入力)」にあたります。

 「問い」がなければ「価値」は迷走し、単なる既存の改善(カイゼン)に留まってしまいます。優れた価値創造には、既存の枠組みを疑う「問いの質」が不可欠であり、 真のイノベーション(価値創造)を起こすためには、その手前にある「問い」を設計する工学的なアプローチが不可欠です。

概念 役割 基本的視点
問い創造工学 基盤・エンジン・源流 「何を成すべきか」を定義する。これがないと、どれだけ技術があっても無価値なものが生まれる。
価値創造工学 実装・アウトプット・別流 「どう実現するか」を形にする。問いによって定義された価値を、実際に社会へ届ける。
■ 「問い創造工学」が必要とされる3つの背景(要約)

 それでは、「問い創造工学」が求められる3つの背景をお伝えします。
 俯瞰すれば、 2024年末に生成AIが自己学習能力(推論)を獲得したことによる大変容(X:トランスフォーメーション)の時代が到来したことが起因です。 

1.「正解」のコモディティ化(正規分布の終焉)
 AIは、既存事業や既存人財を「根こそぎ自動化代替する組織変容力」と、AI自身が「自動的・自律的に進歩させる自己変容力」を持つ大きな自動変容ツールです。
 これまでの論理的に導き出される「正解」はAIやITですぐに共有され、もはや差別化要因になりません。
①AIエージェント(ポスト・ホワイトカラー)
②AIロボティクス(ポスト・ブルーカラー)
 への代替がそれを現実化して、加速していきます。

2.本質的な「問い」が、これからの「競争力の源泉」
 ⇒ 問う力、対話力(=プロンプト力)が武器になる時代
 「正解」のコモディティ化の中、今後求められるのは、AIに何をやらせるかを定義できる人間です。
 「プロンプト」とは、AIに与える「指令文」ですが、これは単なる命令ではなく、
「問い」の構造設計そのものです。
 ・どんな切り口で情報を整理させるか?
 ・何を前提に答えさせるか?
 ・どの抽象度で出力させるか?
 これは単なるスキルではなく、「思考能力」と「構造化力」の複合体です。
 (「日本経済AI成長戦略」加筆引用)

 これからは、「どう創るか(How)」ではなく「何を問うべきか(Why、What)」という本質的な「問い」が、人間としての『競争力の源泉』となります。

3.「問い」による価値の再定義:M字型(未常識)への移行(シフト)
 ⇒人財教育は、「オペレーション型」から「イノベーション型」へ
 従来の「工学」は「いかに作るか(How)」に特化しすぎ、結果としてコモディティ化と失われた35年を招きました。(オペレーションの時代)
 令和の時代は、「何のために創るか(①Why)」、「何を創るか(②What)」を前提にして「具体化する(③How)」という「ひとつなぎ」を科学し、工学の手法で価値を設計する必要に迫られています。(イノベーションの時代)

 下図の様に、これまで日本が得意だった、正確で速く効率的に解決する「オペレーション型」(左図)の正規分布曲線の価値観が「常識」でしたが、それらの領域は、上記「AIエージェント」や「AIロボティクス」で代替できるという新常識がはっきりしてきました。

 これからは、独自の視点で「本質的な問い」を立て、価値観の両極(M字型:未常識のユニークな本質)を掘り起こすことが、新しい価値(イノベーション)の創造につながります。その掘り起こすメソッドがこのコラムでお伝えしてきた「3つの知」(第364夜詳細)です。
 いま、「イノベーション型人財教育」シフトに日本人は迅速に気づき、次の一手に進むことが肝要です。
(本夜のコラムは、そのことを速く、強く、広く伝えることも目的にしています)

 昨今のニュースでも
・アマゾンはAI導入を背景に全従業員の約2%に当たる3万人の人員削減を発表
・大手コンサルティングファームでは、AIの台頭による業務代替やクライアントのコンサル離れにより、数千人規模の減員や再編が進んでいる
・みずほFGが事務職5000人削減へ。事務センターにAI本格導入、配置転換進め集客力強化
・・・
 が伝えられました。

 このニュースに「心の揺れ(自分と世界のズレ)」が発生しないで、「他人事」と思う人はアブナイです。
学生、企業人、行政人等、上記「価値創造/問い創造」に向かう人は、迅速に「自分ゴト」になる知性・感性・脳性が必要です。
 「AX時代」にこれからの人間に求められる能力は、右図の「価値創造(=イノベーション)」領域にシフトすることが納得いただけたら幸いです。

■ 小まとめ
 「問い創造工学」の二つの要諦である
A.「まだ出現していない価値」の可能性へのアクセス」
B.これまでの延長線上ではない「別流の価値創造」
 は、正規分布曲線のセンター(=常識)から離れたM字領域(未常識)にあります。
その領域の本質的な「価値を生み出す」基盤が「問い創造能力」になります。

■ 「問い創造工学」の「問い」の領域とは?
  ⇒ 「検索の知」から「手続きの知」へ

 本コラムで扱う「問い創造」の「問い」とは、
・明日の天気は?
・お元気ですか?
・ここから「鎌倉駅」までの電車のルートは?
・「鎌倉駅周辺の」観光名所は?
・paypayの残高は?
 等々での会話やスマホ(グーグル検索やAI)への「検索の問い(知)」ではありません。

 いま、「検索の知」の領域は、AIの独壇場になることがはっきり実感できるようになりました。
これから、人間の側に重要な「知」は、情報をただの知識として蓄えるのではなく、それらを「編集(つなぐ・変える・再構成する)」して「新しい知や未常識」を創り出す「手続きの知」になります。

■ 「問い創造工学体系」図解

 それでは、上記を踏まえて「価値創造工学」の基盤(OS)となる「問い創造工学」体系を図解します。

 第370夜に提唱した「価値創造工学」は、文系・理系を問わず、「人の役に立つ仕組みを考え、試し、社会に届けるための[心得・思考・実践]の方法論」です。
 同様に、「価値創造工学」の基盤となる「問い創造工学」も同様に、文系・理系を問わず、「人の役に立つ仕組みを考え、試し、社会に届けるための[心得・思考・実践]の方法論」です。
 そのプロセス・構造・体系を展開・図解したのが下記になります。

 別様の価値を「生み出す(Output:別流)」ためには、
---------
A.心の揺れ(驚き・違和感)
 ⇒「内面の常識」と「外側の世界」とのズレの発生
  ・常識や既知の枠組み(既存のアルゴリズム)の外側にある「驚き・違和感」をキャッチする段階。
   これがAIにはできない「切実心(なんとかしたい)」の起点となります。

B.疑問(Why・疑念)
 ⇒内面に向かう「好奇心」と外側に向かう「切実心」
  ①「負」「不思議」の感情を観察する: 怒り、切実、はてな?といった感情が動く瞬間を捉えます。
  ②「当たり前」を疑う: 「業界の常識だから」「昔からこうだから」と見過ごされている
    不合理を、あえて「なぜ?」と見つめ直します。
  
C.探求(未知・探求)
 ⇒「外側の世界(過去・現在・未来)をどうどうとらえるか」という客観的な認識
 ⇒「志(自分はどんな世界を作りたいか)」という主観的な想い
  ①  事実の深掘り(Fact Finding)
  ②  背景の洞察(Context Analysis)
  ③ 本質的な問いへの変換(Reframing)
   ・「真善美(内側)」を問う研究開発的なアプローチと、
    「別流(外側)」を目指す事業開発的なアプローチが交差する段階。
    ここで「守破離」による既存知からの脱却が起こります。
   ・「どうすれば効率化できるか?」という「解くための問い」ではなく、
    「そもそも、これが必要な目的(本質)は何だったか?」という問いに変換します。
    例:「効率的なハンコのリレーはどうすればいいか?」ではなく、
      「確認と責任の所在を担保する、全く新しい方法は何か?」と問い直します。

D.問い(仮説・信念)
 ⇒ 内面に向かう「数寄(ミッション)」と外側に向かう「道標(ビジョン)」
 ⇒「数寄」と「道標(ビジョン)」がシンクロ(二つ以上の物事が同期・同調)
 ⇒「別流」に向かう「3つの知」(第364夜詳細)
  ① 道標(みちしるべ):事業開発的なアプローチ
   →一言で言うと: 「世界をどう変えるか?」という社会への実装
   → 自分の立てた問いを、社会をより良くするための「進むべき方向(道標)」として掲げることです。
   ビジネスやサービスを通じて、多くの人を巻き込み、具体的に世の中の不条理を解消していく「事業開発」の道です。
  ② 数寄(すき):研究開発的なアプローチ
   →一言で言うと: 「真理はどうなっているのか?」という本質の探究。
   →これは、「真理を探究するスペシャリスト」を目指す方向です。

  上記「D」が、「問い」を仮説と信念まで磨き上げる段階。
   これが最強の「プロンプト」となり、AIを「再設計(トランスフォーム)」するための
  強力な指令となります。

フェーズ テーマ 学習内容(ワークショップ例)
A. 心の揺れ 「感性」の解凍 常識の中に潜む「違和感」を言語化する。AIには検知できない「人間の内面」をリスト化する。
B. 疑問 「Why・疑念」の深掘り なぜその違和感があるのか?「切実心・好奇心」を起点に、課題の本質を抽出する。
C. 探求/探究 「別流」の探索 「守破離」と「真善美」を往復し、AIが提案する「最適解」ではない「別流の解決策」を練る。
D. 問い 「志・信念」の構造化 磨き上げた問いを、最強の「プロンプト(経営の設計図)」へと変換する。

---------

■ (参考) 大学生向け:実践「問い創造工学体系」の歩き方
 皆さん、新しい価値を生むための「問い」とは、常識という壁の向こう側にある「まだ見ぬ未来」へ手を伸ばすためのチケットです。この図は、そのチケットを手に入れてから、実際に未来を形にするまでの「心の動き」と「行動」を表しています。

1. 受動的な「心の揺れ」から始まる(A・B)
 価値創造のスタートは、意外にも「受動的」なものです。
日々の生活の中で感じる「えっ?(驚き)」や「なんか嫌だな(違和感)」という心の揺れを大切にしてください。それが、外側の世界への切実心や、内側への好奇心に変わったとき、あなたは「なぜ?」という疑問を抱きます。これが、自分と世界との間にある「未知の扉」の前に立った瞬間です。

学生向け解説: 「数寄」とは、「好き、漉き、透き・・・」という偏りや執着を好むこと、つまり「好きこそものの上手なれ」の究極の形です。自分の問いに対して、損得抜きで「なぜ?」「もっと知りたい!」と深掘りし続けること。それが結果として、これまでにない新技術や大発見につながる「研究開発」の道です。

2. 能動的な「探求と問い」へ(C・D)
 扉の前に立ったら、次は自ら動く「能動的」なフェーズです。
常識(既知)にとらわれず、別のやり方(別流)を探る探求を始めましょう。そこで自分なりの「仮説」や「信念」が固まったとき、ただの疑問は、強い意志を伴う「問い」へと進化します。この「問い」こそが、まだ出現していない「別様の可能性」へのアクセスパスになるのです。

3. 「3つの知」(第364夜参照)で価値を形にする(価値創造)
 磨き上げた「問い」を手にしたら、最後はそれを社会に実装(仕立てる)段階です。
「3つの知」のそれぞれの余白を埋めることで別流の世界が立ち上がってきます。

深い知 (Why?): あなたにとって最も大切なコトは?(志・ミッション)
高い知 (What?): それが実現した未来はどんな景色か?(方向・ビジョン)
広い知 (How?): 内側に異質な何を導入して新しくするか?(実装・イノベーション)

コラム第364夜の「新成長を生み出す3つの知」に旭山動物園のプロセス事例を上げていますので、それをご覧いただけると、さらに理解が進むと思います。
 他に、3つの事例を後方に用意していますのでご覧ください。

 それでは、上記を土台にして、「問い創造工学」を宣言します。

■ 『問い創造工学』宣言

---------
 問い創造工学とは、
文系・理系を問わず、
「価値創造の起点となる『問い』を設計し、構造化し、
磨き上げるための[思考・対話・設計]の基盤(OS)である」

私たちは、単なる情報の処理や正解の検索を目的としない。
私たちが向き合うのは、
日常に潜む「切実」「不条理」や「驚き」「違和感」の中に、
潜み隠れた本質的な「問い」の種であり、
それを通して、AI(AX)時代における人間の
「競争力の源泉」や「真善美」を再構築することである。

問い創造工学は、
価値創造工学を駆動させるための「地(文脈・前提)」であり、
既存の「当たり前・常識」を疑い、
「何を問うべきか」という上位の設計図を描き、
複雑な事象をどの切り口、どの抽象度で把えるかを
構造化し、言語化し続けるための
知性・感性・脳性の体系である 。

私たちは、
効率よく「解」を出すオペレーターではなく、
「問い」の構造そのものを設計し、
自らの内なる「了解(常識)」と、
激変する外側の世界との「ズレ(心の揺れ)」を見逃さず、
既知と未知が踵(きびす)を接する境界から
その人ならではの「問いのタネ」を引き出し、
価値のベクトルを定めるイノベーター(再構築者)を育てたい 。

「問う」とは、自分という「未知」を起動することであり、
それは、外から新しい知識や技術を詰め込むことではない。
ふとした瞬間に生まれる「なぜ?」や「おかしいな」という、
あなただけの切実・好奇心の現場を、逃さずにつかまえること。

「問い」を立てるプロセスは、
あなたの内側に眠ったまま、まだ一度も使われていない
「潜在的な力」を呼び覚ますプロセスです。

誰かが決めた正解をなぞるのではなく、
あなた自身の内部からしか生まれてこない
「唯一無二の視点」に自覚的になること。
それこそが「問う」ことの真意であり、
未来の価値を生み出すための、
最も新しく、最も本質的なアプローチです

問い創造工学とは、
人の「心の置き方(精神)」と「モノの見方(思考)」のフェーズを変え、
その両立を通して、
人々に役立つ価値が生まれるための「土壌(OS)」を耕す方法と営みです。
---------

■ 「問い創造」の事例集
 下記の3つの事例を用意しました。
ワークショップでは、多くの事例と演習で習得していただきますが、
下記エッセンスから、「問い創造」を自分ゴトとして把えていただければ幸いです。

◆事例紹介A.「ピュアモルトスピーカー」(第35夜、第126夜、第340夜詳細)
 ⇒前職パイオニア時代、私がプロデュースした連続ヒット商品「ピュアモルトスピーカー」等を使って説明します。

[現状]:コモディティ化と赤字という「切実」
 1990年代初頭、パイオニア社のオーディオ事業は「コモディティ化」の限界に直面してました。
A. 「心の揺れ(驚き、不安、違和感)」:1992年、国内ホームオーディオ事業が赤字転落。
  「良いものを作れば大丈夫」という技術中心のこれまでの常識が崩れました。
B. 「疑問(疑念): 「なぜ赤字になったのか? それは続くのか?」
   ⇒「オーディオ活性化委員」「超高密度メディア委員」に選出される
C. 「探索(別流、探求)」(1993年):
   ⇒社長直轄の「ヒット商品緊急開発プロジェクト立ち上げ」を直訴 
   C-1. 別流:機能的な製品を売る時代から、下図の個人の生活様式(ライフスタイル)に
     寄り添い、新たな価値体験(Smile, Style, Story)を提供する時代

 
   ⇒ 探求:時代背景(1993年作成)と「楽音心理」の進化形(ハッピープログラム)

D-1.「問い」①: 
  ・「次のパイオニア」の流儀(別流)を創るには?
    →「エレクトロニクス業」から「エンタテインメント業」へ
    →「ハードウェア×ハートウェア」
  ・個人の生活様式(ライフスタイル)に寄り添うオーディオは?
    →「テクニカルポイント×アーティスティックポイント」の新結合
  ・それを実現する「異業種コラボレーション」の可能性は?
    →「ウィスキー」「ファッション」「インテリア」「家具」等々

D-2. 「問い」②:オーディオ事業の未来の洞察
 
⇒ 1993年、超高密度メディア(SDカード、メモリスティック等)と放送系、通信系の進化を洞察した結果、12年後の2005年に大きな変化がくることが洞察できました。
 そう、2005年以降、アップル社スティーブジョブズの「iPad」「iPhone」が、携帯事業、オーディオ事業、カメラ事業等を直撃して、国内産業の数兆円が蒸発しました。

追記: 前職では、未だ現れていない「未常識世界」を数回提案してきましたが、これまでの経験・常識に照らし合わせて、「理解できない」、「それが自分(たち)の既得権を犯してくる」と判断すると、「拒否」や「受け入れがたい」という反応が返ってきます。
 → 「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ」
 そこを何回か、潜り抜け、乗り越えてきましたが、その壁が「企画」と「自分」を磨きあげてくれます。

 ただ、時代を切り拓く「価値創造者(イノベーター、アントレプレナー、研究者)」の悩みは、そこの「拒否」や「無理解」にあります。
 しかし、上述したように、イマを生きる私たちは、時代を切り開いていく精神、時代を動かす精神をもって挑戦することがこれから更に求められてきます。
 この「価値創造工学」、「問い創造工学」の心得とメソッドが、それらを打ち破る強い「ツールとロール」になることを願っています。

 次に、時代を大きく切り拓いた、自分と同年生まれの「スティーブジョブズ」の事例を取り上げます。

◆事例紹介B.「iPhone」(第・・夜詳細)
 ⇒「問い創造工学」から「価値創造工学」へのプロセス

〜iPhoneの事例に見る「あり方の問い」への転換〜
 従来の多くの企業が陥っていたのは、下図右側にある「よくある思考プロセス」です。これは「売上・利益」を目的とし、そのための「解決策(やり方)」を模索するもの(=改善)でしたが、結果として機能の同質化(コモディティ化)を招き、行き詰まりを見せていました。(山口周「ニュータイプの時代」加筆引用)

 対して、ジョブズのiPhoneは、「気立て・見立て・仕立て」(第367~368夜詳細)のプロセスそのものであり、思考の起点を「あり方の問い」へとシフトさせたものでした。

1. 気立て:現状の不条理と「ありたい姿」のギャップ

 思考の起点は「どう売るか」ではなく、現状に対する「切実な不条理」と、真善美に基づく「ありたい姿」の間に生じるギャップです。

現状の不条理:
①当時は、携帯電話、カメラ、iPod、ボイスレコーダー等の情報機器を別々に持ち歩いていました。
②当時の携帯電話は、物理ボタンが画面を占領し、アプリごとに最適化できない「不自由さ」に満ちていました。
ありたい姿(志): ジョブズが掲げたのは「売れる製品」ではなく、
「創造的な人々の知性を増進する道具を届けたい」
という強烈な「あり方(Being)」の確信でした。
2. 見立て:本質的な「問い」への変換(問い創造工学)

ここで、図にある「Why(深い知)」と「What(高い知)」による問いの再定義が行われます。

従来の問い(やり方):
・「携帯電話、カメラ、iPod、ボイスレコーダーの機器を別々に持ち歩くことは常識?」
・「どうすればキーボードを使いやすくして、他社より売れるか?」(コモディティ化への道)
本質的な問い(あり方):
・「電話・カメラ・音楽等の機器とコンテンツをシームレスにできないか?」
・「なぜ、知性を拡張する道具が、固定されたハードウェアに縛られているのか?」
問いの再定義: この「あり方の問い」が、既存の「電話」という概念を破壊し、
「別流の可能性(シームレスな体験、全面液晶による無限のインターフェース)」
 という北極星を導き出しました。

3. 仕立て:価値の具現化(価値創造工学)

「問い」によって導かれた「ありたい姿」を、具体的な技術で「仕立て(How:広い知)」ます。

実装:「iOS」、「 マルチタッチ」、「エコシステム」を統合し、解決策を具現化。
価値創造: その結果として生み出された「別様の価値」が、「スマホ文化」を創り、後追い的に「売上・利益」という結果をもたらしました。

◆「3つの知」による統合整理

「問い創造工学」体系図にある「問い」の構造を、「3つの知」(第364夜)で整理すると以下のようになります。

深い知(Why): 「あり方の問い」。個人の内面にある「真善美」や「志」から、不条理を打破する動機を汲み取る。(第85夜、第364夜詳細)
高い知(What): 「ありたい姿」。既存の枠組みを外れ(逸脱)、未来における「別流の可能性」を構想するビジョン。(第87~88夜、第364夜詳細)
広い知(How): 「解決策の構築」。問いを解決するために、多様な技術や手法を新結合させる知性。(第83~84夜、第364夜詳細)

結論:思考プロセスの転換

iPhoneの成功は、
① 単なる「やり方」の改善ではなく、思考プロセスそのものを「売上(出口)」から「問い(入口)」へと逆転させたこと
②「現状(不条理)」と「ありたい姿(志)」のギャップを直視し、「なぜ、何のためにそれをするのか」という上位概念の問いを立てること。

 この「問い創造」こそが、コモディティ化の泥沼を抜け出し、真の価値を創造するための唯一のエンジンとなりました。

◆事例紹介C:覚えきれない「パスワード」

Q. 増えるカードやアプリで、溢れる「パスワード」作成・管理でぜんぜんスマートになっていない。
 この不条理を「本質的な問い」に変換してみる

「事実」の深掘り(Fact Finding)
まずは、現状の何が「不条理」なのかを分解します。
現状: 安全のために「複雑にしろ」「使い回すな」と言われる。
矛盾: 人間の記憶力には限界があるのに、システム側は「人間が記憶すること」を前提に設計されている。
結果: パスワードを忘れて再発行を繰り返したり、結局メモに書いて貼ったりという、本末転倒な(セキュリティを下げて利便性を損なう)行動が起きている。
「背景」の洞察(Context Analysis)
なぜこの不条理が放置されているのでしょうか?
システムの都合: 「本人であることの証明」を、システム側が最も安価で管理しやすい「秘密の文字列の照合」に依存し続けているからです。
責任の転嫁: 「忘れるほうが悪い」「管理できないほうが悪い」という、ユーザーへの責任転嫁が設計の根底にあります。
本質的な「問い」への変換(Reframing)
ここからが「問い創造」の本番です。問いの抽象度を上げ、枠組みを変えます。

①改善の問い(従来): 「どうすればパスワードを忘れずに管理できるか?」
これでは「パスワード管理アプリ」などの既存の解決策しか出てきません。
②本質的な問い:
「そもそも、なぜ『記憶』という不確かなものを、個人の証明(アイデンティティ)の鍵に使わなければならないのか?」
さらに視点を変えると、以下のような問いも生まれます。
・関係性の問い: 「『私は私である』ということを、証明(Proof)するのではなく、環境が自然に認知(Recognition)する状態を作るにはどうすればいいか?」
・存在の問い: 「デジタル社会において、鍵(パスワード)を持たずに、信頼という扉を開け続ける仕組みとは何か?」
価値創造へのヒント(仕立て)
「記憶に頼らないアイデンティティの認知」という問いを立てると、解決策はパスワード管理の枠を超え始めます。
・生体認証の先: 指紋や顔だけでなく、歩き方、タイピングのリズム、生活圏のログなど、その人特有の「振る舞い」で常時認証される世界。
・分散型ID: 企業ごとに鍵を作るのではなく、自分が自分の鍵そのものになる仕組み。

[ワークアウトのまとめ(案)]
この不条理から導き出された「本質的な問い」は?

⇒「『覚えること』から人間を解放しつつ、どうすれば『自分であること』を社会に証明し続けられるか?」

* この「問い」を立てることで、単なる「便利な管理ツール」ではなく、「認証という概念そのものを消し去るサービス」という新しい価値創造の地平が見えてこないか?

* 「覚える必要がない世界」という問いの先に、どんな未来のサービスがあったら、あなたは「これこそスマートだ!」と感じるのか?
-------------------
■ 追記

・「変化」は今までと違う思考で始まり、今までとは違う行動から生まれる。
・「成長」のために、心の置き方(場所)とモノゴトの見方のステージを上げる。
・「挑戦」しないことこそが、1番の失敗である。

 上記を、起業志向に留まらずに、就職・研究・SDGs・事業開発・地域幸福・社会実装まで、
学部横断、社内横断、部局横断、産学官連携で活用できる「基盤教育」として活用していただければと思います。

価値創造から、「事業創生・地域創生・人財創生」へ

2026年2月1日:「アントレプレナーシップセミナーin 香川大学 2026」→新価値創造研究所HP・コラムからの引用です。(HPコラムには、全図解をアップしています) 前夜に綴った「価値創造工学」の全体像(通常24時間ワークショップの内容...
01/02/2026

2026年2月1日:「アントレプレナーシップセミナーin 香川大学 2026」
→新価値創造研究所HP・コラムからの引用です。
(HPコラムには、全図解をアップしています)

 前夜に綴った「価値創造工学」の全体像(通常24時間ワークショップの内容)を、4時間半のダイジェスト版(講義、動画、実践事例、演習など)に編集したものを香川大学の学生にお届けしてきました。

先生方の強制ではなく、自発的に参加された学生の皆さんからの真剣な眼差しと溢れる熱意が伝わってきました。 この様な、受講者の眼差しと熱意の光景が大数寄です。 

 さて、セミナー前日は「こんぴらさん」(御本宮785段踏破)と弘法大師空海の誕生の地「善通寺」に参拝して、「身体と精神と智慧」の入り混じった時空間を深く感じてきました。

 そう、「弘法大師空海(第369~370夜詳細)」と「価値創造工学(第370夜)」は、深い関係、ご縁で結ばれていることを感じてきました。
空海は日本が誇る「イノベーター(=価値創造者)」であり、「目に見えない意味を、構造として可視化し、現実世界で機能させる知のあり方」をビジュアル化し、展開し、実践して広められたことです。
 少しでも「価値創造工学」との絆・中身が、世の中のお役に立てれば幸いです。

「空海の両界曼荼羅」と「新価値創造研究所の価値創造工学」のつながり(第369夜)を記します。
・胎蔵界曼荼羅:「気立て→見立て→仕立て」(=人間の内側から駆動する内的な力)
・金剛界曼荼羅:「切実→逸脱→別様」(=価値が生まれる外的プロセス)
 その上で、その誕生の地である「香川」で、「価値創造工学」をコアとするセミナーを開催していただけたことに深い意味と感動と感謝がありました。

■ メインテーマ: 価値はどこから生まれるのか?

 「価値」は、下図の1-①の「切実:なんとかしたい」から始まります。
(ここで言う「価値」は、「改善」レベルの価値ではなく、「変革・脱皮」レベルの価値です)
「本気、真剣、逆境」でなければ、その扉を開けられないことを前職や伴走支援でも痛感してきました。
「価値」は、図の「らせんプロセス」を通して磨かれていきます。
この全体像の中に、「理論と実践」の両立のエキスがいっぱい詰まっています。

 そして、「なんとかしたい(Want)」は、「なんとかする(Do)」に昇華していきます。

今回は「ダイジェストセミナー」として、このらせんプロセスを順番に、ワークショップ体験していただきました。社会人に比べて、学生は「経験と知識」が不足していますが、いま、「知識」のほうは「生成AI」が有り余るほどのものを提供してくれます。

 「経験」のほうは、社会人が「常識」の中に固まっているのに比べて、「常識を疑う」想像力を持てることが大きな強みになります。
 子供の「創造力」は「想像力」によってしかもたらせられないことがよく言われます。
そう、子供も大人も関係なく、「創造力」は「想像力」を触発しないかぎり生まれません。
制約を外した自由な「想像力(虚・Another)」こそが「創造力(別様)」を生み出します。
つまり、「想像力(心)」と「創造力(智慧)」はコインの裏表です。(第367夜詳細)

 空海の「胎蔵界曼荼羅」が「価値創造」の筋道です。
・胎蔵界曼荼羅:「気立て→見立て→仕立て」(=人間の内側から駆動する内的な力)

そして、アントレプレナーシップとは、下図の「Another(別流)」を創り出す上記「心と智慧」が土台になります。

■ 「常識の枠」を外す
  上図のこれまでの延長ではない「別流」を見つける方法を、このコラムでは何回も記してきました。
「別流」を見つけるには、これまでの「常識の枠」を外す必要があります。
 その「常識の枠」を外す幾つかの訓練(編集稽古)があり、それらを通して、編集の基礎をつくってくれるバイブルが「プランニング編集術」(松岡正剛監修)です。

 多くの企業、学校、自治体で、「価値を創造するために、常識の枠を外す」ための編集稽古を有効活用してきましたが、今回のアントレプレナーシップセミナーには、これまで以上にその必要性を感じました。
 頭の中の「注意のカーソル」を動かすためには、それなりの方法と練習が必要です。
・コップを言い換える: コップの使い道
・頭の中の「注意のカーソル」を自在に動かす
・「見立て」「らしさ」がプランニングを彩る
・二軸で新しいポジショニングに気づく:ビジネスで最も大切なコト
・・・
 そんな「編集稽古」をダイジェスト版に組み込みました。

 参考に、「まえがき」から加筆引用します。
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 日本の企業競争力の低下が進む中、日本企業の事業開発部門やマーケティング部門では、
・従来のやり方にとらわれない発想をしなさい
・他社に勝てる斬新なアイデアを出しなさい
などという言葉が投げられています。
 斬新なアイデアを出せ、というのは簡単ですが、現実的には何をどうしたらよいのかわからない、というのが本音ではないでしょうか。

 ロジカルシンキング、クリティカルシンキングがブームになりましたが、もともと論理とは自分の考えを相手にわかりやすいように整理したり、自分の考えが間違っていないか分解しながらチェックするツールにすぎず、これを教科書通りに究めてみても新しい発想は生まれません。

 むしろ分解・分類した情報に、これまでとは違う角度から光をあて再編集・再構築することからイノベーションは生み出されます。・・・

 さびついた脳とマンネリ化した思考パターンから覚醒したいと思っていらっしゃる方には最適な本になるでしょう。・・・
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 上記の「編集稽古」を基礎にして、「逸脱する智慧」の根幹になる「3つの知」(第361夜、第364夜、第368夜参照)を動画と実例と演習により、習得してもらいました。

これまでと「別の価値・様式」に到達するには、「心のあり方」と「ものの見方」のフェーズを上げる必要があります。
 是非、アントレプレナーシップ教育には「価値創造工学」と「空海の両界曼荼羅」を組み込んでいただけれるとバージョンアップした内容になると思います。

■ 「イノベーティブスキル習得」の2本柱

 上記は、「常識(枠)を外す力」を綴りましたが、その後に必要なのが、「つなげる力」(=3つの知の「広い知」)になります。それがこのコラムで何回も綴ってきた「イノベーション」(第361夜)です。
 簡単な演習や実例動画で慣れながら、回数をこなすことで、誰でも体得することができます。
是非、習得されることをおすすめします。

■ 香川大学の先生方の溢れる熱意と熱量

 セミナー後の夜は、エネルギーに満ちた4名の先生方と、気づけば3時間半の懇親会でした。
立場を超えて深く語り合える、とても豊かで楽しい時間が続きました。
 その対話の中で、香川大学には、これからますます大きく成長していく力が確かにある——そんなことを強く感じた一日でした。

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