03/05/2026
5月1日は、私が代表を務めるKepla Design Studioの創業25周年目の日でした。
四半世紀の間、多くのみなさまに見守られて、この仕事を続けることができたことに心から感謝申し上げます。
私の社会人としての仕事は、前職を含めて50年の節目を迎えますが、追求し続けたのは「空間デザイン」です。
建築物や内装・設備、家具等の設計もしますが、対象は何もない「空」(からっぽ)スペースと時間軸「間」(まあい)を創り出すことなのです。
「空っぽの間」つまり「場」は、そこで営まれる人々の動きやすさや気持ち良さを最も効果的に機能させるためのものであり、何もないからこそ多様で柔軟な働きができるのです。
その広さや色彩、素材、照明、音響、色彩などを決めるときは、私自身の趣味や嗜好ではなく、できる限り論理的な科学的根拠を使って決定します。
ですから「場」のデザインをするときは、そこで何のために、どのような人たちが、どのような生活をするのかを知ることが最も大切なことになります。
しかし、人はどのような動きをするか、どのような感情を抱くかを完全に想定することはできないので、それを決めることは簡単ではありません。
想定できない部分には余白が必要です。
その余白が空間の自由度を高め、将来にわたって柔軟に活用できるようになります。
空間は、「人」が入ってはじめて完成するものであり、決して外枠や表面を装飾するものではありません。いわば人の営みを連続させることが「場」のデザインなのです。
私は、主に働く場のデザインをすることが多かったのですが、コロナ禍以降は人々の働く環境と働き方が大きく変化しており、さらに近年はAIの普及によって仕事そのものが大きく変化しています。
これまでの人間の知性の働きを最大限に発揮するための「場」づくりが、これからは一人一人の人生の幸福を追求できる「場」のデザインとして、ますます重要になって来ると考えます。
その「場」は、単にワークプレイスのデザインではなく、人々の人生のデザイン(LIFE DESIGN)の範疇といえるかもしれません。
それは、地域社会や交友関係、家族とのかかわり、衣食住の住まい方、趣味と仕事の共存など、その人にとっての「場」は一般化できないので、それぞれの個人が、自分の人生を豊かにするための「場」のデザインしなければならないのです。
私自身はデザイナーとして、これまで私にとっての「場」のデザインをしてきたつもりです。
いくつも失敗をして、苦しいことや悩んだこともたくさんありましたが、お陰様で多くの皆さんに支えられてなんとかやってこれました。
しかし、今後は私自身の人生にも「空」(からっぽ)スペースと時間軸「間」(まあい)が必要と気づきました。
そして、私の周りで支えていただいている皆さまと一緒に新たな「場」のデザインができることを楽しみにしています。
まだまだやりたいことがたくさんありますが、ゆっくり人生を楽しみながら生きて行きたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
※写真は同志社大学理工学部香知館 知的オフィス環境創造システム(2009年)