17/09/2026
【コラム公開】組織への帰属意識が招く落とし穴:コミットメントの光と影
https://www.business-research-lab.com/251107/
従業員の「会社への愛着」を育むこと、すなわち組織コミットメントを高めることは、重要なテーマの一つとされています。従業員が自らの所属する組織に強い一体感を持ち、その理念や目標に共感し、成功を我がことのように願う気持ち。それは日々の仕事への活力となり、生産性を高め、創造性を刺激して、優秀な人材の離職を防ぐ力になると期待されています。
実際に、高いコミットメントがもたらすポジティブな側面は数多くの研究で報告されており、企業が研修や社内イベント、福利厚生の充実といった様々な試みを通じて従業員のコミットメントを高めようと努力するのも、当然のことと言えるでしょう。
しかし、その強く、純粋であるはずの「愛着」は、時として思わぬ形で組織や個人に牙をむくことがあります。「会社のためだから」という献身的な思いが、いつしか視野を狭め、社会全体のルールや普遍的な倫理観から逸脱した行動を正当化する危険な口実になってしまう。あるいは、組織を愛するあまり、その内部に潜む不正や不都合な真実から目を背け、声を上げるべき場面で沈黙を選んでしまう。そして、献身的に働くことそのものが、かえって自分自身の心や体を容赦なくすり減らし、やがては「燃え尽き」という深刻な結末を招いてしまう。
このように、一般的に美徳とされ、奨励される組織へのコミットメントには、あまり光が当てられることのない「影」の側面、すなわち副作用が存在します。本コラムでは、組織への強い思いが、なぜ、そしてどのようにして、個人の倫理観を揺るがし、不正行為の温床となり、働く人を疲弊させてしまうのか。そのメカニズムを多角的に探求していきます。