株式会社シェルパス

株式会社シェルパス 新規開拓に必要な法人営業理論を提供

02/12/2021

市場調査マニアと技術オタク【商品理解力】

 顧客内で説明や根回しをして決裁者の承認を得る「キーパーソン」は営業の説明を理解できる「商品理解力」が必要不可欠だ。
 営業は会った人物が技術仕様について熱心に質問すると「商品理解力」があると考えることが多い。

 しかし残念ながらそのような人たちはキーパーソンではない。ただ新商品・新技術に興味はあるだけで購入する力はない「市場調査マニア」か「技術オタク」に過ぎない。

 決裁者は「投資が早く・大きく・確実に回収」できるか否かで購入の承認を判断している。購入を検討するキーパーソンであれば、決裁者から質問されそうな他社の成功事例や競合との差別化ポイントやメンテナンスを含む価格やサポート体制などを確認するはずだ。

11/11/2021

上流と下流【商談の流れ】

 企業には売上・利益獲得を目的にする部署「プロフィットセンター」と売上・利益獲得が目的ではない「コストセンター」がある。(「プロフィットセンター」は事業部、「コストセンター」は本部などと名称を分けている企業が多い。顧客に聞けば呼称のルールは分かる)

 「IT関連商品は情報システム部で検討する」と考える営業が多いが、顧客の投資プロセスを考えれば適切な部署ではない。

 設備投資は売上・利益を増やすために行うから、検討を始めるのは「プロフィットセンター」である。そして経営者が予算を承認して正式なプロジェクトになり「コストセンター」も交えて検討が行われる。
 
 さらに企業内で見れば「プロフィットセンターは発注側」、「コストセンターは受注側」だから意見が異なれば売上・利益を追求する「プロフィットセンター」が決定権を持つだろう。
 
 このような企業の背景を知れば「プロフィットセンター」や経営者をターゲットにした営業が有利とわかるだろう。

 正しい営業活動は「プロフィットセンター」に投資対効果の高いビジネスアイディアを提案することだ。顧客に採用されたら、自社でできる範囲で最大限の受注をすればよい。また顧客とはビジネス・パートナーになるので面倒な手続きを省いた「随意契約」にすれば競合が参入してくるリスクはない。

 「コストセンター」だけに営業すれば、「プロフィットセンター」を攻めた営業が見送った「低利益高リスクの案件」だけに参入できるか、あて馬候補として残されるだけだ。

 「プロフィットセンター」や経営者をターゲットにした営業に変えよう!

10/11/2021

能動型営業と受動型営業【営業のスタイル】
 
 営業には「能動型営業」と」受動型営業」の2つのスタイルがある。

 「能動型営業」はキーパーソンと思われる人物に自ら連絡して、自社商品の長所を提案し、顧客のビジネス成功のアドバイスをする。

 「受動型営業」は顧客からの依頼を待って指示されたことを忠実に実行し大幅値引きで受注をめざす。

 顧客から営業に連絡するのはどんな人か考えたことはあるだろうか?経営者もキーパーソンも検討対象になる商品をネット検索をして連絡する可能性はないだろう。キーパーソンから「調べておけ!」と命令された部下から営業に連絡してきたと考えるべきだろう。

 すると受動型営業はキーパーソンと商談を進める可能性は極めて低いことがわかる。それなら連絡してきた人にキーパーソンや経営者を紹介してもらえばよいのだが、多くの営業が「担当者の顔を潰せません」など意味不明な弁解をして活動しない。

 商談が大きくなればなるほど、企業は慎重に検討するから多くの部署や関係者がいる。そして発注先の検討は連絡してきた人物の背後にいるキーパーソンたちがするから受動型営業は受注の可能性が極めて低いのだ。

 多くの営業が勘違いしているが、顧客は業務知識はあるが商品知識はあまりない。企業は異動があるので、商品を検討するのは最初で最後になる可能性すらあるだろう。(営業より優位に商談を進めたいと思うから、知識があるような態度をとる人も多いが・・・)

 それに比べて営業は多くの企業に同じものを売り、導入事例も知っているだろうと顧客は考えている。そのため商品のプロである営業からアドバイスをもらいたいのだ。(実際は1つも売れていない営業でも自社商品に詳しいという姿勢を崩したら顧客は絶対に採用しない)

 そのためには自社商品の知識を持ち、顧客の課題を想定して有効な解決策(仮説)を準備する。優れた商品でも顧客を間違えれば売れないし、適切な顧客でも適切な説明ができなければ売れない。設計が悪ければ良い製品が作れないように、「仮説」が適切でなければ受注できない。

 営業活動は「仮説」を考える戦略立案で勝敗は50%くらい決まり、初回訪問時に「キーパーソン」に会えて「仮説」に賛同してもらえれば、受注確率は80%くらいに高まる。

 つまり営業活動の天王山は、戦略立案に始まり、初回訪問でピークを迎える。その後に起こる顧客から提案依頼書をもらって提案書を書くことはあて馬が行う敗戦処理なのだ。(受注する営業は提案依頼書を顧客と作成している。さらに上を行く営業は随意契約を勝ち取っている)
「提案書の内容で勝負!」と呑気な考えをする営業が受注する日は永遠に来ない。

08/11/2021

医者と患者【営業の役割】

 私が原因不明の発疹で「皮膚科」に駆け込んだとき医者とこんな会話をした。

 医者「ひどい発疹ですね……」
 私 「……」
 医者「原因はなんですか?」
 私 「……」
 医者「原因が分かれば治療できるのですが……」
 私 「……」

 病気・ケガは患者にとって重要な課題である。医者に期待していることはトークでもマナーでもなく健康なからだに戻してくれること、別の言い方をすれば「課題解決」である。
 この医者は短い会話で完全に信用を失った。なぜなら皮膚科医ならば見慣れている「発疹」に驚いたうえに、患者に「原因」を聞いたからだ。
 医者の仕事は問診で病気の原因を探って適切な薬(解決策)を提示することだ。ところが同じ間違いをしている営業がたくさんいる。

 「お客さまの課題はなんでしょう?」
 「どんな商品が必要ですか?」
 「私は何をすればよいでしょう?」
 
 顧客から見れば絶対に発注したくない営業である。この営業は商品知識が乏しく、実績もないと思うだろう。顧客の設備投資は企業の未来を決める。多額の資金を使うことには常に不安があるから、豊富な知識と経験を持ち顧客を指導できるプロフェッショナル営業と取引をしたいと考える。

 「私の会社が提供するYYを採用していただければ、お客様のXXな課題は解決できます。その根拠は・・・・」こんな切り出しで顧客の課題を推測して、解決策を提案すればよい。

 課題がハズレたらどうするか?何の問題もない!

 なぜなら営業がたたき台を出すから、顧客が反応して現状の問題点を「問診」できるからだ。

 営業は医者・顧客は患者という役割を崩したら受注はできない。

05/11/2021

個人と企業人【心変わりの法則】

 個人で車や家電などの高額商品を購入すときは、ネットなどで情報収集をして「購入する商品」を決めてから販売店に行くだろう。しかし店員と話をしているうちに心変わりして事前に決めていたものとは違う商品を購入した経験があるのではないだろうか?

 これは店員側から見れば、顧客(個人)を説得して競合商品の購入を阻止したり、予定より高額な商品を売ることが可能ということだ。

 この考えをそのまま企業人に持ち込もうとする営業が多い。私も過去に何度か競合商品を購入しようとしている人物を心変わりさせようと努力したがすべて無駄に終わった。

 「君の誠意が伝われば顧客もわかってくれるから一生懸命説明しろ」と上司から無意味なアドバイスをもらったこともあった。
 
 競合商品の購入を考えている企業人を説得することは絶対不可能なのだ。個人の買い物は自分が検討・利用・決裁ができるから決定は自己責任だ。他人の目を気にすることはない。(不要な高額商品を買って家族から怒られることくらいだ)

 ところが企業人の買い物は社内を説得して関連部署の合意を取り付け決裁者の承認がないと購入できない。簡単に言えば「根回し」が必要なのだ。

 するとA社商品を購入すべきと社内で根回しを始めてしまえば、その後B社商品が明らかに勝っていると思っても心変わりをすれば自分の社内での信用がなくなる。だから最後までA社を推し続ける。もちろん根回しを始める前であればA社からB社への心変わりは可能だ。
 
 このカラクリがわかれば味方になった企業人は裏切らないことがわかる。

 企業への営業は競合より先に多くの味方となるキーパーソン(エンジェル)を見つけることなのだ。競合を推すキーパーソン(デビル)を説得することは絶対に不可能だからそんなことに時間を浪費せず、デビルより強い立場にいるキーパーソンに会ってエンジェルになってもらう努力をすることが逆転受注の唯一の方法なのだ。

03/11/2021

損益計算書とキャッシュフロー計算書【顧客情報チェックポイント】

 顧客情報をあまり調べない営業でもホームページで「売上と利益」くらいは確認するだろう。もし売上高100億円・営業利益20億円であれば経営状態が良い優良企業と判断するはずだ。(《売上と利益》で述べたが営業利益は粗利から販管費を引いたものだ)

 売上高ー売上原価=売上総利益(粗利)
 売上総利益=販売費および一般管理費(販管費)+営業利益 

 ところがこのような優良と思われるが倒産することがあるのだが、それは損益計算書にからくりがある。企業の売上と入金には時間差があるし、顧客が倒産して回収できないリスクもある。つまり損益計算書では企業の実際の金の流れがわからないのだ。100億円の売上といっても80億円が売掛金かもしれないし、回収できないかもしれない。

 そこでキャッシュフロー計算書が役に立つ。これは子供の小遣い帳と思えばわかりやすい。月初に1000円もらって、5日300円使って、10日に500円使ってときちんと記入していけば、自分の貯金箱か財布には200円残っている。
 企業のキャッシュフロー計算書も同じことをしている。売掛金はまだ入金されていないからマイナスする、買掛金はまだ払っていないからプラスするなどの調整をして実際の金の流れをみるのだ。営業は顧客の経営状態を把握するためにもキャッシュフロー計算書の読み方を知る必要がある。キャッシュフロー計算書には3つの項目がある

1.営業キャッシュフロー
 すでに述べたように営業活動での実際の金の流れがわかるので、健全な経営状況の企業であれば営業キャッシュフローはプラスになる。

2.投資キャッシュフロー
 設備投資の状況を把握できる。設備投資をすれば金が出て行くので「マイナス」設備を売却すれば金が入ってくるので「プラス」になる。

3.財務キャッシュフロー
 資金調達の状況がわかる。借入・増資をすれば金が入ってくるので「プラス」借入金返済・配当金支払は金が出ていくので「マイナス」になる。

営業は簡単なファイナンス関連の本を一読することをお勧めする。

31/10/2021

年功序列型と抜擢型【取締役の構成】

 顧客訪問前に調べるべき重要項目である「取締役」は、すでに《取締役と派閥》で述べたように顧客内の有力派閥を確認するためである。

取締役の構成は2種類ある。 

1.年功序列型
2.抜擢型 

 年功序列型は日本の老舗企業が採用している人事制度で新卒で入社した社員から在籍年数に応じて取締役に昇任させる。社長が最年長で、次の年長者が役付取締役、そして若手(と言っても高齢だが)が取締役とほぼ年齢順に取締役が構成されている。さらに権力が固定しないように取締役の在籍年数にも制限がある企業が多い。

 年功序列型は学閥・組織閥・専門閥がある可能性がある。組織閥・専門閥は有価証券報告書の「役員の状況」で各取締役の経歴から推測できることがあるが出身大学は掲載されていないので学閥はわからない。そこで各取締役を「個人名+略歴」で検索して調べる。

 ネットだけで派閥はわからないことも多いので顧客に質問すれば、喜んで話をしてくれる。もし社内派閥に詳しくなければ、設備投資に関わったことがない人、つまりキーパーソンではないと考えてよい。

 抜擢型は取締役の構成が年齢順ではなく、新卒入社組でなく中途採用組が多い。優秀な人物をスカウトしているとも思えるが、多くの場合は社長が勝手に人選をしている。
 親族を取締役にする社長は多いし、外資系企業などは元同僚を集めることも多い。このような会社は社長に権限が集中して、取締役はイエスマンばかりになる。営業は社長と会わなければ何も決められない。

27/10/2021

エンジェルとデビル【キーパーソン】

 キーパーソンになれる人物は顧客社内に1%しかいないことはすでに述べた。決裁者がキーパーソンであることは言うまでもないが、営業が実際に商談を進めるのは決裁者が信用する部下たちである。彼らは決裁者から経営に直結する企業の設備投資を任せてもらい成功すれば昇給・昇格が約束されるから投資対効果の高い提案を決裁者にすべく情報収集をする。

 そこで複数候補を慎重に比較検討して技術力・サポート力・価格など総合的に判断して適切なベンダーを選び決裁者に承認を求める。すると比較検討の対象としてまったく購入をする気持ちがないが最後まで商談に付き合わせる「あて馬」が必要なのだ。

 キーパーソンの中で、営業の味方になって顧客社内で説明や説得として決裁者から承認を取り付けてくれる人物を「エンジェル」、競合商品の導入を目指して社内を仕切る人を「デビル」と私は呼んでいる。(今後は「エンジェル」・「デビル」という名称を使って説明する)
 
 「エンジェル」あるいは「デビル」として活動するためには3つの条件が必要になる。

1.社内影響力・・関係者に説明・説得をして合意を取り付け決裁者の承認を獲得する力
2.商品理解力・・商品内容を理解して得られる投資対効果を推測できる力
3.個人的利益・・商品購入が自身の担当分野であり、業務に役立つこと

 「エンジェル」も」デビル」も同じ力を持っている。そして「デビル」は自分が敵であることを隠してあたかも「エンジェル」のように振る舞うので、経験の浅い営業は簡単に騙されて「あて馬」として時間と経費を浪費して失注する。

 すべての案件を受注することは絶対にできないなので、営業は受注可能性を商談の早い段階で見極めて切り捨てることが大切なのだ。「最後までがんばらないと結果はわからない」と寝ぼけたことを言うのは、王将を取られるまで勝負がわからない素人将棋のようなものだ。1日も早くプロ営業になることを目指すべきだ。

 営業は商談相手が「エンジェルかデビル」あるいはキーパーソンではない人物(このケースがもっとも多い)なのかできれば初回訪問時に見極めたいのだ。10回通ってわかった時には多くの時間と経費が失われている。

 社内影響力は「決裁者の紹介」を依頼してみれば簡単に見極められる。

 「この案件はどなたが承認すれば発注されるのでしょう?」と聞いてみればよい。
 「XX常務が承認すれば取締役会も稟議も問題なく通るだろう」などと明快な回答ができる人はキーパーソンと推測できる。回答があいまいだったり、知らないと回答したら社内事情を知らない人物、つまりキーパーソンではないとわかる)

 そして紹介を快諾してくれたら「エンジェル」で拒否すれば「デビル」である。
 ただし「デビル」はあて馬をキープする必要があるから、その場で拒否しないことが多いので注意が必要だ。決裁者の紹介を約束しながらなかなか日程調整をしなければ「デビル」と考えて新たな「エンジェル」探しをしなければ確実に失注する。

 一度依頼すると「あの人の顔を潰せない」などと無意味な弁解をして活動をしない営業が多いが受注を目指すのであれば、多少のトラブルは気にせず行動するべきだ。もし動かないならば、直ちにその案件は諦めて、そこで活動を止めて他の案件を探すことに力を入れる。

 「エンジェルとデビル」の見極めについては改めて別の機会に紹介する。

25/10/2021

《用語の説明》

  すべてソリューション営業を対象にした内容です。

【法人営業】顧客が企業
【個人営業】顧客が個人(住宅・車・家などの販売員)
【ソリューション営業】企業が投資目的で購入する商品を扱う営業
【実質決裁者】この人物が承認すれば発注決定(複数の可能性もある)
【形式決裁者】稟議承認には関与するが決定に口出ししない
【エンジェル】自社購入に協力してくれるキーパーソン
【デビル】競合の購入を目指すキーパーソン

25/10/2021

勝因と敗因【協力と拒否】

 「いただいたご提案内容はすばらしかったのですが、価格がほんの少し高かったので今回は他社に決めました」こんなことを言われて失注した経験はないだろうか?

 「次の案件はもっと値引きをすれば受注できる」と考えた人はかなり甘い。なぜなら「価格が高い」が一番断りやすい理由だから使っただけで真実ではない可能性が高い。

 設備投資は企業の将来を決めるとともに経営者は責任を問われる。各社の提案を読んで決定するような呑気な企業はない。(例外がゼロであると証明することはできないが、営業として成功したいならそう考えるべきだ)

 発注先を決定するまでは多くの会議や決裁者への説明が必要だ。価格よりも成功確率が高い案件や安心して任せられる会社に発注したいと決裁者は考える。多少価格が安いという理由で会ったこともない無名会社に自分の将来を賭けようとは思わないだろう。

 そのような背景を理解すれば、各社に提案依頼をする段階では発注先は決定していることがわかる。なぜなら提案依頼書を発行するには決裁者の許可が必要だからだ。許可を求められた決裁者は経過報告は受けているから案件内容を細かく聞くことはあまりないだろうが、「発注金額と発注先」は必ず確認するはずだ。もし聞いたこともない社名を言われたら再検討の指示する可能性が高いだろう。また報告する部下の立場からすれば、どこの会社にいくらでは発注して、いつまでに投資を回収しますと説明しなくては決裁者を説得できないと考えるだろう。発注先は営業が考えるより早い段階で決まっている。

 ここで話を元に戻そう。「価格が高い」という理由で失注を告げられたら、営業は敗戦処理をしなくはならない。そのためには質問と要求をしなくはならない。

 1.どこの会社にいくらで発注したのか?
 2.発注した会社の見積書を見せて欲しい!

 おそらくどちらも拒否される可能性が高いだろう。その場合は競合を推していたキーパーソンか発注先決定になんら関与していない連絡係と商談をしていたのだから何の評価もできない。営業活動を根本的に変えない限り同じような無意味な活動を繰り返すことになる。

 非常に稀だが協力してくれたら、その人物はキーパーソンだったのだが、社内抗争で敗れて営業と同じ敗北感を味わっているのだ。この場合はキーパーソンを見つける課題はクリアしているから20%くらいは評価してもよいだろう。

 敗戦処理をきちんとすれば自分の営業活動を客観的に評価して営業力を向上させることができる。

22/10/2021

取締役と派閥【顧客情報チェックポイント】

 「3人集まれば派閥ができる」と言われているように企業には必ず派閥がある。

 企業内にはどんな派閥が存在するのだろうか?

1.血縁閥・・血縁者が作る派閥、日本に多い「同族会社」は典型例
2.学閥・・・出身大学が作る派閥
3.採用閥・・「総合職・一般職」、「キャリア・ノンキャリア」など採用時に決まる派閥
4.専門閥・・技術屋・事務屋など同じ専門分野が作る派閥
5.組織閥・・同じ部署の人たちが作る派閥

 企業の組織図は期間限定の派閥だが、学閥であれば入社してから退職するまでずっと続くから、自分の将来を考えれば、現在の上司より派閥の上司に従った方が、社内の立場が良くなると考えるのは当然の流れである。人事は引きで決まる。どんなに優秀でも上司の推薦がなければ昇格できない。
 反対に無能でも引きがあれば出世する。わかりやすい例は、血縁者だけは異例のスピードで出世する同族会社である。

 営業は顧客の組織図を頭に入れなければならないが、派閥を知らないと商談の最終的段階で思わぬ横槍が入って受注できるはずの案件を失注する。反対に派閥が読める営業は、不利な商談でも逆転受注できる可能性がある。

 組織図に載っていない派閥をどうやって調べるか??
 答は簡単だ!顧客に質問するだけだ。誰も社内事情の話は喜んでするが、営業から質問されなければ話題には上らない。

 営業力とは「的確な質問する力」と言っても過言ではない。

 顧客にどんな派閥があるか分かったら、取締役の構成や歴代社長に注目する。(ネットに情報があることも多いが、顧客内の有力者なら必ず知っている。派閥を知らない人は主流派ではないので適切な商談相手ではない)
 
 たとえば某自動車会社の社長はすっとエンジン設計技術者だったが、最近2代は車体設計技術者が就任している。これは今までのガソリンエンジン車からHV車や水素などの新エネルギー車へ転換していくことを意味している。営業から見ればエンジン屋から車体屋に権力と資金が移動したというメッセージなのだ。
 
 某電機会社の社長はずっと東大工学部出身で伝送事業部出身者で独占していたが、IP電話時代になり伝送装置が不要になってくると、学閥も崩れて専門閥もコンピューター、無線と変化してきた。

 社長を輩出する派閥や取締役の多数派を占める派閥がその会社を支配している。その答がわかれば大きな予算を持っている部署が見えてくる。営業は顧客の派閥に関心を持とう!

20/10/2021

取締役と圧力集団【顧客情報チェックポイント】

 社長・取締役は会社経営に「権限と責任」があるので、自らの権限を行使した投資が失敗すれば経営責任を問われて解任されたり、最悪のケースでは株主代表訴訟を起こされ敗訴すれば会社に与えた損害を私有財産から補填しなければならない。

 社員は雇用契約だから簡単に解雇することはできないが、取締役は委任契約なので株主総会の決議があれば特に理由がなくても解任できる。
 長年の苦労でたどり着いた取締役の身分は不安定なものなのだ。

 「現場の担当者が1人で決めます」という寝言を言う営業がよくいるが、解任されたい取締役はいないから、大きなリスクが伴う投資はいろいろな部署の信用している部下たちに検討させて慎重に決めることは想像に難くない。
 
 かつては取締役が多数いる会社があったが、近年は取締役の人数を減らし、執行役員という制度を採用する企業が増えた。営業は高額の売上を目指すのであれば、稟議や取締役会の承認が必要になるので、決裁権を持つ取締役・執行役員に会わないと商談最終段階で競合に逆転され失注するリスクが高くなる。

 会社内で権限のある取締役に影響を与えられる集団が5つあるのだが気づいているだろうか?

1.株主・・・会社のオーナーで資本金を出資している。
2.銀行・・・投資に必要な資金を提供する。
3.取引先・・売上比率が大きい顧客の動向は業績に直結する。
4.社員・・・社員が努力するから売上・利益を獲得できる。
5.官公庁・・許認可の権限を持ち、業界を規制する法律を作れる。

 気がついた人も多いと思うが、取締役はこの5つの集団出身者で構成されている。

 社員が取締役に昇任されるケースが一般的だが、大株主は取締役を派遣することが多いし、多額の借入をすれば銀行が取締役を送り込むし、許認可が重要な業界では監督官庁の天下りを受け入れることがよくある。また売上比率が非常に大きな顧客があれば良好な関係を継続するために取締役を迎える。
 このような背景を理解すれば取締役の構成を見ただけで会社の特徴が見えてくる。

【大株主出身の取締役】
 この会社は大株主の関連会社か子会社で一定金額以上の投資は親会社の承認が必要になるから、商談の早い時期に限度額を確認する。また親会社の責任事業部を紹介してもらい早い時期に訪問する。
 一般的な話をすれば、株主は配当金よりキャピタルゲイン(株価上昇による利益)を期待しているので積極的な投資をは歓迎される。
 しかし親会社がある場合は、子会社の投資失敗が親会社の業績や株価に影響を与えることを恐れて子会社の投資を抑制することも多い。商談の初期段階で親会社との関係を確認しておかないと無駄な営業活動をすることになる。
 いずれにしてもオーナーの意向で派遣された取締役なので大きな権力があると考えるべきだ。

【銀行出身の取締役】
 投資を借入金に頼っている可能性が高い。銀行は貸した金を確実に回収したいので投資は慎重になる傾向があるから、この人物が投資に反対するリスクが高いと考えるべきである。
 商談の早い段階で安全な投資であることを営業からも説明に行くべきだ。

【取引先出身の取締役】
 どのくらいの売上を占めるかによって取引先出身取締役の権力は変わってくるが、プロパー社員出身より多ければこの会社は完全に支配していると考えるべきだ。
 
【官公庁出身の取締役】
 許認可を得るため、業界の規制を早く知るため、官公庁への口利きなど太いパイプが欲しい会社であることがわかる。実務には関わってこないかもしれないが、決裁権を手放すことはないから必ず訪問して関係を築く必要がある。

【社員出身の取締役】
 日本の典型的な老舗企業である。売り込む商品に興味を持ちそうな部署を担当する取締役をターゲットにすれば良い。

 営業は顧客訪問前に取締役・執行役員の経歴を調べて出身集団の構成をチェックしておこう。

住所

Shinjuku-ku, Tokyo

ウェブサイト

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